SPAC初出演の藤田桃子さんにインタビューさせていただきました!
Q)マイムを中心とした表現活動をされていますが、その経緯について教えて下さい。
A)今でも、舞台に立っているのを不思議に思うことがあります。人前に出るのが好きじゃないので。引っ込み思案なところを変えたくて、カンフル剤じゃないけど真逆なことをしてみようかくらいな感じで始めました。パントマイムを一人でやっている人を子どもの頃に舞台で観たことがあって。“一人の人をみんなで観ている”状況がすごく印象に残りました。
大学4年の時にマイムを始めて、気付いたらマイムの学校に毎日通っていました。大学を卒業した年にマイムグループ(パフォーマンスシアター水と油)の旗揚げをしたんですけど、大きな一歩を踏み出す感じでもなかったです。マイムって先駆者的な人がいないので、先が続いていく実感は全然なく、そんなに夢見ることもなくて。
Q)藤田さんは舞台上での動きや佇まいに、ある種、中性的な存在感があると思うのですが。
A)マイムのグループにいた時は、4人中女性は私一人で、それってグループ内で特別視されそうですがそうされず、今思えばすごくラッキーでした。それはたぶん他のメンバーの女性観によるところが大きかったと思うんですけど、当たり前にフラットというか。
よく小野寺さんが言うんですが、いわゆる「女優さん」タイプじゃないからこそのラッキーさがあるじゃないかと。自分に酔っちゃうのは格好よろしくなくて、眼がくらんでいるうちに結果定型になっちゃう。疑う姿勢でいろんなことを見られたらと思います。
Q)日常の中で、「オイディプス」の話と何か相通じると感じる部分はありますか?
また、今回の作品の見所について教えて下さい。
A)“知らない”状態の自分に、すごくゾワッとするものがあって。怪談で聞いた、個室トイレを誰かが上から覗いてた話とか、膝の皿の裏にびっしり貝が寄生してた話とか。そういうの、生理的に大嫌い。本当にぞっとするのですが、最近は、気付いていない自分をそんなに怖がらなくても良いのかも、と思い始めてます。もっと“うかつ”で良いじゃないと。失敗しないことは無理なので。
今回の『オイディプス』は、大昔の話に感じてしまうのですが、そうではなく観てもらえればと思っています。俯瞰してみるのと、前のめりでみるのとでは受け止め方が全然違う。観る人がいかに前のめってくれるかは、やる側のことだとも思っています。
今回の『オイディプス』では可愛らしい動物?にも変身する藤田さん。一瞬見せるそのキュートな藤田さんの姿もお見逃しなく!