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2010年11月18日

<萌目線。vol.56>我らがわが町。

先日、『わが町』全公演が無事終了しました。
ご来場くださいました沢山の皆様、
応援してくださいました皆様、本当にありがとうございました!!

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twitterでも感想のコメントをたくさんいただけて、嬉しいかぎりです。

まだ暑かった8月から稽古が始まり、
11月なんてすごく遠くに感じていたのに、

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気づいたらすっかり寒くなっていましたね。

オーディションを経て集まったメンバーと、演出の今井さんとで、
本当に「町」というか、「世界」を作っていくような稽古の日々でした。

全編通して、小道具や特別な装置が存在しない中での演技。
死者が生きていた頃をいとおしんで役を演じ、
日常という劇を見守っているという構成。

それは本当に、芸術劇場の舞台の上にしか存在しない、
私たちの「町」でした。

「今井マジック」という言葉が稽古場でよく飛び交ったのですが、
本当にマジックのように華麗で見事な演出を受けさせていただいたと思っています。

稽古場での今井さんは、本当に穏やかで丁寧に接してくださり、
その雰囲気の中で私たちは楽に呼吸をして、
共演者や自分の内に生まれてくるものを見つめているうちに、
作品が出来上がったと言っても過言ではありません。

例えるなら「痛くない整体」といったところでしょうか。(笑)

日常生活と、その中にある本当に劇的なものを舞台の上で表現するために、
身体も作品に対する精神も、自然で正しい方へ導いていただいたような感じです。

私たちにとって本当に貴重な体験だったと思います。

ところで、いただいた感想の多くにあるように、
『わが町』の戯曲の中には、毎日の一瞬一瞬を大切に、
というような死者から生者へ向けてのメッセージのようなものが含まれています。
しかし私は出演していても、
100%実感をもってそれを表現できていたわけではありません。

どっちかというと、
毎日どうして頑張って生きなきゃいけないんだろうとか、考えてしまうんです。

幕の降りた今も答えが見つけられないままですが、
少なくとも舞台に立つことを許され、
素晴らしい仲間やお客様に出会えて、私は幸せ者だと思っています。

皆さんいつも本当にありがとうございます。

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『わが町』の去った劇場には、
次の『しんしゃく源氏物語』のセットが仕込まれてまいりました。
稽古も白熱してきたところであります!!

「今」を大切に、この先の未来に向かって、
残りの秋のシーズン、駆け抜けたいと思います!!

 

<萌目線。>とは・・・
SPAC新人俳優石井萠水の目線で稽古場や舞台裏の様子をお届けしています。