レイプ的自慰行為の先にあるもの
芝居の幕切れ、彼女(彼)は自らの腕にはめたマぺットの内部に、もう片方の手を静かに少しずつゆっくりと差し込みはじめた。その行為の辿り着く先を、我々観客は目を釘づけにして見守る。洩らした吐息と「結末は思い出せないの」という言葉を残して芝居は唐突に終わりをむかえる。照明が落ち、舞台上が闇と静寂に包まれても、我々はお決まりの拍手ができずにいた。「果たしてこれでこの劇は終わりなのだろうか?」血液を脈打たせながら平静を装っていた観客は、期待の昂ぶりに終止符を打たざるをえなかった。自らを彼女(彼)に投影していたのに、その利那、鮮やかに現実に引きずり戻されたのである。 続きを読む »