みなさん、こんにちは。
制作の北堀です。
今回はブレヒトについて紹介したいと思います。
オイゲン・ベルトルト・フリードリヒ・ブレヒト(Eugen Berthold Friedrich Brecht、1898年2月10日 – 1956年8月14日)は、戯曲『セチュアンの善人』の作者ですが、「ブレヒトって名前は聞いたことあるけど、実はよく知らない……」という人も少なくないのでは?
ブレヒトは20世紀に活躍したドイツの劇作家、演出家、詩人です。
『セチュアンの善人』のほかに『三文オペラ』や『ガリレイの生涯』などを書きました。
先日、座組のメンバーに向けて、SPAC文芸部の大岡淳(昨年、株式会社共和国から『三文オペラ』の新訳本を出版しました)によるブレヒト講座が行われました。
このブログをご覧の皆さんにも、大岡さんが教えてくれたブレヒトの情報を紹介いたしますね。
ブレヒトの初期作品(『バール』や『夜うつ太鼓』など)は表現主義の影響を受け、ほとばしるエネルギーのようなものをそのまま主人公に託して描いている。
1920年代になるとマルクス主義の影響を受けます。(『三文オペラ』など)
その頃アジプロ演劇(アジテーションとプロパガンダを前面に打ち出す、革命の思想を説くための演劇)の第一人者であるエルヴィン・ピスカートルと出会います。ブレヒトは彼の影響を受けながらも、舞台上で革命を起こしても現実では革命は起きないことを思い知ります。
どうやったら舞台を観た人が現実を変えたくなるか……。
そう考えた時に思いついたのが、いわゆる「異化効果」!
見慣れたものを見慣れないものにすることによって、観客に、感動することより以上に、思考することを促したのです。
どのような方法で異化を行っていたかというと……
1.役からの離脱
…ナレーター的立場に移ったり自分が演じている役について露骨にコメントをしたりする。
2.歌、朗唱
…台詞の流れを断ち切り、歌っている時は演じている時と居方が違ってくる。
3.記号的身体
…ブレヒトは中国の「京劇」のような、型が既にある演技方法に影響を受けた。
4.多面的演技
…感情と行動が一致していないなど、ブレヒトが最後にたどり着いた異化の技法。
ブレヒトといえば異化効果というのは知っていましたが異化効果にも様々な技法があるんですね!
▲メモを取る俳優たち。
私が調べたところでは、ブレヒトはプライベートでは何人もの愛人を持っているなど、難しそうなイメージとは違った一面も持っていたようです。
そんなブレヒトが書いた『セチュアンの善人』。
どんな話かというと……
神様が善人を探すためにセチュアンという町に降り立ち、そこでシェン・テという貧しくも心優しい女性に出会います。
シェン・テは神様を自分の家に泊めてあげて、そのお礼に宿代として大金をもらいます。
大金を元手に商売を始めたシェン・テのもとには、たちまち貧民たちが集まり、シェン・テを食い物にしてしまいます。
「善人であれ」という神様からの掟を守りたいけれど、このままでは身の破滅だと、、悩み苦しむシェン・テ。
自分の身を守るために、冷徹な従兄弟のシュイ・タに変装して乗り切ろうとするのですが……
善良な人間は残酷と貪欲の仮面なしには生きてはいけないことを描いた寓話劇です。
そんな原作を、今回は敬彦さん自身が改編し、敬彦ワールドに仕上げました!
その名も……
『RITA&RICO(リタとリコ)~「セチュアンの善人」より~』
です!
リタとリコとはどういう意味なのでしょうか?
ぜひ劇場に来てお確かめください!
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SPAC秋→春のシーズン2019-2020 #3
『RITA&RICO(リタとリコ)~「セチュアンの善人」より~』
2019年12月14日(土)、15日(日)、21日(土)、22日(日)
各日14:00開演
会場:静岡芸術劇場
原案:ベルトルト・ブレヒト
構成・演出・台本:渡辺敬彦
台本協力:守山真利恵
出演:泉陽二、大内智美、木内琴子、貴島豪、小長谷勝彦、三島景太、山本実幸、吉植荘一郎
<チケット>
SPACの会会員先行予約開始:9月21日(土)10:00
一般前売開始:9月28日(土)10:00
「秋→春のシーズン2019-2020」詳細はこちら
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