『マネキンに恋して ― ショールーム・ダミーズ ―』 5月4日 観劇感想
開演してすぐ、私は舞台上のどれが人形でどれが人間なのかを考えました。どれもこれも、みんなマネキンのようで、でも今にも動き出しそうで、なんとも言えない雰囲気に一瞬で引き込まれました。人間のような人形と、マネキンのような人間が織り成すその空間は、独自の世界として成り立っていました。
「マネキンのような人間の動き」は、本当に人体の動きなのか?という無機質な動きで、圧巻でした。舞台の至る所で俳優が無機質に美しく動いていて、目が離せませんでした。美しすぎると怖いと感じました。
ダンサーは、10センチは軽く超しているであろうハイヒールで、マネキンのように美しく舞台の上を闊歩します。このハイヒールの存在感がとても凄かったです。美しすぎて怖いと感じた理由の1つに、ハイヒールの存在があったように思います。スローな動きでも、つま先まで神経が通っているような繊細な動きでため息がでそうでした。
また、劇中歌が印象的でした。日本語で歌われているのですが、独特のリズムとテンポのそれは、なんだか呪文をかけられているような錯覚を起こす不思議なものでした。
起承転結のような、物語がはっきりとした舞台ではありません。しかし登場人物の感情をしっかり表現されている、いつまでも観ていたい、吸い込まれるような舞台でした。
(まるふ2014執筆クルー 三好)