「ふじのくに⇄せかい演劇祭2023」の開幕を飾る、『アインシュタインの夢』。
世界各国から作品が集まる「ふじのくに⇄せかい演劇祭」ですが、中国からの招聘はなんと13年ぶり!
各作品のPVなども続々公開され期待の高まるところですが、もっともっと『アインシュタインの夢』の魅力を伝えたい…!
そこで今回のブログでは、『アインシュタインの夢』という作品について、そして演出の孟京輝さんについて、制作部の担当スタッフ豊島がご紹介します!
今回上演される『アインシュタインの夢』は、2020年11月深圳現代演劇ビエンナーレにて初演されました。
アインシュタインが残した手紙や会話の記録、そしてカフカの『田舎医者』や『城』にインスピレーションを受けて構成されたテキストと、演技ともダンスともつかないムーブメントが組み合わされた作品です。
この作品では、ひとつの物語を辿っていくのではなく、あるシーンからあるシーンへ、急にスイッチが切り替わるようにしていくつもの断片が提示されます(ちょうど私たちが眠るときにみる夢がそんなふうですよね)。
舞台上には、シーツに包まれて宙吊りになったいくつものソファ、無機質に並んだベッド、ノイズばかりが映るテレビなどが配置され、どこか強迫症めいたイメージの空間が広がります。
映画で例えるならデヴィッド・リンチ監督の『マルホランド・ドライブ』、舞台で例えるなら、SPACで『変身』を演出した小野寺修二さんの世界観にも近いものを感じます。
夢のまどろみを象徴するような、暗闇と微かな光のコントラストの美しさがこの舞台の特徴。
演劇を“目で味わう”楽しさを存分に味わっていただける作品です。
孟京輝さんは、中国の小劇場演劇を代表する演出家として知られています。
数ある作品群のなかでも、今回のカフカのように“不条理”なテキストを多く手がけてきました。
それだけ聞くと、「なんか難しそう」と思われるかもしれません…が!
そんなことはありません。
色気のある男女の駆け引きが言葉なしに繰り広げられたかと思えば、
コントじみたスピーディな掛け合いの痴話喧嘩に笑いを誘われ、
闇に響く子守唄に不安にさせられたかと思えば、
ライブ演奏の体を揺らす迫力に圧倒される…
退屈している暇なんかないくらい、客席でいろんなことを体感できる作品です。
孟さんは実験性と同時に、圧倒的な数の観客の共感を集める多彩な作風で知られています。
例えば、孟さんのヒット作として知られる『恋するサイ』。
この作品はなんと20年以上にわたるロングラン公演がいまなお続いており、総公演回数2,500回、観客動員数約100万人(1999年〜2018年1月時点)という、とんでもない数字を誇っています。
日本の小劇場演劇で比較するとしたら、1日で26,400名を動員した、劇団 夢の遊眠社(野田秀樹 主宰)の1986年の代々木競技場での上演くらいでしょうか。
そう、日本で例えるなら現在、東京芸術劇場 芸術監督をつとめる野田秀樹さん。それくらいの存在が、中国における孟京輝さんなのです。
そんな演出家 孟京輝さんが手がける『アインシュタインの夢』。
ぜひ静岡芸術劇場で、孟京輝さんが描き出す夢の世界のまどろみのなかへ、迷いこみに来てください。
日本で中国小劇場演劇シーンを感じる貴重な機会、どうぞお見逃しなく!
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『アインシュタインの夢』
公演日時:2023年4月29日(土・祝)13:30、30日(日)13:30
会場:静岡芸術劇場
上演時間:75分(途中休憩なし)
上演言語・字幕:多言語上演・日本語字幕
座席:全席指定
演出:孟京輝(モン・ジンフイ)
製作:ノース・パーク・シアター
孟京辉戏剧工作室(モン・シアター・スタジオ)
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