ブログ

2013年4月29日

<制作部よもやまブログ#35>「まるふ」演目紹介②『脱線!スパニッシュ・フライ』

こんにちは、制作部の佐伯です。
オフィスでイヤホンしながらとある映像を観ていたのですが
同僚から「あんた大丈夫?」と本気で心配されました。
みんなが真面目に仕事をしている横で必死に堪えていた笑いが漏れていたそうです・・・。

それこそが、
『脱線!スパニッシュ・フライ』
ドタバタ喜劇で、ベルリンで全公演完売するほど大ブレークしたとか。
6/8・9になったら、ここ静岡芸術劇場にやってきます。
(作品紹介はこちら

一言で表すなら・・・「ドイツの吉本」


(c)Thomas Aurin

台詞はダジャレの応酬らしいです。
「らしい」というのは字幕がまだないもので・・・。
しかし、字幕なしでも、ドイツ語さっぱりでも笑えるほどホント馬鹿馬鹿しい

「ドイツ演劇って難しそう」というイメージを見事に裏切ってくれる、
まさに「笑える」ドイツ演劇でした。
小さなお子さんも一緒に楽しめますよ。

(紹介ビデオ)

いやしかしコレ・・・動く動く動く、喋る喋る喋る。
そして観客も、ウケるウケるウケる。

巨大なペルシャ絨毯が波打って敷かれた舞台の上で、
カラダを張った「体当たりのボケ」がスピード感ある
早いテンポで繰り出されます。

あまりにも動いて走り回りすぎるものだから、
タワーのように高く盛られたかつらが折れそうだったり、
付けヒゲがとれかかって残り1センチで繋がってたり、
終盤になると女優の髪もボッサボサだったり。
時にはビックリしすぎて舞台から落ちる俳優もいます。

体内から、エネルギーが目に見えて放出されている、そんな舞台。

でも、一見しっちゃかめっちゃかに好き勝手やっているように見えて、
実はデリケートな間合いやルールが存在しているのです。
役者がお互いに決まり事を守って信頼しあいながら
縦横無尽に舞台を駆け抜けていることに気が付かされます。
暴走しているようで、緻密な計算がされているのです。

それもそのはず。
この「ベルリン・フォルクスビューネ」
100年の歴史と伝統を持つ由緒ある劇場です。

出演している俳優はドイツの実力派揃いなのです。
本当に上手い役者が、くだらないことをとことんやり尽くす。
そんな面白さがこの作品にはあります。

演出したヘルベルト・フリッチュさんは、
元々はベルリン・フォルクスビューネの所属俳優として欠かせない名優でした。


(c)Thomas Aurin

60歳代で本格的に演出家としての活動を始め、
2011・2012年と二年連続でベルリン演劇祭
(ドイツ語圏演劇ベスト10が選ばれる演劇祭)に
自身の3作品が選ばれたという、いま最も勢いがある演出家の一人です。
(『脱線!スパニッシュ・フライ』は2012年に選ばれています。)

フリッチュさんからのメッセージもご覧ください。

(演出家からのメッセージビデオ)

「・・・この作品にメッセージはないけど、マッサージにはなるよ
 お客さんにとって癒しとなる演劇なんだ。」

一度も吹かずに見れたらスゴイ!というこの舞台。
本物の演技を劇場でお楽しみください。
当日はフリッチュさんにも会えます!

そして最後に、SPAC期待の新人・山川より皆さんへのメッセージです。

==================
こんにちは、4月からSPACの一員となった山川です。

はじめての演劇祭で担当させていただく演目はベルリンのフォルクスビューネによる『脱線!スパニッシュ・フライ(Die (s)panische Fliege)』です。地元ベルリンでも全公演完売となった話題の演目が、ここ静岡にやってきます。

ドイツ語での上演に不安を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心を。もはや言葉なんて関係ない!大きな絨毯が敷かれた舞台の上で俳優たちが繰り広げる訳のわからない、でもなぜか笑える身体表現をご覧になれば、それだけで楽しめちゃう作品です。
この来日公演を記念して5月にはトークショーも催されます。

ドイツ演劇専門家とSPAC俳優、という異例のコンビによって語られる『脱線!スパニッシュ・フライ』、そしてドイツ王道喜劇論。演劇祭を前に少し作品について先取りしちゃいませんか?きっと新たな視点から作品をもっと楽しめること間違いなしです!
==================

・・・そうです、プレイベントがあるのでした!
ナイスフォローな山川さん。

5/11(東京ドイツ文化センター)と5/12(静岡シネ・ギャラリー)の二日間、
大阪大学のドイツ文学・演劇の専門家、市川明先生をお呼びして、
SPACが誇る喜劇俳優・三島景太とのトークショーを行います。

『鉄板!ドイツ王道喜劇論~民衆劇場・フォルクスビューネ、笑いの主成分~』

市川明先生といえば、NHKラジオのドイツ語講座でお馴染み。
三島は、先週まで上演されていた『ロビンソンとクルーソー』の出演や
今回の演劇祭ではSPAC新作『黄金の馬車』にも出演する俳優です。

この異色コンビで、舞台に潜む「笑い」のツボに迫ります!

さらに当日はなんと!
・ドイツといえばコレ、お洒落なアンペルマンのトートバッグが当たる抽選会
・クマの形のカラフルなグミ「ハリボー」を来場者全員にプレゼント
・静岡会場ではフォルクスワーゲンの展示も!(車内の乗り心地を体感できます。)
・そして、SPAC俳優・奥野晃士も「動読」ライブで参戦!(静岡会場のみ)

これまでドイツに縁が深かった方も、
私もそうですが、ドイツを全く知らなかった方も、
演劇をとおして皆さんとつながることができれば嬉しいです。
劇場はいつも、何かに出会える場所なのです。