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2011年4月24日

真夏の夜の噂...⑤ 俳優:たきいみきさん談

先日技術スタッフから舞台セットと衣裳のデザインについて説明がありました。模型を使っての説明に俳優のみなさん興味深々です。まだ誰も見たことのない新作舞台なので、日々の稽古の様子を模型に重ね合わせて想像力を膨らませるばかりです!う~ん、魅惑的な世界が広がりそう?!

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さあブログ・真夏の夜の噂...第5回目は俳優の たきい みき さんにお話を聞いてみましょう。

 Q.自分の役について教えてください。

私の役はタイテーニアという妖精の女王様で、拾った子どもの取り合いで夫と仲違いをし、夫に恋の媚薬をまぶたに垂らされ、化け物に恋をしてしまうという役です。夫とは仮面夫婦みたいな?(笑)今はもうベッドにも傍にも近づかないと誓ったっていう、とにかく顔も見たくない、よくある熟年夫婦みたいな感じです。(笑)『夏の夜の夢』の原作では妖精・貴族・一般庶民っていう身分のランクが明確なんですよね。私の役は妖精の中でも貴族っていう役。なのに庶民的な部分もあるのがおもしろいところだなって思います。

 

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※『真夏の夜の夢』内部発表会写真より

[ 近年のSPAC出演作 : ドン・ファン2011、2009)イザベラ、エルビラ役他、しんしゃく源氏物語2010)叔母役令嬢ジュリー2010)ジュリー役、『ペール・ギュント2011)アニトラ役他夜叉ヶ池(2009、2007)白雪姫役 ]

 

Q.作品の見所について教えてください。

3月の『グリム童話』という作品から「詩の復権」ということを宮城さんが言っていて、この作品は言葉を重視する部分と、音楽性を重視する部分とで構成されている。だからテレビとかで見る演技とはすごくかけ離れたものになると思う。テレビって台所でネギを刻みながらでも内容が分かるエンターテイメント。充実させて成立させて、私たちに与えてくれる。けど多分この作品はテレビみたいな感覚で観に来るとちょっと驚くことになると思う。作品と一緒に旅をしなきゃいけない。紙芝居や絵本をめくるとき、そこに描かれてることはたった1枚の絵や数行の文章なんだけど、自分の頭の中で色々なものが踊り出すのが読んでいて面白くてワクワクする。「この芝居ってどんな芝居だった?」って聞いたとき、観た人全員が違うことを言ってくれるといいなーって。その人の感性の色が最後に乗っかって、立体化するというか、舞台の最後の色を塗るのはお客さんみたいな。まさに今、演奏・音楽を作りながら私たちも詩を語る体を探し始めたばかりだけど、絵本が飛び出してきて生きてる、そんな作品になるといいな。

Q. あなたならどんな媚薬・妙薬を使いますか。

メルモちゃん(※1)のアメみたいな妙薬が使いたいです!大人になったり子どもになったりするやつ。仕事で子どもたちと山から海まで4日間ほど旅をしたことがあるんです。そのときの、もう子どもたちのきらめきがすごくて!パッと感覚で受けて、パッと発しちゃう。パッと言った一言が、そんな表現!!みたいな。びっくりすることが多々あって、すごいな、その目線にもう一度戻りたいなと思った。かと言って、年配の人と接すると年の功ってすごいとも思う。自分も年を重ねながら、人間学んでいくんだなって感じてる。でも役者としては常に全部の瞬間を引き出せたほうがいいし、それがもう一度体験できるともうちょっといい役者になれるんじゃないかなって思うんだけど(笑)

(※1)メルモちゃん:手塚治虫の漫画作品「ふしぎなメルモ」の主役

 

作品については真剣そのもの、メルモちゃんの話となると楽しそうに無邪気な一面を見せてくれたたきいさん。また、詩としての台詞を語ることを実演してくれたときには一瞬で場の空気が変わり驚かされました。舞台ではどんなたきいさんが見られるか楽しみですね!