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2022年3月29日

ギルガメシュ叙事詩/パリ日記2022(1)渡仏

SPAC文芸部 横山義志
2022年3月18日

 
フランス国立ケ・ブランリー美術館で『ギルガメシュ叙事詩』を初演するため、パリへ。同美術館のクロード・レヴィ=ストロース劇場は2006年に宮城聰演出『マハーバーラタ』でこけら落としを行った。2013年には『マハーバーラタ』を再演し、2016年には開館10周年を記念して新作を委嘱され、『イナバとナバホの白兎』を制作2019年に同作品を再演した際に、ぜひまた新作を、ということで委嘱いただき、今回の公演となった。本当は2021年3月上演のはずだったのだが、コロナ禍で一年延期に。

今回も直前まで二転三転。フランスではワクチンパス導入により、一時は「ワクチンを三回接種していないと美術館自体に入れなくなる」という話もあった。特例措置を取れそうということで、各自のワクチン接種状況を確認して手続きを進めていたら、感染が落ち着いて、ワクチンパス自体が停止となり、入館の問題はなくなった。

…と思ったら、ウクライナ情勢のために予約していた便が欠航に。総勢32人で、別便に振り替えるのは困難を極めたが、旅行代理店の方がすごくがんばってくださり、ギリギリでなんとかエールフランス便を予約できた。

ただ、荷物が全部載せられるかわからないとのこと。ロシアを避けて航路が長くなるため、積み込む燃料が増え、当日の向かい風の状況次第では、機長の判断により、さらに燃料を積まなければならないという。今回は新作で、船便は出せなかったので、舞台美術、小道具、楽器、衣装など、なるべく絞ったものの、かなりの分量。前日になって、パリで借りられそうな楽器などをさらに削り、載せられなかった場合の対応まで話し合って、空港へ向かう。
 
前日の朝5時半集合で静岡を出て、朝10時から都内でPCR検査。当日朝は午前5時15分チェックアウトでバスに乗り、午前7時成田空港着。

成田空港の職員の方がとても親切に対応してくださった。「パリで公演ですか?いいなあ。観に行きたいです。今はどこにも行けないんで…」とおっしゃっていたが、実際多くの便が欠航で、空港は閑散としている。


 
午前9時半頃、エールフランス航空の方々にご協力いただき、荷物も全てお預けできて、全員無事にチェックイン。この時点で拍手が起きるのを見るのは初めて。

空港内の売店もいくつかを除き、ほとんど閉まっている。

エールフランス航空の直行便だったが、通常12時間のところ16時間。ロシア上空を避けるため、中国からカザフスタン、カスピ海、黒海、ルーマニアから東欧を経てパリに午後8時過ぎに着。荷物が揃って通関したら午後10時。
 

エッフェル塔を通り越して、11時過ぎにケ・ブランリー美術館に到着し、機材を下ろす。0時過ぎにホテル着。文字通り長い一日だったが、まずはパリにたどりついただけで、一仕事終えた気分。
 
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★ゴールデンウィークに静岡市・駿府城公園にて上演★
フランス国立ケ・ブランリー美術館委嘱作品/SPAC 新作
『ギルガメシュ叙事詩』

台本・演出:宮城聰
翻訳:月本昭男(ぷねうま舎刊『ラピス・ラズリ版 ギルガメシュ王の物語』
音楽:棚川寛子
人形デザイン:沢則行

出演:阿部一徳、大高浩一、石井萠水、大内米治、片岡佐知子
榊原有美、桜内結う、佐藤ゆず、鈴木陽代、関根淳子
大道無門優也、舘野百代、本多麻紀、森山冬子、山本実幸
吉植荘一郎、吉見亮、渡辺敬彦
/沢則行(操演)、桑原博之(操演)

公演日時:
2022年5月2日(月)、3日(火・祝)、4日(水・祝)、5日(木・祝)
各日18:40開演

会場:駿府城公園 紅葉山庭園前広場 特設会場

★公演詳細はこちら
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