その1では戯曲を読んでいなくとも楽しめる点についてレポートしましたが、
戯曲を読んでいても、稽古を観ているなかで新しい発見があります。
2022年12月21日の稽古にて。
リチャードが王位を譲り渡すシーン。戯曲を読んだときには、リチャードの長台詞が、【駄々をこねている…!?】とすら思えてしまっていたのですが…、実際に俳優さんが演じているのを観たら【明確な意図がある】かもしれない…と、思いなおしました。
しかしその後、12月26日の稽古では、同じシーンがさらにブラッシュアップされて、雰囲気が変わり、【意図があるようでじつは天然?】と、またまた思いなおしました。
リチャードの言葉をきいている新王ボリングブルックの表情にも注目です。
チラシの裏面にある、演出の寺内さんの言葉でも書かれていますが、「誰が本当のことを言っているのか、全くわからない。」
登場人物同士も、相手がどう思っているのかわからないんですよね。
そんななかで、たびたび登場する“祈り”や“宣言”にはどのような意味があるのでしょう。
12月28日には、現段階での衣裳合わせが行われました。
着用するだけではなく、実際にシーンを演じて、支障がないかもチェック。こちらも細かいこだわりが見られました。「サスペンダーをまっすぐではなく斜めに変更」「硬さを出したい」「旅の疲れ感がほしい」などなど。衣裳からのインスピレーションが、すでに演技に反映されている俳優さんもいるように見受けられました。
▲アイテムのぬいぐるみを使って演技している様子
そして12月29日、年内の稽古納めの日。それまでのクリエーションをふまえた通し稽古がおこなわれました。通し後には寺内さんからのフィードバック。まだまだアイデアが出てきます。
ここからさらに進化すると思うと、楽しみでなりません。
ぜひ、劇場で体感してくださいませ!
インターン:村山恵美
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SPAC秋→春のシーズン2022-2023 #3
『リチャード二世』
2023年1月14日(土)・15日(日)・21日(土)・22日(日)・28日(土)・29日(日)
各日14:00開演
会場:静岡芸術劇場
日本語上演/英語字幕
我欲と裏切り。目的のためなら手段を選ばない暴君リチャード2世の没落と、王座に上りつめるボリングブルック——シェイクスピアの数ある史劇の源流となるイングランド王の物語を、SPAC俳優としてまた『忠臣蔵2021』の共同演出など演出家としても活躍目覚ましい寺内亜矢子が、現代を照射する物語として鮮やかに描く。
演出:寺内亜矢子
作:ウィリアム・シェイクスピア
訳:小田島雄志
出演:阿部一徳、石井萠水、大高浩一、片岡佐知子、木内琴子、小長谷勝彦、永井健二、ながいさやこ、本多麻紀、牧山祐大、宮城嶋遥加、吉植荘一郎、渡辺敬彦[五十音順]