2013年11月28日

【わが町ブログ*第七幕】 いよいよ最後の公演へ!

Filed under: 『わが町』2013

『わが町』、先週末で一般公演を終え
今週は中高生の皆さんへの鑑賞事業公演が続いています。

鑑賞事業では終演後に出演者が生徒さんたちのお見送りをしていますが
みなさん、俳優を写真に誘ってくれたり
(今日は特にたくさんの生徒さんが声をかけてくださって、1階ロビーでは撮影の嵐でした!)
バスの出発前、それぞれに好きな登場人物の名前を呼びながら窓から手を振ってくれたり。

観劇後、劇場から帰る時にこうして笑顔いっぱいの表情を見せていただけるのは
私たちにとっても本当に、うれしい、のひとことに尽きます。
俳優たちも、バスが見えなくなるまで手を振り続けてお送りします。

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▲たくさんの生徒さんたちに囲まれた本多麻紀(ウェブ夫人)、どこにいるかお分かりでしょうか…

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そんな『わが町』鑑賞事業公演も、いよいよ明日が最後。

明日は10時30分と14時30分の2ステージです。
千秋楽の日に、2ステージ分のたくさんの生徒さんにお会いできるのが楽しみです。

14時30分の回は一般の方もご覧いただけます。
当日券の販売もございますので
ぜひ!ラストステージをご覧いただければと思います。

これまでの公演でご来場くださった方々もほんとうにありがとうございました。
ご覧くださった皆様の心に残ったものを、
日々の中でまたきっと、思い起こしていただけますように。

SPAC秋のシーズン2013、『忠臣蔵』の稽古も進行中です。
『忠臣蔵』鑑賞事業公演は12月10日から、一般公演は12月14日から!

引き続き、ご来場お待ちしております!

制作部:中野三希子


2013年11月22日

【わが町ブログ*第六幕】 どうぞ、劇場へ!

Filed under: 『わが町』2013

『わが町』開幕しております!
平日は中高生の皆さんにご覧いただき、土日は一般のお客様への公演、と
連日公演が続く中、たくさんの感動の声をいただいています。

さて、すっかり間があいてしまいましたが、今回はギブス家を紹介します。
主人公・エミリの恋人となる、ジョージの家族たちです。

ジョージの父親、ギブス氏(奥野晃士)は町のお医者さん。
ギブス夫人(木内琴子)は、忙しすぎるギブス氏の身体を心配してばかり。
ちっとも休もうとしないギブス氏に困り顔です。
そして、コーラスの練習で帰りが遅い夫人にムッとするギブス氏。
ジョージ(野口俊丞)は野球に夢中で家の手伝いをさぼりがち。
妹のレベッカ(伊比井香織)とジョージは朝から洗面所で喧嘩…。

こうして書いてみると、ギブス家、なんだか大変です(笑)。
でも、作品をご覧いただければ、
ギブス一家が愛にあふれていることをすぐに感じていただけるはず。

夫人の帰りを待ち疲れてふてくされたギブス氏の手をさっと取って、
一緒に庭に出るギブス夫人の笑顔。
ジョージに家のこともきちんとするよう諌めるギブス氏の、優しい語り口。
そんなお父さんからの言葉にはっとして、すぐに素直に反省するジョージ。
ジョージの結婚式の朝には、部屋に閉じこもって泣いているレベッカ。

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エミリはこんな家族のところにお嫁にいきます。
…が、ジョージとエミリの結婚生活は、『わが町』では描かれていません。
『わが町』の二幕は、彼らの結婚式の朝から始まり、
二人がお互いの気持ちに気付いたときへの回想シーン、
そして結婚式のシーンに戻り、…と幸せでいっぱいの光景ですが
三幕は、その9年後。
時代は移り、町の人々にもいろいろなことが起きたあとのことです。

この幕では、ギブス夫人の言葉のひとつひとつに
夫人からエミリへの、
そして生きている人たち全てへの思いが見えてくるようです。

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そしてギブス氏の家族への愛も
言葉は発さないながらも、この三幕の彼の姿に切ないくらいに表れています…。

一幕と二幕の間は3年間。二幕と三幕の間は9年間。
進行係の台詞によって、さらりと時間の経過が皆さんに伝えられますが
その間にどんな日々が過ぎていったのか、
想像しながら観ていただければ、と思います。
日常を描いている『わが町』だからこそ、
皆さんの琴線に触れる<何か>があふれているはず。

ジョージやエミリと同世代の、若い方々へ。
恋と結婚、を知る方へ。
日々生きていることに何かしらの疑問を持っている人へ。
そして、身近な人を失ったことがある人へ。

一般公演は今週末を残すのみとなりました。
劇場で、お待ちしております。

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SPAC秋のシーズン2013
『わが町』
11月14日~11月29日
公演の詳細はこちら
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制作部:中野三希子


2013年11月21日

【映像】宮城聰が語る『わが町』

Filed under: 『わが町』2013

「ソーントン・ワイルダーの言葉がかつてよりも一層ズバッと胸に飛び込んでくる――」
初演から3年を経ての再演『わが町』を観た宮城聰(SPAC芸術総監督)は何を語るのか。

『わが町』一般公演は残すところ、11月23日(土)・24日(日)の2回のみ。
どうぞお見逃しなく!

SPAC秋のシーズン2013
『わが町』
演出:今井朋彦
作:ソーントン・ワイルダー
訳:森本薫
音楽:松本泰幸
出演: 石井萠水、いとうめぐみ、伊比井香織、大内智美、大高浩一、大庭裕介、奥野晃士、木内琴子、小長谷勝彦、すがぽん、保可南、野口俊丞、本多麻紀、牧山祐大、三島景太、横山央、吉植荘一郎

公演詳細はこちら


【映像】『わが町』アーティスト・トーク ゲスト:古川日出男氏 2013年11月17日

SPAC秋のシーズン2013『わが町』のアーティスト・トーク映像をアップ。
11月17日(日)は、ゲストに古川日出男さん(作家)を迎え、
今井朋彦さん、宮城聰の3名で行いました。

生と死の関係、宗教、翻訳劇を上演することの意味、
「書く」ことと身体の関係・・・などなど、
話はさまざまなテーマに及びました。

どうぞご覧ください!


2013年11月20日

【映像】『わが町』アーティスト・トーク ゲスト:松尾交子氏 2013年11月16日

SPAC秋のシーズン2013『わが町』のアーティスト・トーク映像をアップ。
11月16日(土)は、ゲストに松尾交子さん(演出家)を迎え、
今井朋彦さん、宮城聰の3名で行いました。

地元・浜松を拠点に演劇活動を続けられ、
SPAC県民劇団「劇団静岡県史」の演出も手がけられた松尾さんは
今回の『わが町』を観てどう感じられたのでしょうか?

また、演出の今井さんには、宮城より
「SPACで演出をするとなった時になぜ『わが町』を選んだのか?」
「数ある翻訳の中で戦前の森本薫訳を選んだ理由は?」
といった質問が投げかけられています。

どうぞご覧ください!


2013年11月15日

『わが町』舞台監督・内野彰子ロングインタビュー

Filed under: 『わが町』2013

中高生鑑賞事業「SPACeSHIPげきとも!」 パンフレット連動企画◆

中高生鑑賞事業公演では、中高生向けの公演パンフレットをみなさんにお渡ししています。パンフレット裏表紙のインタビューのロングバージョンを連動企画として、ブログに掲載します。

舞台監督:内野彰子(うちのあきこ)
静岡県静岡市出身。宝塚歌劇団生、シナリオライター等を経て、2004年よりSPAC在籍。SPACでは制作、音響を担当後、舞台監督を手がける。

【写真 舞台装置の椅子を倉庫から稽古場へ運ぶ休憩中に
右:内野彰子 左は『わが町』担当の創作技術部スタッフら】

<宝塚との出会い>
——舞台に興味を持ったきっかけは何ですか?
内野彰子(以下内野):高校の時、進路を考えていると、前の席の女の子から「彰子ちゃんは宝塚に行けば?」と言われたのが始まりです。宝塚の雑誌を見せてもらったんですけど、最初は「何これ?」という感じでした。あつい舞台化粧(けしょう)とつけ睫毛(まつげ)の女性がいっぱい載っている……今ではつけ睫毛は珍しくなくなりましたが、当時は強烈な印象があった。その子に連れられて日比谷の東京宝塚劇場に行き、舞台を見ると、「これも進路のひとつなのかな」と思ったんです。これが進路として舞台の道を考えた最初です。
——それまでは歌や芝居をやっていたわけではないんですか?
内野:小さい時に合唱団で歌っていたのと、ピアノを習っていたので、楽譜は読めました。また学校の創作ダンスの授業が大好きだったのですが、ちゃんとした舞台を見たことはなかった。宝塚音楽学校の受験のためにバレエを習い始めました。即席なのでずいぶん苦労しましたが、受験のための勉強をやればやるほど大変さがわかり、これは無理かもしれないと思いましたが、なぜか合格発表で自分の番号があって…宝塚に合格してしまいました。
——すごいですね…。
内野:宝塚音楽学校の2年間はついて行くだけでも大変。まわりは皆、3歳からバレエをやっていて足が腕みたいにピューって上がったり、オペラ歌手みたいに堂々と歌っていたり、そんな人たちばかり。宝塚音楽学校は予科と本科の2年制で、でも劇団に入ると研究科1年生2年生…と上は果てしない。音楽学校では、上級生は絶対であること、同期の誰かが失敗をしたらその人をかばい守ること、そういうことが自発的に行われなければいけないということを教え込まれます。劇団に入ると、上は果てしなくありますから、10年選手まではまだまだ下級生。期が違う人とも、手を取り合って頑張るようになります。でも、そんな音楽学校時代を経て、秩序が体に刻まれているので、一期上は一期上。同期にまずいことが起こったら助けるとか、上の人にどんなに甘えても越えてはいけない一線があるとかは、ここでも同じということがわかってくるんですね。

<一歌劇団生の転機>
——宝塚には何年くらいいたのですか?
内野:13年です。音楽学校を入れると15年。
——毎日舞台に立っていたんですよね?
内野:ずーっと。毎日、稽古しているか公演に出るか。1日2回公演もありますしね。ずっと劇場にいる。朝、渋谷区恵比寿にある寮から地下鉄の駅まで歩く5分だけ太陽に当たる。地下鉄に乗ると、日比谷駅についてそのまま劇場に入るし、帰る時は夜中ですから。「私たち、ドブネズミみたいだね」ってよく言っていました(笑)
——宝塚をやめるきっかけは何だったのですか?
内野:宝塚音楽学校時代から、あの子たちは宝塚の舞台に立つという目で見られる。私生活でもタカラジェンヌでいることが求められる。本当に宝塚はすごくいいところなんですよ。チケットはすぐに完売。営業をしたことはありません。仲間は素晴らしいし、特に同期生は欠けがえがない。理想の温室です。守られている。でもなぜか、そういうところじゃないところでやってみたくなったんです。
——なるほど。
内野:で、舞台に立つのではなく、何か書きたいという方向に行きました。俳優が命がけでやりたいと思うような脚本を書いてみたいという野望を抱き、シナリオライターをやり始めます。
——シナリオライターの時期はどうでしたか?
内野:テレビドラマのプロットライターをやったり、深夜ドラマを書かせてもらったりしていました。でもやっぱり舞台がいいなと思って、宝塚の下級生と一緒に、ギリシア悲劇のカッサンドラを抽出した一人芝居を書き下ろして、上演したりもしました。

<制作、音響、そして舞台監督>
——SPACヘ入ったのはなぜですか?
内野:シナリオライターの時期に、SPACがスタッフを募集していることを知りました。それ以前にも、一度SPACの舞台を見に来ていました。私は出身が静岡市なので、父親から「静岡でもギリシア悲劇をやっているぞ」と聞き、前芸術総監督の鈴木忠志さんの『ディオニュソス』を見たんです。あの舞台に巡りあえて、そして、鈴木忠志さんのなされてきた偉業によっていま私は生かされています。
 そのときSPACの契約条件は1年限り。じゃあ1年勉強させていただこうと思いました。静岡県の舞台芸術センターだから、きっと仕事は9時から5時で終る、そしてその後、自分の仕事ができるだろうと思いました。ドラマとか書けるだろうと…大間違いでした(笑) それからあっという間に2013年で10年目です。
 最初は制作部に所属していました。初めてやることばかりで、自分が何をしたらいいのか分からなくて、毎日雲の中をひたすら歩くような感じ。ただ現場の熱に圧倒されていた日々でした。そんな時に、宮城聰さん演出の県民100人による『忠臣蔵』という作品の担当になりました。県民が100人、中には人生のベテランみたいな人もいるわけです。10代から70代の人までいらっしゃって、それがおもしろかった。こんな方々と仕事ができる制作っておもしろいと思った後、音響に配属がえがあり、宮城さんが芸術総監督をするようになってから、舞台監督をするようになりました。

<舞台監督の仕事とは?>
——舞台監督はどういう仕事ですか?
内野:担当作品が決まると、稽古、本番、舞台のバラシ(片付け)が終るまでの長いスケジュールを組みます。舞台の初日までに必ず用意しなくてはいけない舞台美術、音響、照明、衣裳などの技術部担当のスケジュールを立てます。そこから逆算して、いつまでにどこまでつくらなくてはいけないかを考えると同時に、予算のやりくりをします。それから技術スタッフの作業の段取りやチーム分けをし、稽古が近づくと稽古のための準備です。仮小道具を用意したり。稽古が始まると劇場稽古のスタートのための準備。公演初日があくと客席清掃からお客さんが来て帰るまでの1日のスケジュールを立てて進めます。
——技術スタッフ全体の統率者ですね。
内野:そうですね。映画監督という言葉があるので、演出をする人と思われがちですが、舞台監督は、演出家が思い描く空間を実現するために、演出家と技術スタッフ、お客さんとの間の橋渡しをします。
——本番中はどこにいるんですか?
内野:舞台袖に舞監卓(ぶかんたく)という操作盤があります。迫り(上下する舞台床面)や吊りものの操作をする所です。そこにあるモニターに舞台の状況がうつります。トランシーバーみたいなものでスタッフと連携をとり、場面転換や音響・照明のキュー(入りの合図)を出したりします。

<舞台監督だから見えること>
——舞台監督のおもしろさは何ですか?
内野:舞台は、お客さんも含めて、その日に立ち会う顔ぶれがいつも奇跡的な組み合わせです。触れる縁で何かが生まれることがあります。はっきりと目に見えることではないんですが、それを感じられることがあるんです。研ぎ澄まされた感覚になり、繊細な何かを感じられる時がある。たくさんの星々が集まる天の川のような…宇宙の営みみたいな…でも、ここにしかないものです。そういう場に立ち会えることはこの上ない喜び。舞台監督は全体を見るのが仕事なので発見が多いのかもしれません。
——どういう時にそう感じるのですか?
内野:舞台袖から舞台を見ていて感じる時もあります。初日は誰よりも客席をのぞきに行きます。舞台から客席を見たり、客席へそっとまわったり。お客さんの反応を確かめたいんです。舞台監督をやっている限りは没入することはないのですが、どうしても引き込まれてしまう時はあります。クロード・レジさんの『室内』もそうでしたが、自分も空間に漂ってしまうような感覚。以前SPACに招聘(しょうへい)したイタリアの演出家ピッポ・デルボーノさんの『沈黙』『戦争』という作品を上演した時、ピッポさんの劇団はとにかくその輝きがすごかった。流れ星がぴゅんぴゅん飛び交っているような舞台。そこに立ち会えたことに、大きな幸せを感じました。


【写真 稽古場棟前で創作技術部スタッフとともに】

<舞台の奇跡に出会う喜び>
——星が飛び交う、宇宙の一部になるってすごいですね?
内野:あまり壮大に言うと、大げさに聞こえるかもしれませんが、でも本当ですよ(笑)
——そういう感覚を求めて仕事を続けているんですか?
内野:その感覚には飢えています。いつもその機会を狙っている。
——巡り合わせみたいなもので、偶然にそういう感覚が起こるんですか?
内野:いつも偶然。とはいえ、何かしらの努力と縁が条件になっています。条件は全ての作品にあります。と考えると、どの作品でも起こりうるんです。今回はなさそうだってことはない。ひとつの公演の中に必ずあるものです。家に帰ってきてから、劇場で得たその感覚が自分に力を与えてくれたりもします。そういうことが楽しい。
——条件はいつもあるのに、起こる時と起こらない時がある……ほかに何か要因があるんですか?
内野:つねに起こっているんだと思います。そこに気づけるか気づけないか。私は気づきたいと思ってやっています。

<演出家、今井朋彦の魅力>
——今回の『わが町』は再演になりますが、どうですか?
内野:すごくおもしろくなりそうです。第1期の稽古で、演出の今井朋彦さんが前回と少し変えたところがあります。作品の冒頭で、出演者が椅子を持って出てきます。舞台袖や客席など四方八方から。その椅子は自分の人生だったり大切なものだったりします。無造作に持ってきてもいいし、もてあそぶように持ってきてもいいし、乱暴に持ってきてもいい。ひとりがひとつの椅子を持つことが、ひとつの人生を背負っているように見える。作品全体を物語っているような感じがして、おもしろいなと思います。
——今井朋彦さんとSPACとの組み合わせは初演時にとても話題性がありましたが、実際にやってみていかがでしたか?
内野:今井さんは稽古で演じてみせるんです。さらっとやってみせるだけで、俳優に全てを伝えてしまう。今井さんは第一線の俳優でもありますから、俳優たちは、すんなり納得するわけです。

<『わが町』の素晴らしさ>
——内野さんから見た『わが町』の魅力は何ですか?
内野:素晴らしい本です。そして、今回の出演者とスタッフでしかできない作品になっていると思います。チラシにもありましたが、「生きているうちに人生を理解する人なんているんでしょうか?」ありきたりの小さな町の小さな家族の話ではあるんですが、そこに全てがあるということを感じさせてくれる作品だと思います。私は大好きです。
——中高生に、そのあたりをどう感じてもらいたいですか?
内野:私が感じていることと同じようなことを感じてほしいとは思いません。誰しも見るところは違います。誰かがこっちを見ていると、もうひとりはあっちを見ている。それは自由。私はこの作品に出会い、生きていることと死んでいることの間にどれだけの差があるんだろうと思ったりしました。肉体のあるなしは大きい差ですが、それ以上に、人間には見えていないことがたくさんあるんではないでしょうか。これもクロード・レジさんから教えていただいたことですが、私たちは時間も入れて4次元の世界に生きている。けれども、最新の物理学では11次元もが存在するそうです。となると人間は半分も知らない。そういうことに向かってアンテナをはっていくと、謙虚によりよく生きられるのではないかとおっしゃったんです。その話は今回の『わが町』にも通じるところがあると思います。ただストーリーやドラマに感動するだけではなく、実際に劇場に来ないと感じられないものを、大切に持ち帰っていただきたいと思います。大切に、なんて言うとおこがましいでしょうか。その日の舞台とともにそこに生きていたという感覚を持ち帰っていただければ、という思いです。

(2013年10月13日静岡芸術劇場にて)
(インタビュー:ライター西川泰功

鑑賞事業パンフレットは、一般公演でも物販コーナーにて販売しています。

写真『わが町』パンフ表紙写真


2013年11月6日

【わが町ブログ*第五幕】劇場に帰ってきました!

Filed under: 『わが町』2013

大道芸ワールドカップにも多くの俳優が出演していた『わが町』チーム、
怒涛の週末を経て、勢いそのままにBOXシアターでの稽古期間を終え、本日はついに劇場入りでした!
7月の第一期稽古以来の、静岡芸術劇場での稽古が始まりました。

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『サーカス物語』とはうってかわって、空間ががらりとシンプルになっています。
なんといっても「幕なし。装置もなし。」
ソーントン・ワイルダーが作品に込めたものを味わっていただくためには、この空間なのです。

さて、以前「わが町ブログ」第三幕では
グローヴァーズ・コーナーズの町の情景を一気に描く一幕の冒頭のシーンをご紹介しました。
その後は、俯瞰してきた町の風景の焦点をぐぐっとしぼって
隣同士の2軒の家――ギブス家とウェブ家の、夜明けの様子へと進んでいきます。

ギブス医師(奥野晃士)が仕事を終えて戻ってきたところに、
新聞配達の少年ジョー・クローエル(大内智美)や
牛乳屋のハウイ・ニウサム(すがぽん)が居合わせて
両家の夫人が大声をあげて子どもたちを起こし、それぞれの朝食の場面へ。
それから子どもたちは元気いっぱいに学校へ行き、
彼らを送り出した夫人たちは他愛のないお喋りをし…。

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▲写真左手は豆のすじ取りをしながらお喋りをするギブス夫人とウェブ夫人。
そして舞台の端に座って彼女たちを見守る俳優たちは…?

1938年に初演された、アメリカを舞台にした作品ですが、
皆さんにとっても親しみの感じられる光景がたくさん出てくることと思います。

そんな流れの中で、違った目線でわたしたちに語りかけるのが進行係(牧山祐大)。
登場人物たちが動き出す前に、
あたたかな朝の光景の中ではまだ誰も考えようとしない未来のことを
さらりと口に出してみせます。
ギブス氏の、そしてギブス夫人(木内琴子)の未来について。
新聞を持ってきたジョー・クローエルの未来についても。

進行係は、グローヴァーズ・コーナーズの「時」についても
俯瞰したところにいるようです。
あるいは、人間の営み、地球の歴史、わたしたちの世界とは異なる世界…
とんでもなく広く、大きなものが見えている人なのかもしれません。
今回のSPACでの再演までにあった様々な変化についても
「あれから三年の月日が経ちました」なんて言いながらどこからか現れて、
初演から今日までの時間をふっとつないでしまうような気さえします。

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グローヴァーズ・コーナーズのことを「我々の町」とは呼んでいますが、
彼はいったい、どこにいるのでしょうか。

そして彼のいう「何かしら永遠なるもの」とは――。

これはぜひ、作品をご覧いただいて、
皆様それぞれに感じ取っていただけたらと思います。

次回のブログではギブス家をご紹介します!

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SPAC秋のシーズン2013
『わが町』
11月14日~11月29日
公演の詳細はこちら
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制作部:中野三希子


2013年10月29日

【わが町ブログ*第四幕】初演をご覧になった方も油断は禁物!

Filed under: 『わが町』2013

前回の「わが町ブログ」でご紹介した稽古風景の2枚の写真。
2010年の初演時をご覧になった方も、はてな、と思われたかもしれません。
実はどちらも、初演時とは異なる演出になっている場面です。

今回の『わが町』、全幕を通してこうした変化があちこちに出てきますが
いちばん大きな変化はここ。

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エミリ役は、前回レベッカ(ジョージの妹)役だった保可南へ!
そして初演時にエミリ役を演じた本多麻紀は今回、
エミリの母親役であるウェブ夫人役で出演します。

初演をご覧になった方にはぜひ、
3年前にエミリを演じた本多が今回はどんなに素敵な母親役になっているのか、
そして、違うところも共通するところもある2人のエミリをご覧いただくことで
どんな「エミリ」像が見えてくるのか、を、たっぷりと味わっていただければと思います。

母親に悩みを打ち明けたり、幼馴染とぎこちなくなったりしていた女の子が母親になり、
その娘がまた、幼馴染とぎこちなくなったり、恋に落ちたり、結婚したりしていく…
まるで、そんな二世代を見守ったような感慨深さも湧き起こってきそうです。
実際には、初演からはたった(?)3年なのですけれど。
(もしかしたらこれは、時をも縦横にかけめぐる『わが町』らしい…ともいえるのかもしれません。
『わが町』の作品の中で流れる「時」のことは、また次回。)

父親役のウェブ氏も、今回は新たに小長谷勝彦が登場します。
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エミリの弟・ウォーリ役は初演と変わらず石井萠水が演じていますが、
ウェブ一家、ずいぶんカラーの違った家族になってきました。

…そしてもちろん、
彼らの住むグローヴァーズ・コーナーズの町全体の表情も。

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▲昨日は衣裳合わせでした。写真はその衣裳付きでの稽古風景より。

今年初めてご覧になる方にも愛おしさを感じていただけること間違いなしの『わが町』ですが、
初演を観てくださっている皆さんにも、
再度ご覧になるからこそ味わえる違いの面白さを、感じていただけるはずです!
 
 
☆そんな『わが町』を創っている俳優たち、
今週末の「大道芸ワールドカップin静岡」での『古事記!!エピソード1』にも登場します!
サーカス物語』の公演時には、カフェ・シンデレラでも活躍中。ぜひお気軽にお声がけください。

☆初演時にウェブ夫妻役だった貴島豪・舘野百代、
サム・クレイグ役だった武石守正、ジョー・ストッダード役の吉見亮は
現在『ロミオとジュリエット』スイス・フランスツアー中です!ツアーブログはこちら

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『わが町』
11月14日~11月29日
公演の詳細はこちら
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制作部・中野三希子


2013年10月23日

【わが町ブログ*第三幕】第二期稽古スタート!

Filed under: 『わが町』2013

静岡芸術劇場では『サーカス物語』が連日公演を行っているところですが
舞台芸術公園では、『わが町』第二期の稽古がスタートしています!

第一期から三ヶ月をあけて再び稽古場に集まった出演者たち。
『わが町』以外でも顔をあわせているメンバーがほとんどですが、
改めて集うと、なんだかとっても新鮮な気がします。
ひとつの小さな町に、新しい朝がやってきたような!
町の人たちが家から出てきて、互いに挨拶をしているような!
…今からこのメンバーで『わが町』を創っていくからそう思えただけでしょうか?
とてもあたたかい空気を感じた第二期の始まりでした。

稽古では、第一期で全体の流れを作っていったこの作品を、再び冒頭から、丁寧に進めています。

『わが町』は全部で三幕。
公演チラシのあらすじ部分にも各幕の簡単な紹介をしていますが、

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第一幕は、この作品の舞台となる田舎町、グローヴァーズ・コーナーズのある一日が紹介されます。
牧山祐大の演じる進行係の
「我々の町の分布をお目にかけておいた方がいいでしょう」
という台詞とともに、ここに通りがあって、線路がどこにあって、どんな家族がどこに住んでいて、
ここに役場があって商店街があって、薬局があって、学校があって… と、町中を、一気に駆け巡っていきます。

この写真、そのシーンでのひとこまなのですが

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…学校です。

いちばん後ろで、椅子の上でやんちゃをしているのは、小長谷勝彦・横山央の二人。
小学校の頃、絶対クラスにいましたね、こういう男の子たち…。

ぱっと見、すっかり落ち着いている人もいますが、実はこれ、ほんの十数秒のシーン。
このあとにはすぐ、ぱっと解散してしまいます。
進行係が次から次へと町の様子を説明していくのにあわせて
これまた次から次へと全員で、グローヴァーズ・コーナーズの風景を組み立てていく疾走感!
『わが町』は、台本の冒頭に「幕なし。装置もなし。」と指定がしてあり
具体的な装置はほとんど現れない作品なのですが
こうして俳優たちが、めいっぱいに町の様子を描いていきます。
このシーン、どうぞ景色をたっぷり想像しながら、一緒に町中を駆け巡る気分でお楽しみください!

町の全体を一気に俯瞰したあとは、ぐっと焦点をしぼってウェブ家とギブス家、隣り合う2軒の家へ。
これが、主人公のエミリ、ジョージの家です。

この家の家族たちを中心にして、今度は町の人々の紹介へと移っていきます……。

ソーントン・ワイルダーの名作、『わが町』。
わたしがご紹介するのもおこがましいほどの有名な戯曲ですが
このブログで少しずつ、作品の味わいをお伝えできればと思います。

『わが町』は、中高生の皆さんへの鑑賞事業公演は11月14日から。一般公演は11月16日から。
この16日(土)の公演は既にかなりたくさんのご予約をいただいており、
満席が予想されます。東京バスの運行も同日です!
チケット、バスともに、お問い合わせ・ご予約はどうぞお早めに!!

劇場で皆様にお会いできるのを楽しみに、これからあと約3週間、稽古を重ねてまいります!

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▲同じく1幕の稽古風景より。みんなが集まって、誰に向かって何をうったえかけているのでしょう…?
ちなみにこのシーン、みんな表情豊かですが実は1人を除いて誰も喋っていないのです! 答えは劇場で☆

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SPAC秋のシーズン2013
『わが町』
11月14日~11月29日
公演の詳細はこちら
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制作部・中野三希子


2013年7月15日

【わが町ブログ*第二幕】 新メンバー紹介!

Filed under: 『わが町』2013

7月に入ってすぐに始まった稽古は駆けぬけるように進み、
先週末でいったん終了となりました。

初演時の衣裳を合わせての稽古があり、
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この作品の音楽を担当されている松本泰幸さんがいらして
劇中の賛美歌の稽古が入り、
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ここで一度お休みに入るのが勿体ないほどに
稽古の密度がいっそう高まってきておりました。

稽古がお休みの間も、そんな第一期の稽古のひとコマ紹介を含め、
『わが町』ブログ、続けてまいります!

今回は、今年の『わが町』に新たに出演する4人の俳優たちを紹介します。

小長谷勝彦さん (ウェブ役)
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SPACではこれまで、
『真夏の夜の夢』、『グリム童話~本物のフィアンセ~』、『ペール・ギュント』に出演。
もともと『わが町』がとても好きで、いつかやりたいと思ってらしたそう。
『わが町』には『グリム童話』にも共通する普遍のテーマを感じる、
初演時ではなく今回このタイミングで出演できたのがよかった、と仰る小長谷さん。
ここで短くまとめるにはあまりにもったいないお話でしたので、
今後改めて掲載させていただきます!

大庭裕介さん (ジョー・ストッダード役)
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『わが町』がSPAC初出演。
2011年にSPACで『オイディプス』演出をなさった小野寺修二さんの作品にも
いくつも出演なさっている俳優さんです。
今回は初めて一緒に作品を創るメンバーばかりの中ですが、
「だからこそ、皆さんの胸を借りながら新しいことを試すべくぶつかっていける」と大庭さん。
第一期の稽古を振り返っていただくと、プレッシャー、という言葉もちらほら?
そんなことはまったく感じさせない存在感でしたが…
今後、さらに魅力を発揮してくださるのでしょうか。楽しみです!

横山央さん (サム・クレイグ役)
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昨年の『マハーバーラタ ~ナラ王の冒険~』に出演、
「カリ」役でエネルギーたっぷりの演技を見せてくださっていました。
SPAC版『わが町』には初出演ながら、
以前も別の劇場でこの作品に出演されたことがあるそうで
「同じ作品だけど、また違う町にいる感じ」と話してらっしゃいました。
今年のSPAC版のグローヴァーズ・コーナーズは、どんな町になっていくのでしょうか…!

伊比井香織さん (レベッカ役)
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横山さんと同じく昨年の『マハーバーラタ ~ナラ王の冒険~』、
そして今年の「ふじのくに⇄せかい演劇祭2013」では、
クロード・レジ氏演出の『室内』に出演なさっていました。
これまでの2作品とは全く表情を変えて、はじけるように可愛らしいレベッカをみせてくれます。
伊比井さんは以前より、SPACの中高生鑑賞事業に興味を持ってくださっていたそうで
『わが町』でついに鑑賞事業公演のある作品に出演できるのがとても楽しみ!とのこと。

稽古後に突然にコメントを伺ったにも関わらず、
とても真摯に、たっぷりと答えてくださった皆さん。
それぞれのお話の詳しい内容も、またご紹介したいと思います!

(制作部・中野三希子)


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