2015年4月18日

<萌目線。vol.118>パクウェなび その4

Filed under: 萌目線。

すっかり春めいて来たと思ったら寒の戻りもあったりする今日このごろ。。
温かなお天気のいい昼下がりにも、
まだまだお喋りしていたい春の宵にも、
とっておきのお店をご紹介します!

日本平へ続くパークウェイの入り口といえば…
GREEN HOUSE です!!

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イングリッシュガーデンを思わせる佇まいのお店。
手作りの美味しいケーキとお飲物のセットから、
お肉とお野菜もりもりの定食まで
お腹も心も満たしてくれます。

この日お茶しに行った私と、ゆずっち(コーヒーのドリップには並々ならぬこだわり様)と、本多先輩(カップラーメンには並々ならぬこだわり様)は、お茶だけのつもりがまんまとお食事をオーダー。

器まで食べられちゃうパングラタン、
お肉たっぷり焼肉ドリア、
肉汁を閉じこめたハンバーググラタン!

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どれも嬉しい手作り感。
この、ご馳走!って感じがテンション上がります。

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夕方からはまだまだ寒い芸術公園での観劇の前にも、後にも、
GREEN HOUSEのアツアツメニューでお腹を温めてくださいね。

GREEN HOUSE
tel:054-264-0131
静鉄バス日本平線「動物園入り口」下車すぐ目の前。

<萌目線。>とは・・・ SPAC俳優石井萠水の目線で稽古場や舞台裏の様子をお届けしています。
GREEでもブログ更新中。


2015年4月16日

『メフィストと呼ばれた男』稽古場ブログ5 稽古レポート

今回は、『メフィストと呼ばれた男』担当のシアタークルー(ボランティア)さんの稽古レポートです。

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4月10日、16:00から90分程の間「メフィストと呼ばれた男」の稽古を見学させていただきました。
約2週間後に迫った演劇祭の初日を飾る作品でもあり、内容も、舞台のつくりも、細部にわたるまで様々な「挑戦」がされています。おそらく、劇場にいらっしゃるお客様はわっとまず驚くのではないかな?と想像するとわくわくするような、ちょっとほくそ笑んでしまうような心持ちにもなります。

稽古の様子はというと、途中途中で止めながら、宮城監督の指示や俳優さんたちの意見などが交わされていました。時代設定はナチ政権下、次第に戦争の不穏な空気が満ちてくる中、国立劇場で活動する俳優、芸術監督といった劇場人が登場人物です。SPACの俳優さんたちは、考えながら、ひとつひとつ、非常に慎重に、探りながら、確認しながら演技をされているように感じました。時代も違い、また作品という虚構の中ではあるのですが、やはり相当に現実的な問題として作品に向き合われているのだと思います。ある意味、これまでのSPAC作品の中でも、ヒリヒリするようなものになっているのではないでしょうか。






【稽古風景より】
 
見学時間内での後半は、かなり本番に近い形で流れていき、見学者だけでなく、おそらくスタッフさんたちも引き込まれてしまうような瞬間がありました。個人の意思ではどうにもならない社会の流れの中で、自分だったらどう選択してどの様に生きていくのか・・それぞれの登場人物がとてもリアリティを持った存在で、それぞれの立場に自分をなぞらえて考えてしまいます。
本当に、どのような作品になるのか・・本番が楽しみで仕方ありません。


【演出の宮城聰】


【舞台装置を移動する演出部スタッフと宮城】

ぜひ多くの方々に観て、考えてもらえたらいいなあと思いました。特に、若い方々や、学生さんや、演劇に限らず何かの表現活動をされている方に。または、組織や誰かを守る立場にある方も。
そして、もしできるのであれば、他の人に感想を聞く前に、自分の感想を持てる初日に観ていただくのがきっといいなあと思います。

『メフィストと呼ばれた男』担当シアタークルー 細萱亜矢

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SPAC新作『メフィストと呼ばれた男』
4/24(金)・4/25(土)・4/26(日)
静岡芸術劇場
http://spac.or.jp/15_mefisto-for-ever.html
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2015年4月13日

『メフィストと呼ばれた男』稽古場ブログ4 出演者インタビュー吉植荘一郎

出演者インタビュー、第3回は、文化大臣・巨漢を演じる吉植荘一郎です。


◆吉植荘一郎(よしうえ・そういちろう)◆

登場人物紹介◆巨漢
新政権の文化大臣。芸術愛好家でもあり、主人公クルトの俳優としての才能に惚れ込んでいる。新政権下で、クルトに国立劇場の芸術監督になることを提案する。

Q. 吉植さんの演じる巨漢はどんな人物ですか。
 私が演じる「巨漢」は、実在したナチス・ドイツの大幹部ヘルマン・ゲーリングという人をモデルにしています。この人は、一見豪快で派手好き女好きで、人当たりも良くて、「わっはっはー」という感じなんですが、実は秘密警察ゲシュタポを作り、政治犯を次から次へ血祭りに上げていった、非常に恐ろしい人物でもあります。 
 美術の愛好家でもあり、占領地域からいろいろな芸術品を略奪し、自分のコレクションにしていました。演劇との関連では、この作品の主人公クルトのモデルとなった俳優グスタフ・グリュントゲンスの才能に惚れ込んでいました。彼の芸術をナチスの新体制の下でも生き延びさせたいという思いと、それを民衆操作のためにフル活用したいという思惑で、クルトに近づいてきます。


【稽古風景より:劇場を訪れた文化大臣・巨漢】

Q. その思惑があっても巨漢の接近の仕方は、全然そういう感じがしませんよね。警戒するクルトに、「新体制でも、あなたは今までと同じように、芸術家としてあなた自身の仕事を自由に、最高の水準ですればいい」と。
 ひとつには、感嘆するほどの美しい芸術に触れた時、彼の中で「これは永久にこのままでいてほしい」、「これは、むやみに触れたりしてはいけないんだ」という、ある種の畏敬の念があるのだと思います。
 もうひとつには、たぶん今日のヨーロッパや日本のような国で、芸術家を枠にはめたり、自分の思惑で動かそうとする人は、腕を振り上げて、「君たちは、お国のために…!」というような、高圧的な態度はとらないと思うんです。「私どもは、いつも先生の作品を素晴らしいと思っています。今はこの国も大変な状況で、先生の力が必要なんです!」というような低姿勢で近寄って、けれども相手にノーとは言わせない状況を作るのではないかと。この作品は、そういうところに、昔のドイツのお話で終わるのではない、今の我々にも響いてくるものがあるのではないかと思います。


【稽古風景より(左は、巨漢の愛人リナを演じる鈴木麻里)】

Q. これまでに出演されたSPAC宮城作品との違いを感じる点はありますか。
 今回の芝居は、相手をどうしたいという明確な欲望をもって、そこから声や動きを出していくのではない仕方で作っていると思います。これまでの宮城演出作品では、声を出す場所もぐっとお腹の下の方に落として、重々しくしゃべるものが比較的多かったのですが、今回はそうではない。聞いていて、考える隙もなく台詞が流れていくスピードと軽さがありますね。自分はこうしたいんだという強い欲望を持っていない身体の俳優が言葉を発する。そうするとその、言葉に刺激されて、お客さんは、舞台で起こっていること以上のことを考え、想像していく。だから、登場人物が単純明快に理解できるようなものではなく、それぞれが謎や奥行きを持った人間として見えてくるということがあるかもしれません。

Q. 『メフィストとよばれた男』は宮城&SPACにとって挑戦作ですが、吉植さんにとっての今回の挑戦は何ですか。
 今回の作品では、本当に台詞を今思いついて言っているかのような綱渡りの状態が大事だと思うんです。それは、偶然の方に重みが偏ると、本当に台詞を忘れてしまう。だからといって、堅実の方に重さがかかりすぎると、用意してきた台詞をなめらかに言うだけになってしまう。お客さんが「この言葉は、いま台詞として発せられているんだ」ということを忘れてしまうくらいに、自然に風通しよく、しゃべれたらと思います。どこまでいい感じにビビりながら、落ちずに行けるのかの綱渡り。それに挑戦しています。

Q. 最後に読者のみなさんにメッセージをお願いします。
 この作品は1930年代から1945年までのナチス・ドイツをモデルにした話ですが、よくみると今の日本のことを言っているかのような部分がいくつもあります。「私たちも、もしかしたらこうなるかもしれませんよ、皆さん」という話でもあることを、どこかで感じてもらえたらと思います。

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SPAC新作『メフィストと呼ばれた男』
4/24(金)・4/25(土)・4/26(日)
静岡芸術劇場
http://spac.or.jp/15_mefisto-for-ever.html
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2015年4月11日

「ニヤカムさんと踊ろう!ダンスワークショップ」を開催いたしました!

4月3日(金)、舞台芸術公園 稽古場棟「BOXシアター」にて、 『タカセの夢』でおなじみの国際的に活動する振付家・ダンサーのメルラン・ニヤカムさんによるダンスワークショップを開催いたしました。

太陽のような輝く笑顔が素敵なニヤカムさん!
おとなも子どもも、その笑顔と明るさですっかり虜にしてしまいます!

小中学生の部(14:00~15:30)の模様。
カラフルな布を使いながら・・・うまくキャッチできるかな?

高校生以上の部(18:30~21:00)の模様。
歌あり、踊りあり、パワー全開!皆さんはじけています!

踊り終わった後の、皆さんのさわやかな笑顔が印象的でした。たくさんの方にご参加いただき、ありがとうございました!

*****
☆ニヤカムさんが野外芸術フェスタに出演します! 詳細はこちら

メルラン・ニヤカム
振付家、ダンサー、歌手、俳優、ラ・カルバス・カンパニー主宰(Compagnie La Calebasse)。
http://www.lacalebasse.org/
14歳でカメルーン国立バレエ団に入団。16歳で主席ダンサーに登りつめる。1990年にラ・カルバス・カンパニーを立ち上げ、91年に金の穂賞、最優秀ダンサー賞などを受賞。92年よりフランスに拠点を移し、さまざまな振付家の作品に出演。97年より、フランスで絶大な人気を誇るモンタルヴォ・エルヴュ・カンパニーに参加。2007年、08年、SPAC主催の「Shizuoka春の芸術祭」に参加。10年より、SPAC-ENFANTSプロジェクトで振付・演出を手がける。


2015年4月7日

『メフィストと呼ばれた男』稽古場ブログ3 出演者インタビュー鈴木陽代

出演者インタビュー、第2回は、主人公クルト・ケプラーの母親ママヒルダを演じる鈴木陽代です。

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◆鈴木陽代(すずき・はるよ)◆

登場人物紹介◆ママヒルダ
主人公の俳優クルト・ケプラーの母親。劇場ではプロンプとケータリングを担当。

Q. 鈴木陽代さんの演じるママヒルダはどんな人物ですか。
 阿部さんが演じる主人公クルトの母親です。このお話は第二次世界大戦前・中のベルリンの国立劇場の劇団員たちのお話ですが、ママヒルダは俳優ではなく、俳優が稽古や本番で台詞を忘れてしまったときに台詞を教えるプロンプやケータリング(楽屋のお茶場)を担当しています。俳優たちを下から支える、可愛らしいおばあさんです。
 演出の宮城さんには、「ママヒルダはこの劇場の守り神やミューズのような存在だ」と言われました。ママヒルダは、登場する劇団員の中で、ただ一人俳優ではありません。劇場という場所は、お客さんが入って初めて演劇を上演することができて、本来の意味での劇場となる。ただ、この作品には観客役は登場しないので、ママヒルダがお客さんに一番近い目線で俳優たちを見守っていることで、この空間を劇場として成立させているのかもしれません。

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【稽古風景より】

 ラノワさんの翻案では、ト書きに「ママヒルダはプロンプをしながら、編み物をしている」とあります。SPACにはプロンプターはいないんですが、西洋の劇場ではとても専門的な職業としてあって、すごい集中力で稽古や本番をこなしているそうです。だから、本来はプロンプをしながら編み物なんてできないんです。でも、そういう設定になっている。ラノワさんは、ママヒルダを、プロンプをしながら編み物をすることが許されるような、そういうみんなから愛されている存在として描いているんじゃないかなと思います。稽古で行きづまったり、ピリピリしたムードになった時に、ママヒルダがお茶を入れたり、俳優たちに声をかけたりする。すると稽古場の空気が和むような、そんな存在なんじゃないかと思っています。

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【稽古風景より】
【右は俳優ヴィクター・ミュラーを演じる渡辺敬彦】

Q. お客様にぜひ注目してもらいたいシーンはありますか。
 まだ1回1回の稽古で、いろいろなことが変わっている状況なので、このシーンがというのは難しいのですが… 台本がとても面白いです。劇を創作している時に、喧嘩が起きることもあれば、いきなりシェイクスピアやチェーホフがはじまったり… ママヒルダはプロンプターなので、劇中劇には加わっていないんですけれども、他の出演者の演技を、こんなにバリエーションがあるんだと、楽しんで見ています(笑)
宮城さんがSPACで演出してきた作品は、現実からは離れたどこかの美しい世界だったり、怖い世界だったりということが、これまで多かったのですが、今回の作品は本当に、私たちが生きている現実と同じ地平にある作品です。宮城さんにとっても私たち劇団員にとっても、挑戦です。いつも見てくださっているSPACのファンのみなさんには、SPACの俳優はこんなこともできるんだと見てもらえたらと思っています。
 あと、ママヒルダ的には、稽古で編み物をしていて、いろんな作品ができています。没にならなければ、本番でママヒルダの持つバッグは、私が稽古中に手編みで作ったものが採用される予定です。それっぽいバッグを持っていたら、これは私が手編みで作ったんだなと思いながら、見ていただけたら(笑)

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【稽古風景より】

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〈開催直前シンポジウム〉
抵抗と服従の狭間で ―「政治の季節」の演劇―
4/10(金) 19:30~21:30
スノドカフェ七間町 (静岡市葵区) 【定員30名】
登壇者:片山杜秀(音楽評論家、思想史研究者)、高田里惠子(ドイツ文学研究者)、
大澤真幸、大岡淳、横山義志 (以上、SPAC文芸部)

◆ご予約:
電話 SPACチケットセンター Tel.054-202-3399
(受付時間10:00~18:00)

http://spac.or.jp/15_symposium.html
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SPAC新作『メフィストと呼ばれた男』
4/24(金)・4/25(土)・4/26(日)
静岡芸術劇場
http://spac.or.jp/15_mefisto-for-ever.html
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2015年4月6日

『メフィストと呼ばれた男』稽古場ブログ2 出演者インタビュー阿部一徳

出演者インタビューを通じて、『メフィストと呼ばれた男』の登場人物や、作品の魅力、舞台裏を紹介していきます。

トップバッターは、主役クルト・ケプラーを演じる阿部一徳です。


◆阿部一徳◆

登場人物紹介◆クルト・ケプラー
当時ドイツで最高の俳優と謳われた男。当たり役はゲーテ『ファウスト』に登場する悪魔「メフィストフェレス」。ナチス・ドイツ政権下、劇場と芸術を守るためと信じ、敢えてベルリンの国立劇場芸術監督に就任するが、次第に時代の波に飲み込まれていく。

Q. 阿部さんの演じるクルト・ケプラーはどんな人物ですか。
 まず、天才!それが、今回この役を演じる上でなかなか大変です。それから役作りでは、彼の中心は「芸術至上主義」ということを一番考えています。稽古を重ねていく中で気付いたのですが、彼は国を代表する劇場の芸術監督として、当然政治的なことにも巻き込まれ、そこで葛藤するけれども、彼にとって政治は実は二の次で、やはり一番大事なのは、芸術、演劇なんです。とてつもなく演劇が好きで、一緒に芝居をやっている仲間への思いも深い。どんな状況でも演劇を続けていこうとする想いや、仲間の命を助けようと長年働きかける執念深さは、ある意味恐ろしくもあり、うらやましくもあります。
 最初は僕も、この男はすごく悪い人なのかな、自分の出世のためにあらゆることを計算し、人を利用しているのかなとも思っていました。彼には強烈な上昇志向があるので。でも、根のところではすごくピュアで、熱い人なのだという気が、今はしています。ただ、そういう彼の行動や態度は、普通の人の倫理観や価値観の尺度では、おさまらないところにあるので、周りの人たちは劇団の仲間も含め、誤解していくのかもしれません。今までに出会ったことのない役なので、毎日稽古していてとても面白いです。


【稽古風景より(右は若手劇団員アンゲラを演じる山本実幸)】

Q.この作品の見どころを教えてください。
 お話の内容は、芸術と政治ですが、僕たち俳優から見てもすごいなと思うほどの「演劇ラブ」が見どころです。この、演劇一筋に突き進んだものは、なんなんだろうというくらいにすごいので、そういう芸術家のありようも見てもらえたらと思います。
 登場人物たちの様子は、演劇をやっている人には、自分たちのことのように思えて、落ち着いて見てはいられないかもしれません。シェイクスピアやチェーホフといった、いろんな作品が劇中劇で出てくるので、演劇好きには本当にたまらない作品だと思います。
 それから、これは当日劇場に来てのお楽しみですが、木津さんの空間構成も見どころです。公演は3回だけですが、一度観ただけでは味わい尽くせない面白さがあるので、3度見てほしいです(笑)


【稽古風景より 劇中劇でハムレットを演じるクルト役・阿部】
【(左はハムレットの母ガートルードを演じるリナ役・鈴木麻里)】

Q. 社会派の骨太な作品をリアリズムで作るのは、宮城&SPACにとって新たな挑戦です。今回、阿部さんも新たな挑戦がありますか。
 今回はストイックな役で、劇中劇ではハムレットも演じるので、締まった身体にしようと、人生初の大減量中です!目標はマイナス12キロ。今マイナス9キロまできたので、本番までに達成できそうです。今年1月に出演した『グスコーブドリの伝記』のときと比べると、かなりしゅっとした阿部一徳を見ていただけるのではないかと思います(笑)

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演劇祭開幕まであと3週間、関連企画の連続シンポジウムもいよいよスタートします。
4月10日の〈開催直前シンポジウム〉は、『メフィストと呼ばれた男』を、「政治の季節」という論点から議論していきます。

ゲストの高田里惠子さん、片山杜秀さんに加えSPAC文芸部3人も登壇し、「演劇と政治」の関係をめぐって、熱い夜となること間違いなしです。

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〈開催直前シンポジウム〉
抵抗と服従の狭間で ―「政治の季節」の演劇―
4/10(金) 19:30~21:30
スノドカフェ七間町 (静岡市葵区) 【定員30名】
登壇者:片山杜秀(音楽評論家、思想史研究者)、高田里惠子(ドイツ文学研究者)、
大澤真幸、大岡淳、横山義志 (以上、SPAC文芸部)

◆ご予約:
電話 SPACチケットセンター Tel.054-202-3399
(受付時間10:00~18:00)
http://spac.or.jp/15_symposium.html
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SPAC新作『メフィストと呼ばれた男』
4/24(金)・4/25(土)・4/26(日)
静岡芸術劇場
http://spac.or.jp/15_mefisto-for-ever.html
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2015年4月3日

<萌目線。vol.117>新年度の幕が上がる。

Filed under: 萌目線。

4月1日。新年度がはじまりました!

SPACも新人スタッフさんたちを迎え、劇団員一丸となって、まずは「ふじのくに⇄せかい演劇祭2015」の大成功を目指していきたいと思います。

みなさま、今年度もどうぞよろしくお願いいたします!!

気づけば、私もSPAC7年生。。

少しは大人っぽくなれたかしら?
なれたのではないかしら?
なれてないのじゃないかしら?!

…という、ももクロちゃんたちの可愛らしいやりとりが見られる映画『幕が上がる』は、みなさまもうご覧になられましたか?!

ロケ地になり、芸術総監督はじめ俳優メンバーも出演しているということで、SPACメンバーも映画館へ行ってますよ!

そしてまんまと感化され、モノノフ…というかスパノフ増加中です。笑。

各映画館で上映延長が決まっています。

演劇に青春をかける演劇部員たちの姿を、
のんびりした静岡の素敵な景色を、
SPACが世界に誇る作品を作り出している稽古場を、劇場を、
演劇に人生をかけている劇団員たちの姿を、

みなさまどうぞ映画館でご覧ください!!

そして普段は公開していないのですが、映画の中で合宿所の稽古場になりました稽古場棟は、「ふじのくに⇄せかい演劇祭2015」開催中にお入りいただける日がございます!!

映画のワンシーンを再現してパロディー写真を撮ってみるのオススメです。
詳細は近日公開!!

モノノフさんたちの聖地巡礼もお待ちしております!!


2015年4月2日

【新人は見た!/『盲点たち』稽古場日記】vol. 3 体験型演劇?!

 こんにちは。
 いよいよ新年度。学生さんや社会人など、新しい生活が始まる季節ですね。

 桜咲くこの時期、『盲点たち』の俳優・スタッフは日々稽古に励んでおります。今回は『盲点たち』の少し変わったところをお伝えしようと思います。

 「ふじのくに⇄せかい演劇祭2015」のガイドパンフでは、紹介文に「体験型演劇」と書いてあります。……もうこれだけで、演出家ダニエル・ジャンヌトーの『盲点たち』が普段の劇場でのお芝居とちょっと違うということが想像していただけるかと思います。会場全体を作品にしてしまう、ダニエルの演出作品の性格が垣間見れます。
 今回、お客様にはBOXシアターに集合していただいてから、森の中の会場まで移動していただきます。夜の真っ暗闇の中で、お客様も俳優も含めて、その場にいる全員が目の見えない存在、「盲点たち」となります。
(※この写真はイメージです↓)

 ダニエルは、その場にいる全ての人が「盲点たち」となるために、ある工夫をしました。それはエキストラ俳優の参加です。経験を積んだSPACの俳優と、公募によって選ばれたエキストラの方々。観客の皆様と合わせて、様々な人の在りようを配置することで、「俳優と観客」「舞台と観客」といった垣根を曖昧にしていきます。

 ダニエルは、稽古の初めの頃、演出意図を「星座」の比喩で説明しました。

「空間にイスを配置し、どこに俳優がいるのかどうかは分からない。局所的に声がしたと思うと、他の場所からも声が聞こえる。これまで見えなかった空間は、台詞を介してまるで星座のように関係性によってつなげられる。」

 このことが、会場の配置、台詞や演技にとって重要なことです。それぞれの個性が、一つの星のようになって、時に他の星と結びつき、時に離れていく。必ずしもハーモニーを生むわけではなくて、不規則に変化していく。そうして動いていくリズムが『盲点たち』の音楽性となっていきます。だから、空間の配置と、台詞は密接に結びついているんですね。
 このリズムを表現することは、とっても難しいことです。俳優さんたちが日々格闘している様子がひしひしと伝わってきます。最終的には、お客様が入った状態で、『盲点たち』はどんな音楽を奏でるのでしょうか。……屋外ですから、予測できないことが起こるかもしれません。でもそれも、楽しみですね!


ダニエル・ジャンヌトー

 この「音楽性」を実現するために、もう一つ重要な要素があります。それは音響です。

 パリ初演の『盲点たち』は、IRCAM(フランス国立音響音楽研究所 Institut de Recherche et Coordination Acoustique/Musique)の協力を得て制作されました。そして今回、静岡での上演でもIRCAMの技術者が来日して一緒に作品を作っていきます。……IRCAMと言えば、パリのポンピドゥーセンターに併設された、創設時にピエール・ブーレーズが指導を務めた、世界トップクラスの音響学および現代音楽の研究所です。

 森が会場である本作、一見すると簡素な作りの舞台なんですが、実はものすごいテクノロジーが用いられているんですね。立体音響(3Dオーディオ)と呼ばれるジャンルは、劇場やホール音響の分野では特に専門的な知識と技能が必要です。今回、音の局所性に着目して、客席ごとに聞こえ方を計算しています。それぞれの座席の位置によって作品の印象が変わるのではないかと思います。誰一人として、“同じ作品”に触れるわけではないのです。これもまた、この作品が「体験型演劇」である理由の一つですね。

 いよいよ、音響を設置しての稽古が始まります。これまで俳優とイスだけだった時空間が、スピーカーと合わせて、一体どのように変わっていくのでしょうか。
 次回は、音響についてレポートしたいと思います! 『盲点たち』、ご期待ください!

創作・技術部 横田宇雄


「新人は見た!」・・・創作・技術部の横田が『盲点たち』のクリエイションから見える様々な見どころを紹介していきます。

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SPAC新作『盲点たち』
4/25(土) ※販売終了・キャンセル待ち
5/2(土) ※販売終了・キャンセル待ち
5/4(月・祝)
5/5(火・祝) 
各19時(集合時間)
会場:日本平の森
http://spac.or.jp/15_the-blind.html
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2015年4月1日

*ふじのくに⇄せかい演劇祭2015 見どころ紹介(7)* 『ふたりの女』、『小町風伝』

文芸部 横山義志(海外招聘担当)

ふじのくに⇄せかい演劇祭2015のプログラムをランダムにご紹介していきます。
今年はアングラ演劇50周年。
1960年代半ばから、唐十郎、鈴木忠志、寺山修司、佐藤信、そして太田省吾と、アングラ演劇を代表する演出家たちが次々と劇団を立ち上げていきました。
今回ご紹介する宮城聰演出『ふたりの女』・李潤澤演出『小町風伝』では、アングラ演劇の名作を、初演時とはかなり異なる演出で上演いたします。

『ふたりの女』
『ふたりの女』
『小町風伝』
『小町風伝』

 

『ふたりの女』は唐十郎作・演出で、1979年に初演されました。初演時の出演は緑魔子、石橋蓮司他。これは小劇場特有の熱気を活かした舞台でしたが、今回の宮城聰演出では、二人のヒロインであるアオイ・六条の二役をたきいみき、光一を永井健二他、劇団SPACの出演で、日本平の野外劇場で上演します。一方『小町風伝』は太田省吾作・演出で、1977年に初演されました。この作品は、かなりの量の台詞が台本に書き込まれているのに、その台詞がほとんど口には出されず、ほぼ無言劇の形で上演されました。にもかかわらず、この作品は翌年の岸田戯曲賞を受賞しています。この語られなかった台詞を、韓国を代表する演出家の一人である李潤澤が、韓国伝統演劇の手法も用いつつ、舞台の上に解き放ちます。

アングラ世代の代表的な演出家は、鈴木忠志を除いて、ほとんどが劇作家兼演出家で、自分の演出スタイルに合わせて作品を書いていました。これはある意味で、歌舞伎や文楽、能狂言も含めて、日本演劇に根強く残っているやり方なのかも知れません。そのため、こうして書かれた作品を、他の演出家が全く異なる形式で演出する、というケースはかなり稀でした。でも、一度そんな形式をはぎとって、テクストだけにしてみることで見えてくるものもあります。

『ふたりの女』と『小町風伝』は二作品とも、能の戯曲を題材としています。
『ふたりの女』は『葵上』に基づいています。光源氏の愛人である六条御息所が嫉妬に苦しみ、正妻葵上に怨霊となって取り憑く、という物語です。この二人がそれぞれ牛車に乗って祭見物に出かけたところで、家来同士が争って六条の車が壊されてしまう、という有名な「車争い」の場面を、唐十郎は富士スピードウェイの駐車場に置き換えています。主人公の医師光一と患者六条が出会うのは、伊豆の砂浜に立つ精神病院。この静岡ゆかりの作品を、宮城聰は2009年、日本平の原始林に俳優の生々しい身体を置き、スピーカーから大音響の音楽を響かせて演出し、連夜大入り満員となりました。初日にいらしていた唐さんも、なんだかご機嫌でした。(ちなみに飴屋法水さんは、東京に出てきて紅テントに参加したばかりの頃、若手発表会で『ふたりの女』の「駐車場係」の役を演じたそうです。飴屋さんはもうすぐ出る公式ガイドブックにすてきな文章を寄稿してくれています。)

『ふたりの女』
『ふたりの女』
 

『小町風伝』は『卒塔婆小町』などで取り上げられている小野小町の物語をもとにしています。絶世の美女だった小野小町が孤独な老婆となっていて、かつて自分を慕って通い詰めながら恋を成就できなかった深草少将の怨霊に取り憑かれる、という話です。太田省吾の作品では、「小町」は一人でアパートに住む年配の女性で、朝起きてインスタントラーメンを作りながら、戦時中に出会った軍人との逢瀬を懐かしんでいます。太田省吾はこの作品を能舞台で上演し、押し黙った老女が足の指先だけで、信じられないほどゆっくりと移動していく演技で話題になりました。李潤澤の演出では、この作品の夢幻能的な構造を、韓国の入巫儀礼「クッ」や仮面劇「トップェギ」などの手法を用いて表現しています。太田省吾は1992年に李潤澤演出の舞台を観たあと、「私の『小町風伝』を上演してほしい」と言ったそうで、その時に交わした約束を二〇年後に果たすことになったとのこと。この作品は2013年に東京の駒場アゴラ劇場でも上演されていましたが、その後ソウルで、より大きな劇場でブラッシュアップされたバージョンが上演され、太田省吾の奥さんだった大田美津子さんも、このソウル公演を非常に高く評価なさっています(大田美津子さんも公式ガイドブックに文章を寄せてくださっています)。

『小町風伝』
『小町風伝』
 

アングラ第一世代が切り拓いた近代の闇が、ふたたびのっぺらとした光に覆われていくかのように見える今日。残されたテクストを手がかりに、うすっぺらな光を切り裂き、身体にひっそりと身を潜めている前近代の深淵にどこまで斬り込んでいけるのか。五〇年後の私たちが、その身ぶりの本質をいかに受け継いでいけるのかが問われています。
 

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ふたりの女 ~平成版 ふたりの面妖があなたに絡む~
 演出: 宮城聰
 作: 唐十郎
 出演: SPAC
4/29(水・祝)18:00、5/3(日)18:00、5/6(水・祝)18:00
舞台芸術公園 野外劇場「有度」
http://spac.or.jp/15_two-ladies.html
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小町風伝
 演出: イ・ユンテク(李潤澤)
 作: 太田省吾
 出演: 演戯団コリペ
5/4(月・祝)16:00、5/5(火・祝)12:00、5/6(水・祝)15:00
舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」
http://spac.or.jp/15_the-tale-of-komachi.html
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新生スパカンファン!稽古場リポート

舞台芸術公園稽古場では、スパカンファンの稽古が行われています。
昨年『タカセの夢』が幕を閉じ、現在は新作『ANGELS』のクリエイション中です。
SPAC俳優・牧山祐大が稽古場の様子をリポートします。

☆「スパカンファン・プロジェクト」の詳細はこちら
☆「ふじのくに野外芸術フェスタ」の詳細はこちら

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<3/29 スパカンファン稽古場リポート>
スパカンファン新作『ANGELS』稽古開始7日目にお邪魔しました。

ポップな音楽。
時折、掛け声を交えたウォーミングアップ。
ニヤカムさんと木野さんの息のあった進行と指示。
そして体を動かしているのは、プロのダンサーに引けをとらないしなやかでキレのある動きの静岡県の各地から集まった中高生たち。

14名
女子11名男子3名(本日は一人お休みで13名)

新メンバーによるSPACのENFANTS=子どもたち、くっつけてスパカンファン。
野外芸術フェスタ@清水マリンパークでのお披露目公演にむけて、稽古中です。

ニヤカムさんのウォーミングアップは、ウォーミングアップにとどまりません。ある動き、ある振りをキッカケに実践的な振付へと変わっていきました。
断片的だった動きと動きをつなげ、シークエンスを紡ぎ出します。
大人顔負けのスピードで正確にその振付を記憶していく。

しかし、バレエの動きの入った振りに男の子たちは苦戦しているようです。

弱点をみつけそれを補うプログラムを即興でつくる、ニヤカムさん。
そのプログラムを解決するすべを即興でつかみ子どもたちに伝える、木野さん。
すごいコンビネーション、さすがの二人です。
2010年からスパカンファンプロジェクトが始まっているので、二人の共同作業も5年目になります。

何度か、繰り返すうちにとあっというまに吸収していく姿に、ちょっと感動してしまいました。

ニヤカムさんから稽古の態度についてのアドバイスも
「他の人の練習はちゃんと見ましょう。見ることも練習です。自分のためになります。」
厳しく、言うことはいう。そのときの顔はダンサーではなく、子どもたちのお父さんやお母さんの顔に見えました。

30分ほどで新しい振付を身につけたスパカンファンたち。
前日に覚えた振りを思い出します。極めて日本的な小道具をつかった愉快な振付です。
修正を加えてより密度の濃い振付へと変えていき、さっきの振付とつなげます。

・・・すごい・・・ほんとに今日できた流れなのかしらん。

振付を終えて、ニヤカムさんから一言。ダンスというものの特徴。音楽の特徴を捉えること。他人を感じて、周りから学ぶことの大事さ。

2時間みっちりとウォーミングアップ???して一時間のお昼休憩です。休憩の前に、練習中でも疲れたらしっかりとお水を飲むことを子どもたちに伝えます。暑くなると特にですが、水分の吸収は必須ですからね。

休憩前に作った振付は、クラシック・ギターの響きからの流れの最後になります。ギターを奏でる女とそれを押す女が舞台を横切る。一人踊る女が周りに注意を払うと扇子をもった少女たちが数人あらわれ、ともに踊る。
再び、ギターを奏でる女を押し、舞台を横切る女。

姿が消えると音楽がなり、再び少女たちが現れ、同じ振りが繰り返えされます。群舞の中に、他のグループやソロのダンスがパッチワークされ、最後の締めは今日、覚えたてのシークエンス。

修正の時間の過ごし方で、ニヤカムさんと木野さんからもう一度、一言。
みんな、自分の振りの修正や確認に夢中になり、ニヤカムさんが他のグループへの修正をしているということに無関心になってしまう。
ニヤカムさんは言います。この作業はグループで行う作業です。まず共演者の振り付けや修正にも興味をもつことが重要。自分は他の振付にも生きる基本的な修正を指示していることが多い。聞いていてくれれば、自分の振付の参考にもなるので、関心を持ってください。

みんな、懸命に上達しようとしているが故に起こってしまうことなんですよね。

最後はクラッシックバレエ定番のあの曲からの振付の確認。

ゴールデンウィークを挟んで2ヶ月弱。スパカンファンたちはどんなお披露目公演を見せてくれるのでしょうか。楽しみです!