2022年はモリエール生誕400周年!ということで、本国フランスではモリエールにまつわる様々な催しが行われ、日本でもこの秋は各地でモリエールの作品が上演されます。
▲モリエール(1622-1673)
ここ静岡、舞台芸術公園では、8月はじめにフランス人演出家ジャン・ランベール=ヴィルドさんが来日し、約1ヶ月にわたる『守銭奴』の第1期稽古がはじまっています。
▲BOXシアター前で。ジャンさんと演出助手のエメさんは、3年ぶりの来日です。
2019年に初演し翌年コロナ禍で静岡県内12ヶ所を巡った『妖怪の国の与太郎』に続き、ジャンさんが信頼をおくSPACの俳優・スタッフとのタッグで、今回はフランスの偉大な喜劇王の代表作に新しい風を吹き込んでいきます。
稽古場ブログvol.1ということで、まずは『守銭奴』について簡単にご紹介します。
タイトルが意味する「銭を守る奴」そのまま、異様なまでにお金に執着心を持つアルパゴンが主人公。息子クレオントと娘エリーズはそのドケチ生活にうんざりしながらも、エリーズは家に仕えるヴァレールと、クレオントは近所に越してきた貧しい娘マリアンヌと恋愛中。ところがあるとき、アルパゴンから結婚したい相手がいて、それはマリアンヌだと告げられます。どうにか父親を説得しようとする子どもたち、そして親子の揉めごとを仲裁するかのようで色々と下心のある人たちも登場し、思惑うずまく腹の探りあいがはじまります。そんななか、アルパゴンが庭に隠していた大金が盗まれたのをきっかけに、悲劇的なドケチっぷりが喜劇的に加速していき…。
『守銭奴』は「性格喜劇」と呼ばれていて、登場人物の極端な性格を元に巻き起こる様々な出来事を描いています。『タルチュフ』『ドン・ジュアン』『人間ぎらい』そして、この『守銭奴』がモリエールの「4大性格喜劇」として有名です。
第1期稽古はテーブルを囲んだ形からはじまりました。
まずジャンさんから、今回なぜ『守銭奴』を選んだのか、フランスではどのように上演されてきたのか、モリエールとはどのような存在なのかといった話があり、そして、身の回りにいる“守銭奴なひと”など作品にまつわる様々な意見の交換を行いました。
そして、今回の演出についての話へ。
『守銭奴』には、実は「あるいは嘘の学校」というサブタイトルがあるけれども、フランスでも『守銭奴 あるいは嘘の学校』とフルタイトルで上演されることはほとんどないのだとか。
ジャンさんは「嘘の学校」という部分に注目。先生や生徒、教室といった学校っぽいものは出てこないのに、なぜモリエールは「嘘の学校」というサブタイトルをつけたのか…モリエールが遺した謎に切り込んでいきます。
個性豊かな登場人物たちによる「お金と恋」を巡るドタバタコメディではありますが、ちょっと謎めいたセリフや行動もあるので、これからの稽古でそのあたりが掘りさげられていきそうです。
稽古3週目からは、仮の衣裳をまといながら今回のために新たに翻訳された台本片手に立ち稽古もはじまり、稽古場では・・・???!?!!(笑)な光景が広がっています。
今後どうなるのかは、乞うご期待!
(制作部:計見葵)
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SPAC秋→春のシーズン2022-2023 #2
モリエール生誕400年記念/新作
SPAC版『守銭奴 あるいは嘘の学校』
2022年
11 月 26 日(土)、27 日(日)
12 日 3 日(土)、4 日(日)、10 日(土)、11 日(日)
各日 14:00 開演
会場:静岡芸術劇場
演出:ジャン・ランベール=ヴィルド
翻訳・通訳・ドラマツルギー:平野暁人
アーティスティック・コラボレーター:ロレンゾ・マラゲラ
音楽:棚川寛子
出演:貴島豪、大高浩一、木内琴子、永井健二、ながいさやこ、本多麻紀、
三島景太、宮城嶋遥加、山崎皓司、吉植荘一郎
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