『真夏の夜の夢』出演者インタビュー、
第17回は、森の妖精の女王タイテーニアを演じる、たきいみきです。
–たきいさんが演じるタイテーニアの魅力を教えてください。
今回、演劇って本当に総合芸術だなと思うんですけれども、この作品では舞台セットや衣裳が、私の持っている能力を越えて、タイテーニアという役を表現していると思っています。なので、役柄としての見どころは、小林幸子級のセットと同化した衣裳の中にいる私です(笑)
それから、タイテーニアには、お客様をうわぁ〜と驚かせる場面や衝撃的なシーンがあちこちにあります。演劇ならでは、その時のライブでしか感じられないお客様の反応は、演じながら毎回楽しみにしています。
–再演にあたり、初演から変化したことはありますか。
昨年、クロード・レジさん演出の『室内』という作品に出演させてもらったことで、詩的な言葉をしゃべる時の感覚が初演の時とは大きく変わりました。『室内』は、完全に宇宙のような静けさに満ちた闇の空間で、言葉や自分の本質、魂と語り合うことがチャレンジでした。『真夏の夜の夢』は、とてもにぎやかな部分と、すっと心に染み通るような言葉が出てくる場面が混在しているので、より自分の中でコントロールしないと、詩的な言葉をうまくしゃべることができません。今回は『室内』の時とはまた違った難しさにチャレンジできるのが面白い、楽しいなと思いながら、作品と向かい合っています。
–『真夏の夜の夢』で好きな台詞を教えてください。
タイテーニアが、タコになった福助に恋い焦がれて言う台詞です。
〜〜〜〜〜
どうしたのかしら。
月の光が泣きだしそう。
涙ぐんだ目をして。
月が泣いたら、
花という花もみんな涙を流すわ。
〜〜〜〜〜
「月の光が泣き出しそう」っていうのは、オーベロンに媚薬を塗られて、恋をしてしまったタイテーニアの溢れ出る恋心の表現なのかなと思います。あのシーン全体では、もうあからさまに「好き好き〜!」って過剰に馬鹿なことをやっているけれども、彼女の中にはいろいろな恋心があって、そのひとつの表出として、この台詞が突如出てきたのかなと思います。この言葉の美しさにはあらがえないので、もうこの方法でしかしゃべれないと思って、ここは初演の時から演技プランを変えていません。
それから、もうひとつ好きなのは、悪魔メフィストの言う台詞です。
〜〜〜〜〜
人間は愚かだ。
目に見えるものだけを信じるんだ。
〜〜〜〜〜
これは確かに人間の本質的なところをついているなと思います。でも同時に、俳優というのは、その見えないものをまさに見せることを仕事にしています。なので、この言葉に対しては、「そうでもないんじゃないかな?」って希望を持ちたいですね。お客さんはみんな見えないものを演劇の中にみているはずですから。
<森の妖精の王オーベロン(貴島)&女王タイテーニア(たきい) 2011年初演時>
たきいの2011年初演時のインタビューはこちらで読むことができます。
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ご好評をいただいている『真夏の夜の夢』ロングラン公演、
平日の中高生向けの鑑賞事業公演は3月14日までです。
まだ観ていないという方、もう一度観たいという方、
どうか、お見逃しなく!
★公演詳細、中高生鑑賞事業公演の日程は、こちらからご確認ください。