LESSON2「ゲーム」
2日目。今日はWSのはじめから参加させてもらいました。
6時間の長丁場。42才になった俺の体力はもつのでしょうか。
沢山のゲームを6時間の中で体験したのですが、印象に残った2つほどを紹介します。
まず1つ目は、(勝手に)名づけて「真夜中の散歩」。
1人が目をつぶります。みんなは輪になり、まるで誰かにボールを受け渡すように、目をつぶった人の背中を押し、移動させます。目をつぶった人は押した人の意志(押された時の強さや方向、はたまた感情、動作まで)を感じ取り、次の場所に移動していきます。
実際に、押す人と押される人が手をつなぎ、2人で稽古場を走り回っているのを目撃しました。もちろん1人は目をつぶっているのです。
最終的に目をつぶった人は、最大で4人になりました。それぞれ押す人がついていたとはいえ、普通に考えたら危ない気もするけれども、一切、そんなことはなかったですね。不思議。
2つ目は「手探り」。
全員が目隠しをした状態で、回りの人の存在を意識するというゲームです。ルールは特になく、人のいる場所と人がいない場所の違いを感じます。人がいる場所を感知したら、触ることなくその人の感触を想像する。次に、実際、触れてみる。
「想像の感触」と、「実際に触れて確かめてみた感触」との最大の違いは温度。その温度によって、さまざまなことを思い出したという感想を述べている人がいましたね。
温度から蘇る記憶ですね。
最後のゲームの前に、2人が話してくれた記憶の話を簡単に紹介します。
2人は、記憶が感覚を呼び起こすスイッチなのだと言います。経験が感覚を作り、記憶する。そして、再びその経験と同じような経験をしたとき、記憶が蘇り、感覚を呼び起こす。
ガラスで手を切ってケガをしたときの痛みを、割れたガラス窓を見て思いだした、みたいなことってありませんか。そんなことを伝えたかったのかな、と。
感覚(感情)と記憶は密接に繋がっているのだと、二人はみんなに話してくれました。
WSの2日目終了後、参加者に感想を聞いてみました。みな、色々思うことがあるらしく、たくさん話をしてくれたのですが、かいつまんで紹介します。申し訳ない。
・感情を呼び起こすことで、自分の感情に閉じこもってしまう自分がいる。そんな状態でも心を開いていけるようにしたい。(男性)
・みんなを信頼している自分がいる。それは楽しいことなんだけども、仲間内だけで盛り上がってるみたいな状況にはしたくない。(女性)
・頭をからっぽにすることです。からっぽにして行動に移すので、エネルギーがわいてくるんだと思います。(男性)
・ゲームは初めてじゃない。昔はやる前に壁をつくってしまう自分がいたんだけど、結局、なにも考えずに楽しむのが一番なのよ。わからないからって、消極的になるのが一番ダメ。(女性)
・ルールが明確なゲームはルールを共有しているという状況を信頼できる。でも、何をしていいかわからないゲームは不安だし、恐怖。ただ、恐怖を感じている自分の五感はとても鋭くなっているということは確か。(女性)
・ゴールが見えない。もちろんゲームは興味深い。でも、人前でゲームをするとき、なにかしらの意図をもつことがわざとらしさに繋がらないか、と考えてしまう。(男性)
Photo : Chiye NAMEGAI
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『よく生きる/死ぬためのちょっとしたレッスン』レポート
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