『真夏の夜の夢』出演者インタビュー、
第18回は、恋する若者たちのひとり、板前デミを演じる大道無門優也です。
板前デミ:大道無門優也(だいどうむもん ゆうや)
長野県出身 A型
–大道無門さんは、恋する若者たちのひとり、板前デミを演じますが、中高生向けのパンフレットの一言アンケートでは、「芸術家は大失恋した方がいい」と演出の宮城さんがいっていた、と書いていらっしゃいますね。
はい。もう15年くらい前に宮城さんが言っていたことの受け売りなんですが、失恋って「どうしてこういう風になってくれないんだよ!」っていう気持ちの内で、最も身近な誰にでも起こる出来事だと思うんです。このデミも、そういうところが面白い役だなと思います。
デミのこんな台詞があります。
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なぜ降って湧いたように人を好きになり、
掃いて捨てるように人を嫌いになるのか。
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この台詞は最初はすごく言いづらかったんです。なぜかを考えていたら、分かったことなんですが、「降る」も「湧く」も、自動詞なんです。ここでは自分ではないものが、そうなるというコトバです。でも、後半の「掃く」と「捨てる」は他動詞。自分が他者に対して何かをするコトバです。だから、人は、自分ではどうしようもないものの力によって誰かを好きになり、自分の中から起こる出来事によって恋愛を終わらせてしまう。この文章のそういう仕組みを理解したら、この台詞は言いやすくなりました。そして、人を好きになることと好きじゃなくなることって、こういうことかもしれないなとも気づきました。
–『真夏の夜の夢』の中で好きな台詞を教えてください。
最近気になってきたのは、酒屋さんの、悪魔メフィストに「あれ、酒屋さんは(酒はいらないの)?」と聞かれて答える台詞です。
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下戸なんだ。
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「自分は世界に受け入れてもらえないんだ〜」っていう泣き言がたくさん出てくるこの物語の中で、彼だけが自分と社会との軋轢を、すんなりと受け入れているように聞こえるんです。「俺は酒が飲めない。でも酒を売ることを仕事にしているんだ」という、宣言のように聞こえるんです。そぼろもメフィストもいじけていて、泣き言を言う。でも酒屋さんだけは、「下戸なんだ」というたった5文字で、すんなり自分の在り方を認めている気がして、ひょっとしたらこの作品で一番カッコよくてキラリと光っているのは酒屋、あいつなんじゃないかなと思います。
<媚薬によって、そぼろを奪い合うデミ(大道無門)とライ(泉)>
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ご好評をいただいている『真夏の夜の夢』ロングラン公演、
平日の中高生向けの鑑賞事業公演は3月14日までです。
まだ観ていないという方、もう一度観たいという方、
どうか、お見逃しなく!
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