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2015年4月23日

『メフィストと呼ばれた男』稽古場ブログ8 出演者インタビュー山本実幸

出演者インタビュー、今回は女優アンゲラを演じる山本実幸です。


◆山本実幸(やまもと・みゆき)◆

登場人物紹介◆アンゲラ
若い女優。

Q. 山本さんの演じるアンゲラはどんな人物ですか。
 劇団の中で一番若い女優。お芝居がすごく好き。俳優として天才的なクルトに役者としても惹かれるし、一人の女の子としてもすごく惹かれていく。政治のこととかは気にはなるけれども、あんまり詳しくない。まだ本当に大人になりかけの女の子という感じです。
だからナチスが政権を取ったことを、「やばいな」とは思うけれども、ヴィクターのように共産党員でもないし、ニクラスのようにナチス党員でもないので、彼らのような激しく反応はしない。でも街で暴動が起こったり、ユダヤ人が迫害されたりするのを見て、単純にそれは人として良くないことだと考えている。


【稽古風景より(『ハムレット』のオフィーリアを稽古するアンゲラ・山本)】


【稽古風景より(左はハムレットを演じるクルト・阿部一徳)】

Q. 1幕は1932年、2幕になると、その13年後の1945年ですが、そうなるとアンゲラはまたかなり変わってくるのではないでしょうか。
 13年経つと、1幕に出て来た女優ニコルと同じ30代になっている。アンゲラは実はお嬢様だったんですけれども、亡命することで、ご飯が満足に食べられないとか、着るものにも不自由して、おしゃれとかも出来ないという経験をし、大人になっていったのかなと思います。前半1幕のアンゲラは、まだ大人になりかけているところ。2幕では、一人の大人の女性になり、今は自分で何もかも判断できて、自分の意志もちゃんと持っている、強い女性になっているんじゃないかなと思っています。彼女の変化していく様子が上手く見せられたらいいなと思っています。
 アンゲラは、何にも考えていないようで、実はけっこう人には流されないというところがあります。本人は無自覚かもしれないけれども、自分が一番大切なものに素直に生きているのではないかと思います。結局決めるところは、ちゃんと自分の意志で決めている。


【2幕の稽古風景より(左は大女優レベッカを演じる美加理)】

Q. 今回稽古していて難しいところは、どんなどころですか。
この作品は、お客さんが俳優たちを覗き込むという演出でつくられているので、俳優はお客さんに全部を見せるような演技はしてはいません。だから、大げさな表現は一切ないけれども、それでも見ていられる身体でいられることに、みんな挑んでいます。ここまでやってしまうと過剰な「表現」になってしまう、でもこれだとお客さんには何も伝わらない棒読みになってしまう…という感じで、いわゆる「表現」と、お客さんに私たちの日常と地続きと思ってもらえる「リアリズム」の間で、じりじりと綱渡りしています。お客さんに何かを見せつけてはいけない。けれども、お客さんが何かを感じてくれる、そこまでの何かは、きちんと届けないといけない。そこが難しいところです。

Q. 最後に読者のみなさんにメッセージをお願いします。
 登場人物の全員が、誰一人として同じ道を進んではいかないし、同じ決断をしていない。観ているお客さんも、自分はこの登場人物と共通点があるかな、これが自分かもしれないって思ってもらえると思います。そしてそれぞれの人がどのような結末を迎えるのか。たぶん、どの決断も正しいし、どの決断も間違っているのかもしれない。今を行きている人たちにも、リアルに感じてもらえる部分があると思います。

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SPAC新作『メフィストと呼ばれた男』
4/24(金)・4/25(土)・4/26(日)
静岡芸術劇場
http://spac.or.jp/15_mefisto-for-ever.html
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4/10演劇祭開幕直前 『メフィストと呼ばれた男』関連シンポジウム
【抵抗と服従の狭間で―「政治の季節」の演劇―】の動画を公開しました!
http://spac.or.jp/15_symposium.html
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