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2021年4月20日

『忠臣蔵2021』第一期稽古(3・4月)をふりかえって

こんにちは。制作部の鈴木達巳です。
SPACでは6月5日、6日に静岡県舞台芸術公園の野外劇場「有度」にて『忠臣蔵2021』の公演を行います。平田オリザさんの戯曲を宮城聰が演出、プロの俳優と公募で選ばれた人々が共演し、1999年と2004年に上演されました。
今回17年ぶりとなる、芝居ありダンスあり演奏ありの市民参加劇はどのような作品になるのでしょうか? 4月11日まで行われていた第一期の稽古の様子をちょこっとふりかえりたいと思います。
 

3月13日に行われた稽古初日、まずは自己紹介から始まりました。


▲マスクを着用し、距離をとっての自己紹介


▲初日だけあってみんなまだ少し緊張気味

今回集まった参加者は総勢43名、経歴からなにから本当にバラバラです。
年代も10代~80代と幅広く、演技経験も全く違います。

全員の自己紹介が終わった後、総合演出の宮城から挨拶がありました。その中で宮城は「前回と上演される劇場が違う。(※2004年はグランシップ大ホールでの上演。)それだけで同じ演出はできない。演出をゼロから新しく考えていかなくてはならない。その新しいものが生まれる瞬間を是非楽しんでいただきたいと思う。少しずつ形が見えていく、そのプロセスを是非楽しんでほしい」と、力強い言葉を参加者に渡しました。


▲宮城より「このメンバーでしかできない『忠臣蔵2021』をつくりましょう!」

このあと、打楽器の演奏とダンスの稽古が行われました。
人数が多いので二部屋にわかれて、稽古場では常にマスク着用、互いに距離をとり、適宜部屋の消毒、換気をするなど、感染症対策をとりながらの稽古となります。


▲本番で使われる楽器「ジャンベ」。なかなか触れる機会のない楽器ですが、丁寧に指導します。


▲北村明子さんによるダンス稽古は最初から少し激しめです。

基本的な稽古ながら覚えることも少なくなく、半日かけての稽古初日はなかなかハードなものとなりました。
宮城は「エネルギーというのは、出し惜しみしたら入ってくるのも減る。100出せば100返ってくるけど、60くらいにしていると60くらいしか返らない。だから空間に対して身体をひらいてほしい」と激励の言葉を参加者に伝え、この日の稽古を終えました。
 

3月14日、稽古2日目はSPACで普段行っているトレーニングから始まりました。
舞台に立つ際の佇まいや、身体を動かす際に何に気をつけ、何を大事にしているのか?を中心にレクチャーしながら、体感してもらいます。


▲シンプルな動きですが、身体感覚を研ぎ澄ますようなトレーニングは少し行っただけで汗がにじみ出ます。

この日の後半ではSPAC俳優たちによる「本読み」が行われました。
「本読み」は舞台作品をつくる上で最初に行われることが多く、お互い声に出して読むことで、作品の情景や雰囲気、醸し出されるエネルギー、そしてテーマを読み解き理解するための大事な稽古です。


▲SPAC俳優による本読みの様子。じっと聞き入る参加者のみんなが徐々にその作品世界に引き込まれていきます。
 

稽古3日目以降は、トレーニングやダンス・演奏の稽古とともに、作品創作への実践的な稽古が加わっていきます。


▲台本を読む参加者。読み方ひとつで個性が出ます。

宮城演出の特徴の一つ、セリフを発する【スピーカー】と、動きを担う【ムーバー】という二人一役の稽古も徐々に始まりました。主な登場人物が7名ながら、60名弱の人間が舞台に立つという試みは、稽古で様々な創意工夫がなされ、唯一無二な作品への挑戦が行われています。


▲初めての形式の稽古に戸惑いつつ、必死に試行錯誤。


▲音楽担当の棚川寛子さんによるレクチャー。有名な曲を用いながらリズム構成を説明。

実技的な稽古をする一方、演奏の稽古では曲の構造についての座学も行われました。
ただ楽器を演奏するのではなく、どのようにして曲が出来ているのかを理解し、より上質な演奏を目指します。

稽古後半からはダンス、演奏、群読の三班にわかれて稽古が行われました。

ダンスの稽古はより激しいものになり、

演奏の稽古では俳優の演技にあわせる繊細さを求められ、

ムーバーの稽古では細かく正確な動きの反復練習となりました。
このように書くとピリピリとした緊張感のある稽古場のように思われますが、

基本的には笑いの絶えない現場で、頭も身体もフル回転させつつ、楽しみながら稽古が進められています。休憩中も積極的に稽古内容に関して会話がなされ、そこかしこで交流が生まれているのもうれしいですね。
年代も経歴も違う多くの人々が、気がつけば温かい絆で結ばれているのは、「このメンバーでしかできない舞台をつくりたい」という想いを共有しているからではないでしょうか。
 

稽古はあっという間に前半戦終了。GW明けからまた稽古が再開されます。
6月の本番までにどのような作品になっていくのか、演目担当というよりイチファンとして今からとっても楽しみです。
是非とも今しか、このメンバーでしか観られない『忠臣蔵2021』にご期待ください。
 

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忠臣蔵2021
作:平田オリザ
総合演出:宮城聰
演出:寺内亜矢子、牧山祐大
音楽:棚川寛子
振付:北村明子
劇中曲作曲:山貫憲彦

2021年 6月5日(土)・6日(日)
各日19:30開演(雨天決行) 上演時間:約100分(予定)
会場:静岡県舞台芸術公園 野外劇場「有度」

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