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2014年3月26日

まるふリレーブログ《5》 『Jerk(ジャーク)』

「ふじのくに⇄せかい演劇祭2014」上演作品リレーブログ、
5回目は『Jerk(ジャーク)』をご紹介いたします。

3回目でご紹介した『マネキンに恋して ― ショールーム・ダミーズ ―』と同じく、
欧州人形劇界の異才と言われるジゼル・ヴィエンヌの演出作品です。
『マネキンに恋して…』には妖艶なマネキンたちが何人(何体)も登場しますが、
『Jerk』はうって変わってひとり芝居です。

舞台にあるのは、「5体の人形と一脚の椅子。そしてひとりの男…」と、
ガイドブックやチラシにもご紹介させていただきましたが、本当にシンプルです。
作品の内容としても、この2作品は全く違った方向性とも言えますので、
両作品ご覧いただくと、ジゼル・ヴィエンヌの作品の幅を感じることができるのではないでしょうか。

JERK

『Jerk』は、1970年代に実際にアメリカで起こった事件をもと創作された、デニス・クーパーの著書が原作となっています。
実話をもとにしていますが、共犯者であったデイビッドが語り手となり、自分で創作した人形劇を、心理学を専攻とする大学の教授や生徒の前で披露するという劇中劇のかたちをとった物語です。
(その中でさらに彼が書いたというノンフィクションを観客に読ませるなど、さらに複雑な構造になっています)
この作品を観ていると、最初は俳優ジョナタン・カプドゥヴィエルのリアルな表現に嫌悪感を覚えつつも徐々に惹き込まれ、目の前にいる俳優が俳優なのか物語の登場人物なのかわからなくなり、不安になっていきます。
会場がそういった雰囲気に包まれ、俳優も本当に自分がデイヴィドなのではという錯覚を起こしているのかもしれません。

5月4日(日)の終演後には、ジゼル・ヴィエンヌと社会学者でSPAC文芸部の大澤真幸との
スペシャル・アーティストトーク「絶望に寄り添って ジゼル×大澤真幸の犯罪心理学」
を行います。
5月3日は完売ですが、この日はまだお席に余裕がありますのでぜひ観劇と合わせてご参加ください。
それでは、劇場でお待ちしております!