ブログ

2016年12月3日

【『サーカス物語』ブログ#6】ジョジョと仮面

『サーカス物語』、本日無事に一般公演の幕が上がりました!
ご来場くださった皆様、あたたかい拍手とたくさんのご感想をいただき
ありがとうございました。

本日のブログは、エリ役の布施安寿香がお届けします。

* * * * * * * * * * * * * * *

11月末から公演が始まりました「サーカス物語」
三年前とはまた違ったあたらしい作品になってます。
たくさんの方に見ていただきたいので、
今回のブログではジョジョについてエリからお話したいと思います。

ジョジョは物語後半で仮面をつけてきます。
そしてエリとふたりっきりになったときにそっと本音をもらします。
「からっぽをばれないように描いた顔をつけてるんだ」と。

hi7_1431

私はこのシーンのジョジョがとっても好きです。
再演になって相手役が変わって、
同じセリフなのにこんなに違うんだなぁと気づいてますます好きになりました。

三年前の阿部一徳さんのジョジョは、
見た目も大きく、エネルギッシュで、
はじけてて、だけどそれは、本当はシャイで臆病な自分を隠すための仮面で、
あのふたりっきりの瞬間にだけ思わず本心が垣間見えるという感じでした。

今回の若宮羊市さんは、
どちらかというと普段は愚か者のふりをして、逃げているのに、
本当に守らなきゃいけないものや、譲れないものがあるときにキラッとひかる芯の強さや男らしさがみえます。
背中に感じる体温が言葉以上の何かを伝えてくれます。

hi7_0839

相手が違うので少し心の動き方は違うけれど、
それぞれの欠けた所にふっとエリの心が寄り添っていくのを感じられて
演じていてもとっても幸せな瞬間です。

ピエロって悲しくて愛しくて、
それは私たち俳優を含めた芸人の典型だし、
結局は人間そのものなんじゃないかと思います。

人は完璧じゃない。
だからお互いに寄り添いあえる。

そのためには、怖いけど、そっと仮面ははずさなければ…。

劇場で自分がお芝居を見てるときってふっとその仮面がはずれる瞬間があるなぁと思います。
そこで見た自分の顔は好きじゃないかもしれない。
でも会いたかった人かもしれない。
傷みや苦しみやわけのわからない釈然としないものを抱えるかもしれない。
でも、それは明日を生きる強さになる、と私は信じています。

見にきてくださったお客さまに、そういった瞬間が訪れますように…。
毎日そう願ってつとめております。
ぜひぜひ劇場にいらしてください。
お待ちしております!

布施安寿香

★★★公演情報はこちら★★★★★
SPAC秋→春のシーズン2016 ♯3
『サーカス物語』
一般公演:12月3日(土)、10日(土)、18日(日)、23日(金・祝)
演出: ユディ・タジュディン (俳優・スタッフ一同の構想に基づく)
作: ミヒャエル・エンデ
訳: 矢川澄子 (岩波書店刊『サーカス物語』より)
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
★★★★★★★★★★★★★★★