こんにちは!SPAC制作部の谷口裕子です。
『よく生きる/死ぬためのちょっとしたレッスン』のブログ第2弾をお届けします。
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テアトロ・デ・ロス・センティードス(五感の劇場)(以下TDLS)の俳優パトリツィアさんとジョバンナさんが静岡にやってきました。
この劇団による『よく生きる/死ぬためのちょっとしたレッスン』の公演は4/26〜29。
他の劇団員、そしてバロセロナから航空便で届く舞台道具よりも早く二人が静岡に来た理由、それは日本の現地参加俳優のオーディションを行うためです。
その様子をご紹介します。
オーディションといってもコーラスラインのような、審査員が机の前にいて、受験生は胸に番号を付けている、そのようなオーディションではありません。
二人によって行われるのは4日間に渡るワークショップ形式のものです。
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オーディションワークショップ(以後WS)初日。会場は薄暗いです。
自己紹介はせずに、「何か説明するよりはじめましょう。」とパトリツィアさん。
講師の2人は常に落ち着いていて、ここで起こる事柄全てを見逃さないといった覚悟と、360度にしなやかな感覚があるように見えました。
今日はたぶん10種類以上のゲームを行いました。
鬼ごっこみたいなものから、せんだみつおゲームみたいなものも。
ゲームは1段階、2段階とパトリツィアさんの指示で少しずつルールが変更されていき、ルールが変更されると、そのゲームはより感覚的になっていきました。
だんだんと言葉を使わなくなり、エネルギーを循環させる行為になりました。
ゲームの後には必ず参加者全員で円になって語り合います。
みんな口々に感じたことを話します。
ゲームの中で出会ったものについてや、新たに気づいたことについて、聞いてほしい!という純粋な欲求が参加者から湧き出ていました。
あっという間に3時間が経過し、前半が終了しました。そこにSPACの俳優 牧山祐大がかけつけました。
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LESSON1「耳を傾ける」
ども、牧山です。
1日目。『よく生きる/死ぬためのちょっとしたレッスン』のWSに、2時間ほど参加しました。
すでに3時間のWSを経た参加者たちの顔には程よい緊張感とちょっとした安堵感が漂っています。
WS自体の進行や、初めて顔を合わせた参加者たちにも慣れてきたのでしょうか。俺は全然、慣れてないんですけど。
このWS、名づけるならば「視線」と「探索」という2種類のゲームを参加者と一緒に体験したといえるんじゃないかな。
いつの間にか五感をフルに使っている自分がいます。進め方がうまい。
「耳を傾ける」というフレーズをパティ(パトリツィア)とジョバンナは強調します。
それは世界に耳を傾けるということ、そして自分の内側に耳を傾けるということ。
どうやら『よく生きる/死ぬためのちょっとしたレッスン』という公演は、ストーリーのあるテキスト(戯曲)を下敷きに、要所要所でゲームや、ゲームから派生した儀礼を行い、観客のみなさんもそれに参加するというもののようです。
数々のゲームを通じて、WS参加者たちには「五感が開かれる」という状態を経験してもらい、本番ではその記憶をお客さんに伝えることが仕事になる、と説明してくれました。
日本の俳優の印象を聞いたところ、「もっとシャイな人たちが多いんじゃないかと思っていたけれど、尻込みせずに、しかも協力的に参加してくれたわ」と驚いていました。「恥ずかしがりや」というのが世界からみた日本人のイメージなのですかね。かくいう俺も人見知りです。
そんなこんなでWSに参加して体験レポートを書くことになりました。
TDLSは各地で上演を重ねてきたが、その土地ごとに作品は全く違った印象になるといいます。
日本の観客たちによって作られる『よく生きる/死ぬためのちょっとしたレッスン』はどのような公演になるのでしょう。
Photo : Chiye NAMEGAI