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2023年4月24日

『ハムレット(どうしても!)』の魅力を制作部スタッフがご紹介♪ ~こんなハムレットはじめて!前編~

「ふじのくに⇄せかい演劇祭2023」開幕まであと5日!
フランスからの招聘作品『ハムレット(どうしても!)』について、制作担当・雪岡からその魅力をご紹介いたします♪

▼舞台芸術公園 野外劇場「有度」 劇場前広場より

 
本作は、イギリスの劇作家・シェイクスピアの傑作戯曲『ハムレット』をフランスの演出家 オリヴィエ・ピィさんが翻訳・演出し、2021年7月にフランス・アヴィニョン演劇祭で初演されました。


 
上演会場は、アヴィニョン市内にあるセカノ図書館の中庭(セカノ広場、Jardin Ceccano)。2017年に同フェスティバル招聘公式プログラム・オープニング作品としてSPACが『アンティゴネ』(演出:宮城聰)を上演した、法王庁からは徒歩10分のところで、街の中心に位置しています。

このセカノ広場では、2015年以降 “AMATEURS AND CREATION”という企画が続いており、アーティストと観客の架け橋を作ることを目指し、市民が舞台芸術に参画できる機会の創出や作品の上演が続いています。『ハムレット(どうしても!)』は同企画において製作・上演されました。


 
本作のきっかけは、アヴィニョン・ル・ポンテ刑務所からピィさんへの『ハムレット』の上演依頼で、囚人の方とは『ハムレット』を新たに読み直すワークショップも行なわれたそうです。

『ハムレット』は1600年頃に発表されて以降、今日に至るまで多くの解釈や謎が残されており、奥が深くミステリアスな戯曲とも言われています。音楽や絵画のモチーフにもなっていますね。

400年の間に生まれてきた解釈、批評、謎のすべてを総観できる「『ハムレット』の百科事典のような芝居を作りたい」というピィさんの夢と重なり、この野心的な作品の翻訳・創作がスタートしました。

構想から約10年。「善と悪」「自我」「時間」など哲学的なテーマから原典を紐解いたこの挑戦は、全10作に及びます。プロの俳優に加え、一般市民、俳優学校の学生、2人の元囚人が参加し、リーディング形式で上演されました。そのエッセンスを凝縮したエピソード11が「ふじのくに⇄せかい演劇祭2023」に登場します。

21年から今年にかけてフランス国内でのツアーも重ね、まもなく日本初演を迎えます。
海を越えて、日本に、静岡市・日本平の山に、舞台芸術公園 野外劇場「有度」にやってくると思うとワクワクしますね!


 
 
4月、舞台芸術公園内では創作・技術部スタッフによって、本作をはじめ招聘作品の舞台美術制作が行われました。
野外劇場「有度」のバックステージで本番を待つ本たちをパシャリ。その数、560冊!
海外作品の招聘にあたっては、舞台美術・小道具・衣裳などをSPAC側で作って用意することも多いのです。スタッフによる細やかな作業もまた演劇祭を支えています。


 
 
ところで、『ハムレット(どうしても!)』という作品タイトル。
「どうしても?」と、頭に「?」が浮かぶかもしれません。
フランス語の原題は “ Hamlet à l’impératif!”(英題 “Hamlet in the imperative!”)で、“ l’impératif ”には、「命令形の」「差し迫った」「ぜひ必要な」という意味があります。

「命令」と言えば…
王子ハムレットは、父と思しき亡霊から「私を殺したのはおまえの叔父だ、復讐せよ!」と命令を受けます。
シェイクスピアの四大悲劇の一つで復讐劇とも言われますが、ハムレットは狂気を演じることで父の死の真相を探り、復讐へと至ります。
この大いなる運命は、現王・叔父クローディアス、王妃・母ガートルード、ハムレットを慕うオフィーリアやその兄レアティーズをはじめ、周りの人々にもじりじりと差し迫ります。

悲劇の始まりでもあるこの「復讐命令!」は「どうしても」か?
そんな問いかけが表れているようです。

前編ブログはここまで。後編では、~こんなハムレットはじめて!~ ポイントを2つご紹介します!
★後編はこちら

(制作部・雪岡純)

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『ハムレット(どうしても!)』

公演日時:2023年4月29日(土・祝)、30日(日)各日17:00
会場:舞台芸術公園 野外劇場「有度」
上演時間:140分(途中休憩なし)
フランス語上演/日本語字幕

テキスト:ウィリアム・シェイクスピアに基づく
翻訳・演出:オリヴィエ・ピィ
製作:アヴィニョン演劇祭

★公演詳細はこちら

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