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2016年4月21日

『イナバとナバホの白兎』~新作誕生までの道のり~vol.8

「“拍”システム、そして謎も面白さの1つ」

皆さんこんにちは!
再び俳優・横山央がブログ書きましたので、お付き合い頂けましたらこれ幸い。

さていきなりですが、こちらをご覧ください↓

  ♩          *  *  *
  あ  さ  が  き  た  *  *  *

さて、これは何なんでしょうか?
五線譜はありませんので、ここでは音程は関係ありません。
大切なのは“拍”。
「*」は休みと考えてください。
なので、4分音符が5つ、休符が3つ並んでますので、「あ さ が き た」を8拍回しで言うことを表します。
ご理解頂けましたでしょうか?

日本語の面白いところは、この様に1音に文字が1つ入る、この場合5音で1つの単語になる、というところです。
例えば英語で考えると、1音に1文字は考えられませんよね?
1つの音符に対して、「I(私は)」=「アイ」と発音しなければならず2文字になってしまう。
母音の数が5つしかない世界的に見ても珍しい日本語、その特性を今回作品の中に取り入れています。

また、そこに演出の宮城聰氏の独特の手法「言動分離」システムを注入、要は一人の人物を「語り手」と「動き手」に分けて演じさせる、言うなれば文楽の様な事ですが、上記の拍システムを使って動き手がどう動くのか、また動かないかを稽古ではまだまだ模索しています。

ブログ用042101

先日関係者向けに公開稽古を行いこの手法が取り入れられたシーンをご覧頂いたのですが、皆様の反応が非常に面白く、「お能の様な、でも見た事がない新しい芸能を見た気がした」という方がいれば、「今まで見た事がない不思議な空間になっていた。」と仰ってくださった方も。
そう、今回の公演は演じてる側にとっても見る側にとっても、舞台の新しい姿を目撃することになるのではないかと思っています。
それはきっと、例えようがないものかもしれません。
「劇団」だからこそできる作品だと確信しています。

それで、もしかしたら見終わった後に多くの「謎」が残るものになるかもしれません。
それは作品に対する謎であったり、そもそもこれは面白かったのか、という謎だったり。
個人的には、その「面白かった」という中にも様々な面白さがあると思っていて、どうでしょう、きっとモヤモヤした気持ちが残る事も面白さの1つではないでしょうか。

ブログ用042102

また、宮城さんが今回の新作にあたりインタビューの中で、「“芸術”の機能というのは、刷り込まれてしまった価値観を疑うこと」と仰っています。
舞台芸術というものは、楽しむ事はもちろんですが、それに限らず作り手としての挑戦が含まれ、また見る側としては自分の新しい可能性を垣間見られるチャンスにもなっていると思っています。

物語というのは、何かの教訓を教えてくれます。
それは例えば昔話の中で語られることだったりするわけですが、僕たちの先祖が残した古事記の世界やアメリカ先住民族に伝わる神話の世界も何かを物語っていることは間違いないのです。
しかし、今回は僕たちはその先にあるものを見つけ出そうとしています。
そこには何が受けているのか、誰にもわかりません。
未知なる草原、草むらをかき分けて歩みを進めていますが、やがては辿った過程が道になるのかもしれません。
共に旅をしてみませんか?

それでは今日はこの辺で。

集合写真
[26人の出演者たち(左下のメガネをかけている男性が横山央)]

●参考
①「ナバホ族」に関して、シアタークルーメンバーの松本孝則さんがブログのVol.5でとても丁寧に書いてくださいましたので、今回の作品にあたり是非一読されることをオススメします。
『イナバとナバホの白兎』〜新作誕生までの道のり〜vol.5
宮城聰インタビュー 新作『イナバとナバホの白兎』は初の試みが満載

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ふじのくに野外芸術フェスタ2016
フランス国立ケ・ブランリー美術館開館10周年記念委嘱作品
『イナバとナバホの白兎』
5/2(月)~5(木・祝)
駿府城公園 紅葉山庭園前広場 特設会場
◆公演の詳細はこちら
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