■卒業生 依頼劇評■
『ジャン×Keitaの隊長退屈男』批評
井出聖喜
舞台
一間(180cm)四方、高さ一尺五寸(45cm)ほどの台が中央に置かれ、その縁から更に一間辺りにまで四方から客席の雛壇が迫っている。
台は朽ちかけ、側面の所々に穴が開き、色褪せた紅白幕がかすかに見て取れる。また、台の四隅には細身の柱が立ち、そのうちの一つの中央部には旧式の電話機が取り付けられ、さらにその最上部には三方に向かって据え付けられたスピーカーが望まれる。そのスピーカーの下部からは、三方に渡されたロープにほどよい間隔でナツメ型の提灯が据え付けられている。この台は盆踊りの櫓なのであろう。しかし、それにしては提灯が白と黒の二色柄で祝祭的な気分に水を差しているようである。
舞台の進行と共に明らかになるのだが、この台は確かに盆踊りの櫓でもあるのだが、主人公磐谷和泉隊長とその部下が立て籠もる塹壕でもあるのだ。おそらく隊長は(そして彼に率いられた部下たちも)ここで戦死したのだ。 続きを読む »