ブログ

2013年2月15日

『マハーバーラタ』 フランスツアー日記(7)

2013年2月7日(木) パリ
SPAC文芸部 横山義志

静岡新聞一面にさっそく初日の記事。

http://spac.or.jp/media/?p=1910

はじめての午後入り。コインランドリーで洗濯。

字幕のチェック作業をしようかと思ったら、明日以降ほとんど満席になってしまったらしく、お願いしていた関係者のチケットがいくつも取れなくなってしまい、午後中調整に追われる。

公演二日目。開演一時間前から人が並んでいる。今日もほぼ満席。『ロミオとジュリエット』出演のピエール=イヴさん、演出助手のファビアナさんが来てくださる。

ケ・ブランリー美術館の方が、「昨日の舞台の静かな場面で、お客さんが物音一つ立てずに見てたでしょう?いつも絶対そわそわしてる人がいるのに、すごく集中して見ていて、驚いた」とおっしゃっていた。たしかにフランスでは一般的に、日本よりも落ち着きのないお客さんがずっと多い気がする。だが、今日も、静まりかえる「聖者の行進」の場面で、みんな固唾を呑んで見守ってくれていて、ほっとした。

楽しい作品だということが伝わってきたのか、今日はいつもより笑いの多い舞台。

終演後、文化専門の国営ラジオ局フランス・キュルチュールのインタビューを受ける。3月9日ごろ放送の予定とのこと。

2013年2月13日

『マハーバーラタ』 フランスツアー日記(6)

2013年2月6日(水) パリ
SPAC文芸部 横山義志

朝から字幕の調整。やってみないと分からなかったことがいろいろ。

13時からトレーニング、稽古。

初日の幕が開ける。今日は19時開演。『ロミオとジュリエット』のオマール・ポラスさん、『タカセの夢』のメルラン・ニヤカムさん、『令嬢ジュリー』舞台美術のローラン・P・ベルジェさん、昨年演劇祭で『旅』を上演してくれたイタリア・ポンテデーラ劇場の方など、SPACゆかりのアーティストが続々と駆けつけてくれる。今年の演劇祭で『室内』を作ってくれるクロード・レジさんは別の町でツアー中で、わざわざファックスで初日の成功を祈るメッセージを送ってくださった。昨日に続いてステファヌ・マルタン館長もいらしてくださった。「騎馬演劇」のバルタバスさんがいらしたのにはちょっと驚いた。そういった演劇関係者やジャーナリストも少なくないが、圧倒的多数は、チケットを買ってきてくれているふつうのお客さん。水曜日でもほぼ満席。

今日は昨日よりもノリがよく、じっと見ているだけでなく、所々笑いも起きて、ちょっと安心。終演後のレセプションで、批評家や演出家などが寄ってきて、口々に「これはすごかった、友達にも話しておく」とか、「家族を連れてもう一回見に来る」などと言ってくれる。

レセプションのあと、さらに劇場の技術スタッフが準備してくれた打ち上げ。お酒やおつまみだけでなく、劇場技術者らしく、わざわざ照明や往年のディスコ音楽まで仕込んでくれている。ニヤカムさんと踊り出す俳優たち。

「本当はミュージシャンなんだけど、家賃を稼ぐためにこうやって働いてるんだ」というスタッフが何人もいて、「あのアヤコ(寺内さん)のジャンベはグルーヴィーで最高だったよ、みんな俳優だなんて信じられない」なんておっしゃってくれた。

ケ・ブランリー美術館のスタッフたちは、前回の公演を知っている人が多いこともあるが、驚くくらいハートのある人たちだった。チーフのブリュノさんは、何かお願いすると必ず「じゃあ一杯おごれよ」とか、「これでボトル一本だな」とか、「そろそろジャック・ダニエルだな」とか、「ワイン一ケースだな」とか、毎日しつこいくらい言ってきて、面倒なやつだと思っていたら、この日は自分で大量のお酒を買ってきて振る舞ってくれたらしい。今日になってようやく分かってきたが、ブリュノは、作品を良くするための仕事であれば、どんなに面倒なことでも(冗談は言いつつも)すぐにやってくれるし、時にはこちらが頼んでいないことまで、気を利かせてやってくれたりする。

他のスタッフは、「ブリュノがクレイジーだから、ここにはクレイジーなスタッフしか集まらないんだ」などと言っていて、ブリュノは「ただ仕事だけするなんて、なんにも面白くないだろう?一緒に一つのものを分かち合えて、人間的なつきあいができるようなやつとしか、おれは仕事はしないんだ」などと語っていた。今日はしんどいから早めに帰ろうか、などと思っていたが、みんなが引き留めてくれたおかげで、いろいろ話せてよかった。ちょっと幸せな初日。




2013年2月12日

『マハーバーラタ』 フランスツアー日記(5)

2013年2月5日(火) パリ
SPAC文芸部 横山義志

半日稽古のあと、ほぼ全員で17時にステファヌ・マルタン館長室を訪問。本物の植物で覆われた壁がある。大きな窓からはパリの右岸が一望できる。「ケ・ブランリー美術館開館を記念して上演された『マハーバーラタ』は、この美術館と切り離せない作品になっています。これまでの6年間にこの劇場で上演された作品のなかで一番すばらしい作品でした。この館長室にアーティストをご招待することはあまりないのですが、『マハーバーラタ』ほどこのジャン・ヌーヴェルの建築の特性を活かした作品はないので、この建築作品のもう一つの側面も見ていただきたかったのです」と、マルタン館長。返礼として、静岡県立美術館の芳賀徹館長編集による富士山百画、芹沢銈介の風呂敷、静岡茶をプレゼント。

ついにゲネ。 なんと200人近いお客さんが入る。うち150人くらいは美術館の職員らしい。希望を取ったら、かつてないほどの人数になったという。ジャーナリストも10人前後。はじめは作品の様子がつかめず、戸惑っている観もあったが、終演とともに熱狂的な拍手。ゲネでダブルコールというのははじめて見た気がする。多くの方から励ましていただいた。

終演後、フランスの国際ラジオ局RFIと、共同通信パリ支局による宮城さんのインタビューが入る。

2013年2月8日

『マハーバーラタ』 フランスツアー日記(4)

2013年2月4日(月) パリ
SPAC文芸部 横山義志

仕込み三日目。舞台完成。

次のル・アーヴルの劇場の舞台監督が視察に訪れる。ここよりは規模の小さな劇場で、いろいろ制限もあり、できることとできないことを顔をつきあわせてチェック。時間ごとの人員配置をちょっと変えようとすると、労働法規や組合の規則もあり、当然人件費の制約もあるので、パズルのような作業になる。メールではなかなか進まなかった話が、あっという間に決まっていく。

稽古がはじまる。マハーバーラタは客席からの登場もあったりで、場面ごとに経路を確認。

23時まで稽古。





<制作部よもやまブログ#27>パンちゃんと椿

こんにちは、制作部の佐伯風土です。

みなさんは舞台芸術公園(日本平)を訪れたことはありますか?

近隣の方がジョギング、犬の散歩、学校で遠足、デート、親子でピクニック・・・
日中の園内はどなたでも気軽に入れるので
一日を通していろいろな方々が訪れます。

入口のロータリーで静鉄バスor車から降りて、階段を下ると
まっさきに声をかけてくれるのが、警備員さん。
初めての方にはまず園内の説明をしてくれます。

地図

そして・・・
番犬ならぬ、番猫となりつつあるパンちゃん。

パンちゃん

パンダ柄のパンちゃん。

ある日、後ろ脚がプラ~ンとなってて
「骨折!?」と誰もが焦ったのですが
2,3日後にはフツーに歩いていました。
恐るべき治癒力。

今日は、警備員さんから焦った声で
「パンちゃんがケガをしました。出血は止まったみたいですが・・・結構ザックリと!」。
他の動物と死闘を繰り広げたようで、首のほかに、顔面にも痛々しい傷。。。

おいおいパンちゃん、だいじょうぶかい?と近寄るも、
「これくらい、なんでもないにゃ。
 おまえこそ、人の身より己自身を案じろにゃ。」
との言葉(視線)を残し、傷ついた体で去っていくパン様。

パンちゃん、いったいどういうこと?

と、後を追って茂みに踏み込むと、足元に椿が一輪。

枯葉の椿

散ってもなお、椿でありつづけようとする生命力。
ニョキニョキっと、枯葉の中から顔を出しているよう。

夏はお茶畑に草木に緑が溢れ、花が咲き乱れますが、
冬場は色彩がなくなり、夕暮れともなると、もの寂しさが増します。
それでも、寒さを耐えしのいで、ひとり鮮やかに咲き誇っているのが椿。
逞しい。

椿

苔と落椿のツートンカラーも。

ツートン

これは冬の一日。
四季折々、舞台芸術公園は様変わりします。

そこに聞こえてくる、俳優やスタッフの声や音
稽古場でリフレインされている台詞の声
誰かが叩くジャンベの乾いた音
釘が打ち込まれていく金属音

演劇と自然がひとつになった空間に、ぜひ足を運んでみてください。

2013年2月7日

<役者おくぬ~日記>福田ドルチェ倉庫と磐田市のまちづくり

カテゴリー: 役者おくぬー日記

1月21日、磐田市福田のドルチェ倉庫さんで
磐田市芸術文化振興議員連盟の主催によります文化講演
〜まちづくりに文化を〜


『SPAC俳優と芸術総監督による
朗読とピアノの午後 + 講演』

無事終了しました。

かつては、織物の町と知られた福田町。
福田音楽愛好会「アンダンテ」の活動の拠点、練習や会議をはじめ、コンサート会場ともなる「ドルチェ倉庫」は150号線から10メートル程入ったところにあり、戦前に建てられたという織物工場跡で、先日、西洋風建築の母屋とともに国の登録有形文化財に答申されて話題になりました。

ト_ルチェ1

床、壁、天井全て木で造られ、温かさとやさしさにあふれた素敵な空間です。

ト_ルチェ2

ここで、私、宮城監督の講演の前座で、
昨年秋に朗読とピアノの午後で吉田伊津子さんと上演した
超講座動読ライブ『恋はロミオとジュリエット』を上演させて頂きました。

恋はロミシ_ュリ1

前日は私、浜松の劇団と人形劇団の合同演劇祭「浜松劇突」で大岡演出『邯鄲』にゲスト出演しておりましたので、連続で乗り切れるか不安でしたが、元気な高校3年生の二人や吉田伊津子さんからもパワーを頂き、お陰さまで無事終えることができました。

恋はロミシ_ュリ2

宮城さんの講演、いつもながらとても良いお話だったと思います。

宮城講演1

僕らの子供の頃って放課後はみんなで野球をしたり砂遊びをしたり、野山を走り回って遊び、子供同士が直に接しておりましたが、遊ぶ時はゲームに興じ、パソコンの普及で買い物すら人を介さずに済ませることができるようにった現代において、生の肉体を見つめ、人間の発するエネルギーに浸る舞台芸術に接する時間はとても貴重だとあらためて思います。

宮城講演2

舞台芸術に関心を示してくださる市議会議員さんが大勢いらっしゃる磐田市には、これからも度々お邪魔することになると思います。
(人形劇の上演活動に長く取り組んでおられる八木邦雄議員とは、前日の浜松劇突の合同公演『邯鄲』で競演させていただきました。)

企画してくださった玉田議員はじめ、お越しいただきました皆様、ありがとうございました。
今後ともまちづくりに文化をどんどん役立てていって頂けたらと思います。

ちなみに、

そんなドルチェ倉庫さんで

2月11日(月祝)13時からリーディング・カフェを開催予定です。
実に2年半ぶりって感じです。
http://www4.tokai.or.jp/dolcesouko/

リーテ_ィンク_・カフェ1

11日は19時から今之浦のオフィスサロコンさんで再びリーディング・カフェです。
http://salocontama.hamazo.tv/

リーテ_ィンク_・カフェ2

2月11日は、磐田の熱い文化発信拠点2ヵ所でリーディング・カフェを開催します。
楽しみです!

その他、リーディング・カフェ情報は下記から

http://spac.or.jp/news/?p=6313

磐田といえば

その前々日2月9日(土)18:30から
磐田市民文化会館大ホールで
磐田信金さんが中心になって行われるチャリティーコンサート
『明日へそして未来へ“愛とともに”2013』に
静岡の大御所ジャズピアノ栗田丈資さんと「注文の多い料理店」で出演します。
演出はSPAC文芸部の大岡淳氏。

愛とともに

たびたび栗田さん家のスタジオにお邪魔して、 
久しぶりに栗田さんとの新演目づくり、とても順調です!

栗田さん

1部は磐田の歴史あるさ『みどり合唱団』そして3部はご存知、『佐藤典子舞踊団』に大柴タクマさんがゲスト出演!充実したラインナップです。

愛とともに

皆様も、文化で”まちづくり”の磐田に是非足をお運びくださいませ!

<ロビンソンとクルーソー>2人仲良くラジオにも出演!

SPACの俳優やスタッフが出演させて頂いているラジオ番組があります!
毎週日曜日にエフエムしみず(マリンパル)で放送中の番組「Sweet Season」(SPACの紹介時間は12時20分頃から13時頃)

2/3(日)の放送には『ロビンソンとクルーソー』より三島と仲谷が仲良く出演!!
スタジオでの放送風景をパシャリ。
パーソナリティの是永真由子さんと、作品について語る2人。
20130206-3

番組は生放送!!どんなエピソードが飛び出すか、その時のお楽しみです。
舞台や劇場とはちょっと違ったSPACの一面を「聴く」ことが出来ますよ!

ちなみにエフエムしみず(マリンパル)のスタジオは、清水マリンターミナルの2階にあります。
スタジオから見える景色はとても開放的。まるで海の上にいるようです。
20130206-1

次回2/10(日)の放送にも2人揃って出演します!
是非聴いてくださいね。

『ロビンソンとクルーソー』鑑賞事業公演はまだまだ上演中!一般の方もご入場頂けます。
チケットは限定数販売・電話・窓口のみでのお取り扱いです。
劇場へのお越しをお待ちしております★

2013年2月6日

『マハーバーラタ』 フランスツアー日記(3)

2013年2月3日 (日) パリ
SPAC文芸部 横山義志

仕込み二日目。舞台が組み上がっていき、楽器や字幕も設置。

『ガラスの動物園』演出のダニエル・ジャンヌトーさんが応援に駆けつけてくださる。

照明フォーカスも進む。23時まで作業。




2013年2月5日

『マハーバーラタ』 フランスツアー日記(2)

2013年2月2日(土) パリ
SPAC文芸部 横山義志

仕込み初日。2006年にも来た人たちにとっては、懐かしのクロード・レヴィ=ストロース劇場。

40フィートコンテナを乗せたトレーラーが劇場の搬入口に待ちかまえている。風が冷たいものの、朝方の雨は幸運にもあがっている。気温は3度くらいか。この時期のパリとしては、怖れていたほどの寒さではないが、だんだん芯まで冷えてくる。1時間弱でコンテナが空に。大きなトレーラーは近い搬入口まで入れないため、遠い搬入口からエレベーターで下ろし、重い資材を200メートルくらい運ばなければならない。

劇場側にも前回の公演についたスタッフがけっこういて、比較的スムーズに進む。前回制作方の責任者だった方が、今は別の劇場で働いているものの、たまたまお子さんを連れて美術館に来て、楽屋までご挨拶に来て下さって、「私が6年間働いたなかで一番感動した作品でした。また子どもたちを連れて観に来ますね!」などとおっしゃってくださる。

パリで研修中の第七劇場主宰、鳴海康平さん、登場!同じく同劇団女優の山田裕子さんとともに、公演準備を手伝って下さることに。

22時退館と言われていたが、劇場のスタッフが融通を利かせてくれて、23時まで作業。


IMG_3599
IMG_3614

『マハーバーラタ』 フランスツアー日記(1) 

2013年2月1日(金)~2月2日(土) 静岡~パリ
SPAC文芸部 横山義志

今日から23日間のフランスツアー。演目は宮城聰演出『マハーバーラタ』。この作品は2006年にパリの国立ケ・ブランリー美術館クロード・レヴィ=ストロース劇場のこけら落とし公演として上演されていて好評だったので、フランス側から再演のオファーがあり、今回のツアーとなった。パリのほか、カーン、ル・アーヴル、ルヴァロワの計4都市で上演の予定。今回はどんな出会いがあるだろうか。

旅ゆけば駿河の国に茶の香り、というわけで、まずは茶畑広がる舞台芸術公園に集合。といっても、集合時間は午前3時で、2月の夜中に茶の香りがするはずもなく、マフラーをぐるぐる巻きにしてバスに乗り込む。

ちょっと早めに着いたかな、などと思いつつノートパソコンを開いてみたら、転送したはずのデータがすべて飛んでいて、あわてて自宅に取って返してかさばるバックアップ用ハードディスクをスーツケースにねじこみ、間一髪、午前4時集合の静岡芸術劇場出発組に合流。前途多難である。

成田空港には機材を積み込んだトラックも無事に到着。スーツケースと楽器や小道具をチェックインし、お昼頃飛行機に乗り込む。

と、前の列にはなんだか見覚えのあるお顔。お世話になっているフランス大使館文化部の方だった。「ちょうど今日、フランス大使と静岡県知事の対談があるので、来る前に大使に、SPACの話をしておきましょうね、なんて話してたところなんですよ(大使は昨年演劇祭で「ロミオとジュリエット」を観劇なさっている)」とのこと。なんと2月6日の「マハーバーラタ」初日にもプライベートで来てくださる予定だったという。ちょっと不思議なご縁。

ちょうどお隣はフランス語ができる衣裳部岡村さん。パリで舞台衣裳を学んできた、という強者である。お、パリっ子だね。旅は道連れ世は情け、スシ食いねえ、酒も飲みねえ、などと前列では盛り上がりつつ(想像)、機内で過ごす12時間があっという間に(でもないが)過ぎていく。去年のツアー先、コロンビアのボゴタは飛行機だけで20時間近くかかったので、それに比べれば早いものである。

16時半頃空港着、荷物が揃って18時過ぎに空港を出る。その後ホテルに直行し、泥のように就寝。