アメリカツアー日記
SPAC文芸部 横山義志
9/23(金)
本番日、舞台班はやはり午前8時入り。
昼間は雨男で有名な宮城さんの作品初日にふさわしい土砂降りだったが、夕方に止み、客足には影響はなさそう。
仲居たち登場時の立ち位置、クレオンが刀を振り上げる角度、コロスの声の出し方など、細部を丹念に調整していく。
大入り満員で、客席の後ろにも補助席を出して対応。ありがたいことである。ニューヨーク在住の日本人の方も少しいらしている。日本人女性とアメリカ人男性のカップルも。ポスターを見て「きれいな日本女性」が出てくる舞台だと思って来て、「アジアの女」の復讐劇だと気づいたら、どんな気分だろうか。
終演と同時に沸き立つような拍手。最前列中央で手を振り上げて喝采を送っているのは、やはり女性である。あとでお声をかけたら、「本当にありがとう。私はニューヨークでもう数十年女優をやってるんだけど、今までの人生で一番すばらしい舞台だった」などとおっしゃってくださった。
「私はメデイアの国から来て、『メデイア』はいくつも見てきましたけど、これほど納得のいく演出ははじめてです」と、グルジア出身の建築家の方。コロンビア大学で教えていらっしゃるという。「メデイアは母なる自然の象徴で、この作品で本当に現実が見えているのはメデイアなんですよね」とのこと。
緊張感のある舞台で、なかなかの初日だった。