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2008年5月24日

消された官僚を探して (2)

公演日当日、時差は6時間、レバノンの朝9時、日本時間の15時からネットの3回線をつかってのリハーサルが始まりました。結局リハーサルは開演の1時間前までかかり、最後の最後まで技術の調整しながらの開演となりました。上演中は何回か回線が途切れることもありましたが、ラビァの肉声をつなげ続けることを目指し作品を上演しました。1度、ベイルートで停電が起こり、3回線すべてが落ちてしまうこともありましたが、この状況下でも必死にメッセージを伝えようとするラビァの執念に近い熱意に必死で耳を傾ける観客と、2時間にわたるパフォーマンスを遠いレバノンからPCの画面に向かってしゃべり続けるラビァの集中力が公演を成功に導きました。「不在」を扱ったこの作品で、私たちはその瞬間確かにラビァの「存在」を感じることができたのです。

終演後、ラビァからメールが来ました。「あなたがたのおかげで、私たちは、戦争というものに負けずにすみました。あなたがたのおかげで私たちは外に出ることができたのです、兵隊たちが私たちを檻の中に閉じ込めようとしているにもかかわらず。」
 
芸術を伝える魂は自由だと、ラビァが伝えてくれた特別な公演でした。