11月7日、『夜叉ヶ池』一般公演千秋楽を翌日にひかえたこの日、SPACがまたまた街へ繰り出しました!
秋のシーズン『ドン・ファン』に引き続き、伝馬町の皆さんのご協力のもと、109前の広場で路上パフォーマンスを行ないました。一般公演を終えた俳優たちは衣装を着たまま伝馬町けやき通りに集合。劇中で使用する太鼓を片手に、『夜叉ヶ池』のワンシーンを披露しました。
日の暮れた街頭に俳優たちが打ち鳴らす太鼓の音がコダマすると、たまたま通りかかった人たちも、けやき通りの商店の皆さんも、何がはじまったんだ?と興味をもってくださいます。『ドン・ファン』のときと同じくいつの間にか人だかりができました。
見物してくださった方々のなかには、中高生鑑賞事業で『夜叉ヶ池』を観劇してくれた高校生が偶然居合わせたり!
街のド真ん中ですから、思わぬ出会いがあります。泉鏡花の『夜叉ヶ池』が好きだという方が「次はぜひ劇場で!」と言ってくださったり…
劇場で待っていては決して出会えない未来のお客様とバッタリ! というわけです。
SPACはそんな偶然を求めてこれからも街に出ようと思います。うれしい偶然が街に溢れていることに気づかされます。それもこれも普段街を歩くだけではなかなか気づかないことです。俳優が街に出ていって、短い時間ですが、パフォーマンスをする、そうした祝祭的な雰囲気をつくることで、街に人の情が漂います。そこではじめて何かに出会える期待が立ち込めるのでしょう。期待する人の視線の先には、きっと、希望がみえるはずです。その希望をみつめる視線が街を活気づけるのだと思います。
演劇が街のためにできること、演劇が人のためにできること、どうやらまだまだありそうです。