ブログ

2011年12月4日

<オイディプス>森川弘和インタビュー

SPAC初出演の森川弘和さんにインタビューさせていただきました!

IMG_0538

2009.11.21-593            撮影(写真下):三浦興一

Q)普段はダンサーとして活動されていますが、現在に至るまでの経緯について教えて下さい。
A)大学3年の頃に「自分にしかできないことをやりたい」という思いが強くありました。それまでは化学の勉強をしていました。悩んだ末に中退し、その後、「ちょっと旅行に・・・」とフランスへ行ったのです。そうしたらなんだか不思議にフランス生活が気に入って、もっと長く住みたいと思ったのですね。ビザを取るために学校を探すことになったのですが、フランス語は話せないし、お金もないし、それとちょっと変わったことをやりたくて・・・。たどり着いたのがマイムの学校だったのです。体ひとつあればよかったし、マイムはしゃべりませんから。「どこに向かうか分からないけど、とにかく何かが始まった」そんな気持ちで一生懸命練習しました。それまで身体や舞台のことに興味を持ったことがなかったので、本当にゼロからのスタートでしたね。結局3年半ほどフランスにいました。日本に帰って来たものの行く先は見えず・・・。そんな時にたまたま受けたワークショップで、モノクロームサーカスというカンパニーに出会いました。彼らの「からだへの向き合い方、探究心」をすごく面白いと思って、事務のお手伝いをしつつ練習に参加させてもらうようになったのです。ダンスを始めたのはこれがきっかけです。また未知なものに向かってスタートしたわけです。5年間活動した後、フリーランスになりました。今もってなんら確信はないのですが、ぼくの信じたいものがからだと舞台にあるようだ、ということだけは感じています。何もはっきりしないのですが、はっきりさせられないところにやりがいと生きがいがあるのかもしれません。そんな思いで、ひとつひとつをただ丁寧に一生懸命やっています。

Q)ここまで踊り続けてきた中で、一番影響を受けていると思うものは何ですか?
A)演出家や振付家、共演するキャスト、その人たちとの出会いです。それと自分自身ですね。負けず嫌いなところと恥ずかしがりなところ。こだわりが強いところと逆に執着しないところ。

Q)今まで出演した作品で印象に残っているものは?
A)モノクロームサーカスの出前プロジェクト。「交通費とお食事をいただければ、どこにでも出かけてパフォーマンスをします」というプロジェクト。タイに出かけた時、ちょうど駆け出しの頃でぼくは記録映像のカメラマンとして同行していたのですが、ひょんなことから押し出されるように出演。これが初舞台です。

Q)今まで観た作品で印象に残っているものは?
A)Alain Platelの『Wolf』です。ダンスを始めて間もない頃にドイツで観ました。これを観ていなかったら、もしかしたらダンスを続けていなかったかもしれないです。

Q)静岡に約2ヶ月滞在してみてどうですか?
A)とてもうれしい経験です。SPACのすばらしい環境で練習できて、それとキャストもスタッフも制作チームもとてもすてきな人たちばかりで。それにみんな個性的な人たちで、稽古場に笑いが絶えないですね。大好きな人と出会えて、環境も最高でとにかくうれしいです。山の中にある宿泊施設もとても快適です。満天の星空を見ながらおいしいビールを飲んでいます。料理がちょっとだけ上手になったかもしれません。

Q)自分の出演シーンで観てもらいたい所、好きなシーンは?
A)スフィンクスを倒してイオカステにいざなわれるところ。「昔の彼女に逢ったように喜ぶんじゃない!」というダメだしを受けたシーン。たきいさんの微笑みについうれしくなってしまいます。それと、三叉路でライオスに出会うシーン。なかなかうまくできないのですが、なんとか・・・。一番シンプルな動作で最大のイメージを伝える。そんなことに挑戦しています。それとそれと・・・動きです、やはり。

Q)今回のオイディプスの見所は?
A)戯曲を抜粋したり、お話から現れるイメージをシーンにしたり、現代的な要素を加えたり、今までのオイディプスとはひと味もふた味も違うと思います。それらの要素が相まって、観客の皆さんがそれぞれにオイディプスを感じていただければと思います。

普段は穏やかな雰囲気の森川さんですが、一旦舞台に立つと、クールで独特の存在感を放ちます。そんな森川さん出演の『オイディプス』、千秋楽(一般公演12/4、中高生鑑賞事業公演12/9)まであと僅かです。皆様、是非劇場に足をお運びください!