「ふじのくに⇄せかい演劇祭2014」上演作品リレーブログ、
3回目となる今回ご紹介するのは『マネキンに恋して ― ショールーム・ダミーズ ―』です。
タイトルからご想像のとおり、人間がマネキンに恋してしまうというストーリー。美しいバレリーナ達に、一人の男が惑わされ、翻弄され、さてどうなってしまうのか・・・ちょっぴり妖しそうな内容ですね。ふふっ、ドキドキしちゃいます。
出演者は「北フランスの花」と称される「ロレーヌ国立バレエ団」の8人のダンサーたち。マネキンに扮する彼女らは、みな無表情で、中には不気味で少しグロテスクささえ感じる仮面をつけています。
こんな表情のうえに、まるで操り人形だか機械仕掛けの人形だかのような振り付けが施され、その動きは圧巻!!関節の動きや、体全体の微動を制して、人間ではないものになりきれるのは、まさに「鍛え上げられた肉体」があってこそ!!
文字ではなかなか伝わりにくいと思うので、百聞は一見にしかず、ぜひこちらをご覧下さい。
ね、目が釘付けになりますでしょう?多くのダンサーの衣裳は60年代風のワンピース姿で、その可愛さが違和感をいっそう引き立たせている気がします。
ところで、写真や映像をご覧になって、なんだか出演者が8人より多いように感じたかたがいらっしゃると思います。さらに、それらの理由をお気づきになったかたもいるでしょう。そう「人形」です・・・。
この写真をよーく見てみて下さい。ほら、出演者に混じって「あたかも人間かのような人形」が数体あるんですね。
実は、この作品の演出家である「ジゼル・ヴィエンヌさん」は、人形作家でもあるのです!!まだ30代の若い女性で、ヨーロッパの人形劇界の異才と評されています。バレエという枠・イメージを超えたこの作風は、ジゼルさんの異彩ぶりに裏打ちされているというわけです。もちろん、舞台上の人形たちはどれもジゼルさんの作品です。
この「人間のような人形」と「人形のような人間」が織り成す、刺激たっぷりの世界『マネキンに恋して- ショールーム・ダミーズ -』、気になったかたはぜひご覧下さい。マネキンに恋した男の行く末を、一緒にハラハラしながら見届けたいと思います。ラストは衝撃が待っている?!・・・かもしれません。
また、今回の演劇祭では、この『マネキンに恋して- ショールーム・ダミーズ -』のほかに、ジゼル・ヴィエンヌ演出作をもう1演目上演します。『Jerk(ジャーク)』という作品です!後日このリレーブログでもご紹介しますが、これもまた独特のセンセーショナルな作品ですので、ご期待下さい。
4月1日(火)からは、ジゼルさんが創作した人形作品の写真展『ジゼル・ヴィエンヌ展 ―夢見るハイパーリアル人形―』を開催します。生身の人間と見まごう<ハイパーリアル(超現実的)人形>は、頬の温かさまで感じられるようでありながら、そのざらりとした質感が独特の存在感を際立たせます。フェスティバル開幕前から、一足先に彼女が創り出す世界観に触れてみましょう!
一人でも多くのかたが、これを機にジゼルさんの作品に触れていただけるよう願っております。それでは次回を楽しみにお待ち下さい!!
制作部 熊倉