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2022年7月18日

『リチャード二世』第一期稽古レポート!

7月14日、1ヶ月以上に渡って進められてきた『リチャード二世』の第一期稽古が、ついに終了しました!この記事では、制作部新人スタッフの豊島がその様子をご紹介します。


※豊島はカメラマンだったため丸抜きになっています。
 
SPAC 秋→春のシーズン 2022 – 2023の#3として、2023年1月に上演される新作公演『リチャード二世』
6月から7月にかけて行われる第一期稽古と、12月から1月にかけて行われる第二期稽古を経て『リチャード二世』は本番を迎えます。
「半年も先の公演の稽古を、もう始めてるの?」
いやいや!実はそれどころじゃないんです。
一般のお客さまに見ていただく機会こそなかったものの、2021年にリーディング企画として製作された『リチャード二世』。
2023年1月に行う舞台公演は、このリーディング企画の成果を踏まえて構想されました。


※日本劇作家協会のオンライン講座「戯曲セミナー2021」受講者向けの特典映像として、SPACのリーディング企画『リチャード二世』を寺内亜矢子が構成・演出。
 
つまり一度リーディング作品として仕上げた土台の上に、本番の半年前に、本番と同じ舞台を使って、1ヶ月も!濃密な稽古を重ねてきたのがこの『リチャード二世』第一期稽古なのです!!!


▲客席から稽古中の劇場内を見渡した様子
 
6月11日、稽古初日。
演出家・俳優・スタッフがリハーサル室に集まり、顔合わせを行います。
美術プランの打合せが事前に行われていたため、稽古場には初日から美術プランの模型が!
演出の狙いや工夫が寺内からメンバーたちに共有されました。


▲模型とともに、演出の狙いを話す寺内(中央右)
 
続いて読み合わせ。
一度リーディング企画を行っているだけあって、稽古初日とは思えない迫力です!

3日目からは早速劇場に入っての稽古。


▲寺内からのノーツ(稽古で演じられた内容へのフィードバック)の様子
 
演出の寺内が、『リチャード二世』の世界で起こっている出来事を丁寧に読み解き・解釈を加えながら、様々な仕掛けをシーンに施していきます。

「シェイクスピアの歴史劇」という敷居の高いイメージを払拭するような、様々なアプローチが試みられます。


▲稽古の度に、手を変え品を変えて見る人を驚かせる俳優たち
 
また、リーディングのときにはカットされていた新たなシーンや、新たに加わったメンバーによるシーンづくりが、稽古に弾みをつけていきます。


 
稽古は舞台上だけにとどまりません。
他劇団による『リチャード二世』の上演記録を確認したり、研究論文が共有されたりと、活発に掘り下げが行われます。


▲俳優が作成し、控え場所に貼り出されたイングランドの地図。
 
また、稽古を進めるために欠かせないのが、演出部スタッフの仕事です!


▲仮の舞台装置を製作する演出部スタッフたち。

王宮、海岸、牢獄と、さまざまな空間で出来事が進行していく『リチャード二世』。その多彩なシーンを表現するためには様々な工夫が必要となります。

なかでも肝となるのが、俳優たちが演技する足場となる舞台装置。


▲準備された仮の舞台装置について説明を受ける俳優たちと演出・寺内(右端)

仮の舞台装置が、演出部スタッフの手によって稽古の度に少しずつアップデートされながら、用意されていきます。

実寸サイズの装置があるからこそ、シーンとシーンを繋ぐ場面転換も綿密に確認することができます。まさに、舞台をめいっぱい使える劇場稽古ならでは!


▲舞台上に点々と施されたバミリ(舞台装置の場所や俳優の立ち位置を示す目印)。

また、シーンに応じて音響も確認しながら進めていきます。


 
7月11日には美術・照明・衣裳のデザイナーが揃い、シーンを最初から最後まで続けて行う通し稽古が行われました。


▲通し稽古を見ながらメモを取るスタッフたち
 
通し後には、演出の寺内と各スタッフとの間で確認・打ち合わせが行われます。


 
そしてついに稽古最終日。
俳優もスタッフも、それぞれ仕事に取り組む表情は真剣そのもの。


▲衣裳プランについて演出にプレゼン


▲仕込み用の図面を広げて照明プランの検討
 
舞台に、客席に、心地よい緊張が走ります。


 
あっという間に最後の通し稽古が終了。
演出の寺内が第一期稽古の締めくくりに、次のように語りました。


 
“この第一期稽古の間だけでも、世界も、日本も、自分達のそれぞれの毎日も、生活も人生も、本当にたくさん変わったと思います。これから先の半年でも当然、たくさんのことが起こって、変わっていくと思います。いま作ったものを土台にして、さらにこの半年の間、生きていく中で起こったこと、その全部をひっくるめて、第二期、それから本番という風に進んでいきたいなと思っています。
本当に皆さんお疲れ様でした。”

第一期稽古を終えた『リチャード二世』、第二期稽古は12月です。

熟成期間を挟んで半年先の本番に、どうぞご期待ください。

 
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SPAC秋→春のシーズン2022-2023 #3
『リチャード二世』
2023年1月14日(土)・15日(日)・21日(土)・22日(日)・28日(土)・29日(日)
各日14:00開演
会場:静岡芸術劇場
日本語上演/英語字幕

我欲と裏切り。目的のためなら手段を選ばない暴君リチャード2世の没落と、王座に上りつめるボリングブルック——シェイクスピアの数ある史劇の源流となるイングランド王の物語を、SPAC俳優としてまた『忠臣蔵2021』の共同演出など演出家としても活躍目覚ましい寺内亜矢子が、現代を照射する物語として鮮やかに描く。

演出:寺内亜矢子
作:ウィリアム・シェイクスピア
訳:小田島雄志
出演:阿部一徳、石井萠水、大高浩一、片岡佐知子、木内琴子、小長谷勝彦、永井健二、ながいさやこ、本多麻紀、牧山祐大、宮城嶋遥加、吉植荘一郎、渡辺敬彦[五十音順]

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