こんにちは。この4月からSPAC制作部で働き始めました込江芳です。演目担当としてついている『おちょこの傘持つメリー・ポピンズ』の様子をレポートいたします。
静岡芸術劇場およびリハーサル室での稽古を終え、座組一同は、今週、本番が行われる野外劇場「有度」に入りました。
暴風吹き荒れる最中、スタッフの作業が着々と進められ、(舞台組み立ての仕込みの様子は、タイムラプスで撮影され、ただいま公開中!)ついに…森の中におちょこの傘屋が姿を現しました!
4月19日、前日の荒天がうそのような、清々しい快晴下、野外劇場での稽古がスタート!
始めに俳優、スタッフが劇場内に集まり、舞台監督から諸々の説明を受けます。
そこから各々ステージに上がり、自分が通る動線や、使用する小道具などを確認していきます。
初日は「アンティゴネ」の稽古により、演出の宮城さんが不在だったため、俳優たちは相談しながら自主稽古を進めていきました。
俳優たちのセリフや動きが周りに広がる自然の中に溶け込み、一つ一つの動作が、屋内で見聞きしていたものとはまるで異なるものとなっていました。
4月20日、野外での稽古2日目には、宮城さんが合流。
屋内での稽古時の演出を確認しつつ、野外に移って気が付いた点などを踏まえ、宮城さんが大胆な変更も度々指示していきますが、俳優、スタッフは臨機応変にリクエストに応えます。
この日、舞台美術を担当したカミイケタクヤさんも来静し、美術・音響・照明、それぞれ、細部のすりあわせが行われていました。
ウグイスやカラスの鳴き声が聞こえたり、突然、サーッと森の木々が風になびいたり、どこか懐かしい草花の香りがしたり…。野外劇場ならではの予定不調和なファクターが、作品の世界を一層、魅力的なものへと変貌させていきます。日がすっかり落ちてあたりが暗くなったステージの上は、幻想的です。
(写真ではとても伝えきれませんので、皆様のお身体で実際に体感してほしいです…!)
4月に静岡に来ばかりで、この場所には数えるほどしか来たことのない私ですが、ちょうどよい自然との距離の近さに、心地よさを感じています。ただ、公園の夜はとても寒いので、4月の終わりといえども防寒対策は必須です!(筆者はダウンを着込み、カイロを4つ忍ばせ、寒さをしのいでいます。)
奔放で美しいセリフと動きのつまった、唐ワールド全開の今作品。そこに宮城さんは、2500年前のギリシャ悲劇から、江戸の落語や能、ロシアのチェーホフなど、古今東西の演劇から得た様々なエッセンスを加え、いま、ここでしかできない「おちょこ」が、着実に形づくられています。
来週のゴールデンウィークは、唐十郎×SPACの世界を全身で浴びに、是非、山の傘屋まで足をお運びください!
▼これまでのブログはこちらから
【大解剖!『おちょこの傘持つメリー・ポピンズ』の魅力】
2021.4.16 Vol.6~ここまで見せます!『おちょこ』の稽古場~
2021.4.15 Vol.5~舞台美術/カミイケタクヤ~
2021.4.11 Vol.4~一年越し!待望の上演決定!~
2020.4.2 <号外>稽古方法を変更しました
2020.3.28 Vol.3〜稽古場レポート・前編〜
2020.3.17 Vol.2〜あらすじ紹介編〜
2020.3.6 Vol.1〜宮城聰に聞いてみました〜
=====
ふじのくに⇄せかい演劇祭2021
『おちょこの傘持つメリー・ポピンズ』
2021年4月28日(水)、29日(木・祝)、30日(金)
各日18:00開演
会場:舞台芸術公園 野外劇場「有度」
演出:宮城聰
作:唐十郎
美術:カミイケタクヤ
衣裳デザイン:駒井友美子
出演:泉陽二、奥野晃士、春日井一平、片岡佐知子、河村若菜、木内琴子、杉山賢、鈴木陽代、関根淳子、たきいみき、ながいさやこ、若宮羊市(50音順)
★公演詳細はこちら
=====