2010年8月17日

<シアタースクール>ご来場ありがとうございました

8月15日(日)、シアタースクール発表会の2回の公演が
無事終了いたしました。
たくさんの方々にご来場をいただき、2公演ともにほぼ満席となりました。
ありがとうございました。

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公演当日、刻々と迫る開演に向けてなお、
午前中の稽古でも演出の指示が飛ぶなど
参加者たちの力を存分に引き出してのぞんだ発表会。
普段通りの元気いっぱいの姿を見せてくれる子もいれば
舞台袖で緊張が隠せない子もいました。
それでも全員が立派にこの一ヶ月の稽古の成果を発揮した、濃密な1時間。
客席にいらっしゃったお客様には、
舞台に立っている子どもたちの持つエネルギーと
『モモ』という作品のもつメッセージとを
しっかりと感じ取っていただけたことと思います。

各回の終演後は、1Fロビーに並んで
ご来場いただいたお客様にご挨拶。
歓声や笑い声が絶えないにぎやかなひとときとなりました。

シアタースクール2010夏の参加者たちの演劇経験は様々でした。
これまでのシアタースクールや、学校での部活で演劇に親しんでいる子もいれば
今回ほとんど初めて演劇や舞台に触れたという子どももいました。
そんな経験の違いも面白さのひとつ。お互いの姿を見て学ぶことは、
きっといい刺激になったことでしょう。

「また来ます!」と口々に劇場をあとにした子どもたちに再び会えること、
そしてまた、この劇場が新しい個性が発揮される場となることを、
楽しみにしています。

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発表会パンフレットによせてのSPAC芸術総監督宮城聰のコメント

「全身で、ことばを言うこと」

 いまとても心配になっていることがあります。

 それは、日本で、いや世界中で、「ひとりごと」どうしのコミュニケーションばかりが増えているのではないか、ということです。

 ひとびとは、相手に対して、まず「ひとりごと」として意見をつぶやく。それは文字や画像というデータになって相手にとどき、そして相手は、そのデータに対して、共感や反感のことばを、ひとりごととして発する。

 このスタイルが、ネット上ばかりでなく、ふだん顔をあわせている人間のあいだにもひろまっているような気がするのです。それは単にとなりにいる人にもメールしてしまう、という意味ではなく、肉声で会話をしているときでさえ、そのしゃべり方が「ひとりごと」になりつつあるのではないか、ということなのです。

 日常的なコミュニケーションに文字を使うことがいけないとは思いません。ただ、大事なことは、相手という「人間」ぜんたいを感じ、受け止めて、そして文字や画像はあくまで相手の「一部分」に過ぎない、ということをわかった上でデータのやりとりをすることではないでしょうか。

 人間というものは、そっくりデータに置き換えられるほど単純にできてはいないと思います。相手がデータとして外に出した意見がたとえ自分にとってメチャむかつく内容であったとしても、実際に生きているその相手は、全体としてみれば、自分にとって受け入れ可能な存在だということがあると思います。そうでなければ、十人十色の人間たちが一緒に生きていくことができません。

 ひとがことばを体から発するとき、文字データに置き換えられる内容だけではなく、もっともっといろいろなパワーを放出しているはずです。文字データに固定化できないそのパワー(生きているものだけが放つパワー)が相手にとどき、相手のからだはそのパワーに反応して、なにかしらの変化を起こす――これが人間どうしのコミュニケーションだったはずです。こうして影響を与えあうことは、疲れることにはちがいないのですが、そのときには「相手も自分もいっしょに疲れる」わけで、それが「おたがい生きているんだなァ」という信頼感につながっていたのではないでしょうか。

 現代演劇にも「ひとりごと」の流行が迫ってきました。でもわたしたちは、舞台の上で、「全身を使ってことばを言いたい」と考えています。ここだけは頑固に、若い人たちに伝えてゆきたいと思っています。

 全身で、ことばを言うこと。そこにこそ、いま劇場で学び取れるいちばん大切なものがあると信じているのです。

宮城聰 (みやぎさとし/SPAC芸術総監督)


本当の幸せを見つけるには時間がかかる ー『モモ』のこと

SPAC文芸部 横山義志

毎年ひそかに楽しみにしている日がやってきた。シアタースクールの発表会である。2007年・2008年の『オズの魔法使い』、昨年の『青い鳥』、そして『モモ』と、今年で四度目になるが、まちがいなく毎回、涙をぬぐいながら見ている。

みんな何度も読んだことがあるはずの話なのに、見るたびに「こんなに深い話だったんだ」と思っておどろく。そして見るたびに、「本当の幸せ」というのがなんなのか、ちょっと分かったような気になる。

だけどいつも、なぜかそれが長つづきしないのである。一日か二日、ひどいときには数時間もすると、その「本当の幸せ」の感じが消えてしまう。だから今度こそ、思ったことを少しだけ書きとめておこうと思う。

『モモ』はとってもすごい話だが、あまりにもすごい話なので、あらすじは書かない。もったいないからである。

でもそれでは何の話だかさっぱり分からないだろうから、一つだけ書くと、モモという名前の女の子が時間泥棒の集団に出会ってしまうお話である。この物語に出会うと、「時間がもったいない」という言葉が、全然別の意味に聞こえてくる。

たとえば、この物語を舞台の上で見る時間、あるいは見られない人が本で読む時間は、あまりに「もったいない」ので、たまたまこのつまらない文章を読んでくれた人から、そんな貴重な時間を奪ってしまいたくない、と思う。

考えてみれば、この「シアタースクール」という企画自体、時間泥棒たちにしてみれば壮大な時間の浪費である。40人もの子どもたちが一ヶ月間毎日のように劇場に通い、その間、演出家・振付家・3人のアシスタントと2人のサポーター、それに技術スタッフや制作スタッフと、16人ものスタッフが走り回って、それでたった二回公演したら、それでおしまい。

だから発表会を見るときには、とてつもなくぜいたくな気分になる。この子の一瞬のしぐさ、一行の台詞には、この子の一ヶ月、この子の夏休みがつまってるんだ、と思う。それが少しタイミングを逃したり、つっかえたりすると、とても愛おしくなる。

一瞬一瞬に、40人+16人の一ヶ月が詰まっている。そんなものを、ぶらっと見に来てしまって、もしかしたらぼくが時間泥棒なんじゃないか、とすら思う。考えてみたら、どんな舞台だって似たようなものなのだが、演劇で身を立てようと思っているわけでもない子どもたちが、一瞬の腕の張り、ゼロコンマ何秒のタイミングに自分の存在を賭けているのを見ると、そんなことが今更のように、初めて気づいたかのような新鮮さで、感じられるのである。しかも一発芸ではなく、そんな瞬間瞬間がつもりつもって一時間にもなる。こんなに密度の濃い一時間を、こんなに気軽に見てしまっていいものだろうか。

というわけで、出演している子どもたちに申し訳ない、位に思ってしまっていたのだが、今回四度目にして、よくよく考えてみれば、ぼくがすぐに「本当の幸せ」を忘れてしまうのも、気軽に見に来ているせいかも知れない。一ヶ月この物語を生きてきた子どもたちにとっては、全然ちがうのかも知れない。もしかしたら、あの子どもたちは、「どうせぼくたち程には分からないだろうけど」くらいの気持ちで、その知恵をちょっとだけ分けてくれているのかも知れない。

時間をかけないと分からないことがある。時間がたつと忘れてしまうこともある。
でもそうしたら、もう一回時間をかけてみるしかない。

「大人は分かってくれない」と思っていたことを、今どれだけ憶えているだろうか。
「こんな大人になりたくない」という大人に、今どれくらいなってしまっているのだろうか。
30年前に比べて、人は幸せになったのだろうか。
30年後、人はもっと幸せになれるのだろうか。
あるいは30年後、自分はもっと他人を幸せにできているだろうか。

時間泥棒に盗まれてしまわないうちに、寝る前の15分間、こんなことを考えた。

 
シアタースクール経験者も多く参加しているもう一つの夏休み企画、『ユメミルチカラ』は9月4日(土)・5日(日)公演予定。こちらも楽しみ。


2010年8月8日

<シアタースクール>来週からは劇場入り!

本日のシアタースクールは、
これまでのリハーサル室での稽古のしめくくり。
ほぼ本番の通りの衣装をつけて、通し稽古が行われました。

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指導陣の目が、いつもよりきびしく光ります。

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テクニカル、衣装、制作のスタッフも揃って見守る中での稽古。
参加者たちは、
「緊張したー」「心臓が口から飛び出そうだった」
と、やはり普段とは一味ちがう空気を感じて取っていたようでした。

来週からは、劇場の舞台を使っての稽古が始まります。
何百人ものお客様を前に舞台に立つのは、
稽古とは比べられないくらい大変なこと。
その大変さを今日、身にしみて感じた参加者たちが
残された日々でどんな成長を見せてくれるかが、とても楽しみです。

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円形劇場の廃墟に住みついた小さな女の子、モモ。
不思議な魅力を持った彼女のもとに集まる、街の人々。
モモがそんな友人たちを助けるために始まる、時間どろぼうたちとの戦い。
ミヒャエル・エンデの名作『モモ』のSPAC版、
シアタースクール2010夏の発表会は、いよいよ来週日曜日です!


2010年8月5日

<シアタースクール>演技、そしてさらに…

シアタースクール2010夏、
残りの稽古回数はなんとあとわずか8回となりました。

毎日のトレーニングと台本稽古・立ち稽古とで
着々と皆さんの演技が磨かれていく中、
さらに『モモ』の舞台を彩るための練習も行われています。

それは…

 
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演奏と、

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ダンス!

物語の各場面にあわせて、
参加者の皆さんがいろいろな楽器を使って音楽を奏でます。

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このタマゴも、楽器のひとつです。↑

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かすかなリズム音から、グロッケンのメロディまで
演技のみならず、演奏でも物語を創っていくのです。

ダンスのパートは、先日ついに最後まで振付を習い
あとは動きをしっかり復習していくところ。
笑顔いっぱいのダンスシーンにもご期待ください!

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稽古は毎日17時までですが、
その後18時までの自主稽古で練習をする参加者もたくさん。
部活や勉強で忙しくても、毎日片道1時間半かけて通っていても、
8月15日の発表会に向けての参加者たちの思いは
どんどん強く、豊かになってきています。

個性いっぱいの40人が挑む『モモ』の発表会。
台詞や音、動きのひとつひとつまで味わいながら、ご覧ください!


2010年8月3日

<シアタースクール>いよいよ8月!

8月に入り、あっという間に公演まであと2週間をきりました。
『モモ』の公演チラシ、皆さんのお手元に届いているでしょうか?

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稽古場では、一日の休みが明け、再び真剣な一週間が始まりました。

舞台に立つための体づくりのトレーニングや、
だんだんと厳しくなってくる演技指導に子ども達がしっかりと応えていく姿、
さらに自分の力でで役作りを深めていく姿には、頼もしいの一言!
SPACの俳優たちが務めるアシスタントの指導にも
熱が入ります。

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参加者の皆さんへのアンケートからは、
-稽古では色々な面で新しい発見がたくさん
-稽古はしあわせのかたまり
-みんなで力をあわせてがんばって最高の思い出と最高の舞台をつくりたい
-『モモ』に出てくるキャラクターが本当に好き
などなど、嬉しい意見が聞こえています。

稽古場や劇場は、自分自身と出会い、他者と交流する場。
そして、自分と他者との違いを楽しむ場。
そんな演劇のだいご味を、日々感じ取っている参加者たち…。

舞台上からいっぱいのエネルギーをお客様に届けるべく
明日からも精一杯稽古にはげみます!


2010年7月24日

<シアタースクール>稽古進行中!  

SPACシアタースクール2010の稽古も早、3週目を迎えました。
稽古場での当初の緊張もほぐれ、
休憩時間には参加者の皆さんの笑い声が絶えません。

rest

発表会に向けてだんだんとそれぞれの役柄も決定し、
夏休みに入って稽古はますます本格化していきます。

lesson1

そんな本日、通常の稽古とあわせて
本番時の衣装合わせと、
SPAC文芸部のスタッフによる演劇講座が行われました。

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演劇講座では日本の演劇の歴史が紹介されました。
古い時代の形式を今も残す能・狂言、文楽、歌舞伎から
新劇、現代の演劇まで、映像を鑑賞しながら学びます。
最後には、先日Shizuoka春の芸術祭で大好評をいただいた
『王女メデイア』の映像も…。

lecture

まだみんなお揃いのベースの衣装が
これからそれぞれの役に合わせてどんなものになっていくのか想像したり、
日本の演劇史について学んだり、と
いつもよりさらに内容豊かな稽古日となりました。

明日からはまた集中してトレーニングと台本読みを進めていきます。

『シアタースクール2010夏 発表会』、
明日7月25日(日)10:00~ 予約受付開始です!
皆様どうぞ劇場に足をお運びください!!


2010年7月11日

SPACシアタースクール2010  いよいよスタートです!

SPACシアタースクール2010 開校!
静岡県内の小学6年生から高校2年生までの40名が、
今年の夏も、静岡芸術劇場に集まりました。

SPACスタッフ中野真希が演出をおこない、SPACの俳優・スタッフのサポートのもと、
ほぼ毎日稽古が行なわれます。

7月10日(土)に始まったこのシアタースクール、
子どもたちは8月15日(日)の静岡芸術劇場での発表会に向けて、
この夏、ひとつの作品を創り上げていきます。

本日、稽古2日目。
昨日、初めて顔を合わせたメンバーも、毎年参加してくれているシアタースクール経験者も、
初めて取り組む作品『モモ』の世界に向き合い、
また、学校も年齢も違うそれぞれのメンバーと向き合うことで、
少しずつ顔の表情と、身体の動きが変わってきました。

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今日は、リズムトレーニングに始まり、
スズキ・メソッド(前芸術総監督・鈴木忠志が考案した俳優訓練法)にもチャレンジ。
「舞台に立つためのからだづくり」を体感しながら身につけていきます。
もちろん初めてのことだらけでわからないこともいっぱいです。
でも、他の人の話しに耳をすまし、自分の頭の中でいっぱい考えながら、
一生懸命取り組む子ども達の顔は、とてもきらきらしています。
その緊張した顔から、ふっと笑顔がこぼれる時、
また、そんな一生懸命な彼らの一瞬一瞬の身体の動きに、
自然と見ている我々からも笑みがこぼれてきます。

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今日の稽古の締めくくりに、実際に静岡芸術劇場の舞台に上がってみました。
皆でバックステージツアーに出かけ、また舞台を支えるスタッフの話しを聞き、
実際に現場を目にすることで、舞台の空気を肌で感じた子供たち、
更なるやる気が生まれたことでしょう。

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これから40名のこの子ども達と、SPACが作り上げる、世界に一つの作品。
この夏、皆様、どうぞそんな子ども達の笑顔に会いに、SPACへ遊びに来てください!!