昨年は新型コロナウイルスの感染拡大により創作活動の延期を余儀なくされたスパカンファン-プラス。今年もメルラン・ニヤカム氏の来静は叶いませんでしたが、オンラインでの創作の可能性をさぐり、新作づくりを再スタートさせました。
今年の活動の様子を本ブログでご紹介します。
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7月24日・25日
2日間にわたり新メンバーのオーディションが舞台芸術公園内の屋内ホール「楕円堂」で行われ、5名の新メンバーが選ばれました。オーディションにZoomでのぞんだニヤカムさんに、応募してくださったみなさんのパワフルなダンスのエネルギーが、画面越しでも伝わっていくのがわかりました。
7月27日
継続メンバーも合流し、新メンバーとともに稽古開始。冬に太田垣悠さんによるオンライン自主稽古を数回おこなっていましたが、継続メンバー同士は2年ぶりの対面での再会。背が伸びて雰囲気が大人びて、見違えたメンバーも!
さて、まずは太田垣さんによるウォーミング・アップ、そしてフランス時間の朝8時からニヤカムさんがZoomで合流。感染症対策のためのSPACガイドラインをレクチャーした後、さっそく冒頭シーンの創作がはじまりました。ニヤカムさんの事前リクエストで準備した赤と白の立ち入り禁止テープが、ニヤカムさんの指示で楕円堂の柱にどんどんまかれていきます。これまでのスパカンファン・プロジェクトにはないビジュアル!新作への期待が高まります。
8月、稽古開始から1週間経過。
使用する楽曲も決まり、20分ほどの作品の一部分が出来ました。そして出来上がった部分の磨き上げをすすめながら、また新しい部分を創作していきます。たくさんの修正や変更、振付のチェックポイント!稽古終わりには、ノートをひろげて、振付メモを確認する姿もありました。
ニヤカムさんは、「この夏、スパカンファンとフランスでの仕事をかけもちすることはやめたんだ。時差で稽古ができない時間帯も、スパカンファン-プラスの新作について考えをめぐらせる時間に充てようと思って。日本に居られないけど、みんなと気持ちを一緒にして、新作に向き合えるように」とプロジェクトへの思いを伝えてくれました。
ニヤカムさんによるオンライン稽古は15:00から17:00(フランス時間の8:00から10:00)の1日2時間。その前にさらに2時間、今回ニヤカムさんと一緒に演出を担当する太田垣さんとともにウォーミングアップと稽古を行いました。オンライン稽古後にはニヤカムさんと毎日ミーティング。太田垣さんがいなかったら、今年も新作の創作は再開できなかったでしょう。
稽古開始から2週間経過。
緊急事態宣言、静岡県新型コロナウイルス警戒レベルの引き上げと県の方針も踏まえ、今年の夏に予定していたワーク・イン・プログレス=新作の経過発表会の中止が決まりました。2年越しの活動再開で喜んでいたのも束の間、出演メンバーはもちろん、スタッフも含めて、大きな落胆を隠しきれませんでした。また、新しいフィールドでの活動のため、やむを得ずスパカンファン-プラスからの卒業を今年選択したメンバーも発表会での再会を楽しみにしていたことでしょう。それでも気持ちを切り替え、メンバーは稽古場での感染症対策をさらに気を付けて取り組み、来年2022年の本公演に向けて、稽古は続けることを決めました。
感染症対策は、朝起床時の体温測定からはじまり、楕円堂入室時には体温測定・靴裏消毒・手指消毒が行われ、稽古では不織布マスクをつけ、各自が消毒スプレーでこまめに手指消毒、小道具の消毒を行いました。もちろん演出にも対策を取り込んでいます。扉を開放し、各所サーキュレーターを設置して、つねに換気。通常の楽屋と、畳のロビーも簡易楽屋として使用し、密にならないように工夫しました。舞台芸術公園は山の中にあるので騒音によるご近所迷惑の心配はありませんが、楕円堂には網戸がなく、蚊取りやアブ対策にはスタッフが苦慮しました。
稽古開始から3週間経過。
夏稽古はいよいよ残すところ、1週間となりました。40分ほどの作品に成長し、音響スタッフの原田忍さん、アシスタントのSPAC俳優・若宮羊市さんも稽古に合流し、磨き上げがどんどん加速。そんな中、インターンとして静岡文化芸術大学の学生4名がZoomで稽古を見学。熱心に稽古に見てくれたのはとても嬉しい反応でした(感染症対策のため、インターンはオンラインに切り替わりました)。
8月17日
衣裳を試着。翌18日大雨の影響で、舞台芸術公園内の電話回線が不通になり、楕円堂のネットも不通になるトラブルに見舞われました。ネット環境がなくてはフランスのニヤカムさんと稽古を行うことができません。楕円堂内は携帯電波も微弱で、四苦八苦の末、なんとかつなげることができました。
8月21日・22日
稽古最終の2日間、通し稽古を行いました。稽古後、ニヤカムさんと太田垣さん、そして出演者メンバーは、今年の夏を振り返りました。「スパカンファン-プラスで居場所をみつけられた」「自分のための時間があった」「大人の包容力という言葉があるけれど、むしろ子供たちに教わることがあった」という声が聞かれ、お互いの気持ちを知る時間に。ニヤカムさんは「ダンスは難しいものではなく、世界中のみんながおどれるものというメッセージを伝えたいという思いで、スパカンファン・プロジェクトをやっています。身体の内面から楽しく、踊っていくことが大事」と語りました。
スパカンファン-プラスはコロナ禍で足踏みしていた状態から脱し、大きな一歩を踏み出すことができました。来年2022年の夏には本公演を行います。
来年こそ、劇場で皆様とお会いできるのを楽しみにしております。ご来場お待ちしております。
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