2016年3月15日

『イナバとナバホの白兎』~新作誕生までの道のり~vol.2

こんにちは。制作部の丹治です。

今日も『イナバとナバホの白兎』は元気に稽古中です。

現在の稽古場所であるリハーサル室は静岡芸術劇場の6階にあります。
この部屋は静岡芸術劇場の舞台と客席の真上に位置しているので、
『ロミオとジュリエット』の公演が行われているその上で
『イナバとナバホの白兎』の稽古が繰り広げられているというわけです。

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↑ 『イナバとナバホの白兎』稽古の様子

昼間は『ロミオとジュリエット』の公演に出て、
夜は『イナバとナバホの白兎』の稽古に合流・・・なんて俳優もいます。

このリハーサル室には、
古事記やナバホ神話、レヴィ=ストロースに関する本がたくさん並んでいます。
今回は俳優が台本を作りながら、稽古をしているので、参考資料がいっぱい。

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↑ 本・本・本

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↑ 試しに使ってみる小道具もどんどん増えて・・・

一方、技術スタッフは、パリ公演地であるケ・ブランリー美術館のスタッフと
スカイプミーティングをしたりして、舞台美術などのプランを決めていきます。
それが駿府城公園ではどんな姿になって現れるのか・・・。

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↑夜の駿府城公園を下見するスタッフ(暗くてごめんなさい!)

日々少しずつ少しずつですが確実に歩みを進めている『イナバとナバホの白兎』。
これからもその製作プロセスをご紹介していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします!

(文:丹治陽)

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ふじのくに野外芸術フェスタ2016
フランス国立ケ・ブランリー美術館開館10周年記念委嘱作品
『イナバとナバホの白兎』
5/2(月)~5(木・祝)
駿府城公園 紅葉山庭園前広場 特設会場
◆公演の詳細はこちら
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2016年3月14日

<萌目線。vol.129>今川さんがSPACに出撃!

女子大生ジュリエットとして宮城嶋遥加ちゃんが大抜擢され!
静岡県中にジュリエットはるかフィーバーが巻き起こった今回の『ロミオとジュリエット』も、いよいよ一般公演千穐楽を迎えました。

この日はプレトークのゲストとして、静岡市非公式キャラクターである、今川さんが来てくれましたよ!!

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今川さんとは…
戦国武将 今川義元をモデルとしたキャラクターです!
お茶っ葉の形のまろ眉や、しぞーかおでんの弓矢、プラモデルの家紋など、静岡ゆかりの大名らしく主に県内のイベントに「出撃中」!

SPACの『ロミジュリ』は和のテイスト溢れる作品ということで、これは見逃せない!と千穐楽に駆けつけてくださったのです。

お客さんの中にも今川さんをご存知の方が結構いらして、出番の前からお写真の行列ができたりと、大人気!
今川さんが来るということで…と初めてSPACに来てくださった方もいらっしゃいました。
ありがとうございます!!

カフェには沢山の方がお集まりくださり、みなさんと「ハロまろまろ!」と今川さん流のご挨拶を交わして、プレトークがはじまりました。

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これからはじまる、かの有名なラブストーリーにドキドキが隠せず…

こんなにドキドキしたのは…
「桶狭間以来だねっ!」のネタも披露してくださいました!

私からシェイクスピアや作品についての簡単な解説をさせていただき、いざお客様たちと一緒に観劇へ。

劇場の入口で芸術総監督から「日本文化がどんな形に変貌を遂げたか、ご覧ください」と声をかけられました。

終演後は、お客様や本番を終えた出演俳優たちと記念撮影!!

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今川さん大好き!と言っていた実幸ロミオと勝負したり、討ち取られた者同士、永井ティボルトと仲良くなったり…

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すぱっくんもやってきてお友達になりましたよ。

ここに武石乳母も加わって、濃いキャラ集合写真に。。

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今川さん、またぜひ劇場へいらしてくださいねー!!

<萌目線。>とは・・・ SPAC俳優石井萠水の目線で稽古場や舞台裏の様子をお届けしています。
GREEでもブログ更新中。

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『ロミオとジュリエット』
構成・演出:オマール・ポラス
出演:SPAC
静岡芸術劇場
2月24日(水) ~ 3月16日(水) 
◆公演の詳細、アーティストトークなど関連企画の詳細はこちら
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2016年3月8日

<『ロミオとジュリエット』> 演出助手ファビアナさんのステキな朝食

『ロミオとジュリエット』の公演もすでに終盤です。
2月の稽古開始からすでに一ヶ月以上が経ちました。

その間、海外から来た俳優やスタッフたちは、
舞台芸術公園の宿舎で自炊生活をしています。

異国の日本で、皆さんどんな食事をしているのか、
気になりませんか?

そんなわけで、今日は演出助手ファビアナさんの、
ステキな朝ご飯を紹介したいと思います。

舞台芸術公園の近くにあるスーパーで売っている丸い白パンがお気に入りの彼女。

そのパンを使った今日の朝食はこちら。

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※コロンビアにはこの白パンに良く似た「パン・デ・ボノ」という、
キャッサバというイモの粉でできたパンがあるそうです。

静岡では、このパンをフライパンで温めて、バターを塗ってジャムをつけて、
緑茶と一緒にいただくそうです。

普段はコロンビアとフランスで演劇活動を行いながら、
母国コロンビアではテレビ女優としても活躍している彼女は
笑顔がとてもかわいらしい女性です。

そんなファビアナさんから皆さんへのメッセージを!

「ロミオとジュリエットの演出助手の仕事に向かう前、小鳥のさえずりと共に朝食をいただきます。
母国コロンビアの“パン・デ・ボノ”を思い出させてくれる日本の小さいパンと、静岡の緑茶、
そして醤油をかけたゆで卵、という素敵なミックス。
まるで、優れた材料を合わせたこの作品のよう…。
様々な国籍の俳優、何世紀にもわたって語り継がれてきた物語、永遠に消えない恋、
これこそロミオとジュリエットです!皆さま、劇場でお会いしましょう!」

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『ロミオとジュリエット』
構成・演出:オマール・ポラス
出演:SPAC
静岡芸術劇場
2月24日(水) ~ 3月16日(水) 
◆公演の詳細、アーティストトークなど関連企画の詳細はこちら
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2016年3月4日

<『ロミオとジュリエット』>開幕しました!舞台写真も公開。

オマール・ポラス演出『ロミオとジュリエット』。
2月27日(土)から一般公演の幕が開き、大勢のお客さまにご来場いただきました。

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お客さまから嬉しいお言葉をいただきました。誠にありがとうございます!
その一部をご紹介します!

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2月13日のおためし劇場からは想像(予想)できない素晴らしさでした。(60代)

演劇を観たのは初めてで上手く言えないのですが、迫力があって鳥肌が立ちました。
日本風の衣裳がとても綺麗でした。(女性・10代)

本当に「こんなロミオとジュリエットみたことない!」です。
暗くならず、楽しい気持ちになれます。(女性・50代)

何と言うか、奥が深いというか…。すごく心も身体も引き込まれました。
『ロミオとジュリエット』ってあの時代だからできた悲劇なんだなと思いました。
最後のシーンで思わず泣いてしまいました。(10代)

なんて言っていいのかわからないけど、
今まで私が観たSPACの中でナンバー1かもしれない。(女性・20代)

素晴らしかったです。(2012年の)初演を観た時も感動しましたが、
また違う印象で良かったです!
和洋が混ざり合った不思議な空気感、影絵のような演出、ロミオのカッコよさ、
ジュリエットのあどけない美しさ、乳母のキャラクター、ホントに素敵でした。(20代)
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テレビや新聞でも注目されています!
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・中日新聞(夕刊) 2016.2.12  「文化融合、心躍る演出」
・静岡新聞(夕刊) 2016.2.16  「悲劇の古典に和とユーモア」
・リビング静岡 2016.2.20  「こんにちは」(宮城嶋遥加紹介)
・朝日新聞 2016.2.27  「静岡市出身 女優2人が主役」
・中日新聞 2016.3.2  「頑張り実ってジュリエット 静大の宮城嶋さん初出演」
・テレビ静岡 2016.1.6 「てっぺん静岡」 「『ロミオとジュリエット』主演に大抜擢!静岡愛たっぷり現役女子大生」
・静岡朝日テレビ 2016.2.24  「とびっきり!しずおか」特集コーナー
・NHK静岡放送局 2016.3.1 「キラキラしずおか人」コーナー
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恋する心をエンジンに、美しく疾走するロミオとジュリエット。
ぜひご覧ください!

一般公演の千穐楽となる3月13日(日)は、お席にまだ余裕がございます。
よい席はお早めにご予約ください!

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2~3月 SPACレパートリー
『ロミオとジュリエット』
構成・演出:オマール・ポラス/原作:ウィリアム・シェイクスピア/日本語訳:河合祥一郎
出演:SPAC
静岡芸術劇場
◆公演の詳細、アーティストトークなど関連企画の詳細はこちら
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2016年2月27日

『イナバとナバホの白兎』~新作誕生までの道のり~vol.1

本日いよいよ「ふじのくに⇄せかい演劇祭2016」のチケットが一般発売開始となりました!
このせかい演劇祭の目玉作品の1つが宮城聰演出SPAC新作『イナバとナバホの白兎』です。

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昨年の『マハーバーラタ~ナラ王の冒険~』に引き続き、駿府城公園での野外劇として上演いたします。

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↑ 『マハーバーラタ』2015年公演の様子

実は『イナバとナバホの白兎』は1月中旬から稽古がはじまっており、ただいま作品制作真っ最中でございます。
今作品の特徴の一つが台本作りに俳優も加わって1から作っているところです。そのため稽古場には古事記やナバホ神話、クロード・レヴィ=ストロース(フランスの人類学者)、民俗芸能に関する資料がずらりと並んでいます。

「クロード・レヴィ=ストロースはどんなことを考えていたのか?」
「白兎は何者だ?」
「兄弟ってなんだろう?」「水は?火は?」

古事記やナバホ神話に出てくるエピソードやキーワードをもとに、
時にはそのものの根源までつきつめていくような話し合いを繰り返し、
具体的に台詞や身体表現にしてみて試行錯誤を重ねに重ね、ようやく少しずつ台本が出来上がっていきます。

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今週は<アメンボチーム>と<蒸し風呂チーム>に分かれてそれぞれシーンを作り発表しました。
アメンボ?蒸し風呂?と気になるところですが、今日はここまで。

まだまだ、形のみえない作品ですが、このブログで壮大な祝祭音楽劇が誕生するまでをご紹介していきたいと思います。

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(文:仲村悠希)

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ふじのくに野外芸術フェスタ2016
フランス国立ケ・ブランリー美術館開館10周年記念委嘱作品
『イナバとナバホの白兎』
5/2(月)~5(木・祝)
駿府城公園 紅葉山庭園前広場 特設会場
◆公演の詳細はこちら
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2016年2月26日

◆中高生鑑賞事業「SPACeSHIPげきとも!」 パンフレット連動企画◆ 『ロミオとジュリエット』出演俳優トーク

◆中高生鑑賞事業「SPACeSHIPげきとも!」 パンフレット連動企画◆

中高生鑑賞事業公演では、中高生向けの公演パンフレットをみなさんにお渡ししています。
パンフレット裏表紙のインタビューのロングバージョンを連動企画として、ブログに掲載します。

ロングバージョン写真

キャピュレット役
貴島豪(きじま・つよし)
1998年よりSPAC所属。出演作に『真夏の夜の夢』、『ハムレット』(演出:宮城聰)、『変身』(演出:小野寺修二)他。

ベンヴォーリオ役
舘野百代(たての・ももよ)
1997年よりSPAC所属。出演作に『王国、空を飛ぶ!~アリストパネスの「鳥」~』(演出:大岡淳)、『変身』(演出:小野寺修二)、『天守物語』(演出:宮城聰)他。

<台本にあるセリフは全部覚える!?>
──オマール・ポラス演出の『ロミオとジュリエット』は2012年に初演されましたが、当時、配役はどのように決まったのでしょうか?

舘野: 最初は出演者が全部の役を順番に、男女も関係無しにやってみて、その中でひとりひとりの特質を見極めながら決めていくのがオマールのスタイル。だから台本にあるセリフは全部覚えてこいって言われる(笑)。『ロミジュリ』(注:『ロミオとジュリエット』のこと)は最初特に男女逆にやるっていうつもりはなかったんだけれど、ロミオを男優で試し続けていて、何か足りないって思っていたんじゃないかな。そこで実幸(みゆき)(山本)にやらせたら空気が変わって…結果としてオマールは今の形に一番可能性を感じたみたい。
貴島: いろんな役をやることで、その俳優が自分でも気づいていなかった特質が出たりするんだよね。それを、オマールが思い描く登場人物たちのイメージとすり合わせて配役が決まる。
舘野: そういうやり方だから、こちらが事前にこう演じようと思って準備していったものは全部潰されちゃうんだよ。オマールは俳優がその場で何かを生み出すのを待っている。俳優自身も知らない個性が出てくるのを。俳優は全部「さらされる」から、嘘もつけないし、本気でやらないとオマールとは戦えない。

<本当の自分>
──「さらされる」とは何を通じてそう感じるのですか?

舘野: 『ドンファン』(※)のキャスティングでもやったのは、俳優が仮面をつけてやる即興パフォーマンス。まず俳優はオマールの持ってきた仮面をつけて、鏡の前で自分の姿と向き会う。そして、平台を数枚敷いたくらいの小さな空間で、その場で考えて即興的にパフォーマンスをする。もちろん、オマールや他の俳優の観ている前で。何をやってもいいんだけど、もし何もできなければ自ら退場するか、何も生み出せない状態のままじっと観られ続ける。そこで何か面白いことができたとしても、観ている人は笑ったりしてはいけない。そうすると俳優はその反応によりかかってしまうから、という…。
貴島: とりあえず舞台に出されて、「何かやってくれ」って(笑)。何もできない人がいたり、役者の性として「何かやらなきゃ」って思うから結局ドツボにはまってずっと舞台から降りられない人がいたり…。観てるほうも辛いよ。
舘野: どうしようもない状況になればオマールはヒントをくれるんだけどね。「あなたの名前は?」とか。でもそこで本名を答えると、「違う」と言われる。なぜなら仮面をつけているから。その場でキャラクターを作り上げなくてはいけないということ。
貴島: ふつうは仮面をつけたら「他の人を演じる」という感覚なんだろうけど、オマールは仮面をつけることでその人の奥底に隠れている本質的な部分を引き出させようとする。

※SPACスプリングシーズン2011『ドンファン』(2009年初演)
http://www.spac.or.jp/11_spring/donjuan.html

<「慣れ」との戦い>
──配役が決まった後の稽古はどんな様子ですか?

舘野: 稽古を繰り返していると、慣れてきて、だんだん自分のクセが出てきたりするよね。そうするとオマールはシチュエーションを変えたり、出る順番を変えたりして揺さぶってくる。常に新しいもの、前に進むことを追求しないと役は活きてこないから。稽古というと何度も同じことを繰り返してそれを確実にしていくことが多いんだけど、そうやってどんどん変更を加えるオマールとの作品作りが、自分の幅を広げるターニングポイントになった気がする。
貴島: 俳優が慣れてきたときに、オマールはそれを「メカニック(機械的)」と表現するんだけど、それを絶対に許さないから、俳優を自分の範囲から引っ張りだして、外に向かわせるように新しい要素を入れて活性化させる。演技に慣れてくると自分の箱の中でうまくやっているつもりになりがちだから。それにしてもオマールはそういうとき本当に察知するのが早い。もしかしたら、自身が若いころから俳優を志して母国を出て、言葉の通じない国で路上パフォーマンスをして見知らぬ人にさらされながら、学費を稼いで芝居の勉強をしていた経験も影響しているのかな。

<日本語の音を考える>
──上演台本は日本語ですが、オマールさんは日本語のセリフにどうアプローチするんでしょうか?

貴島: オマールは日本語の響きやリズム感にも敏感。俳優が日本語として自然な、話しやすいトーンでセリフを言うと、「ここで欲しいのはそういう音じゃない」と言われるときがある。それでオマールは求めているアクセントを「タ、タ、タ、タ、タ」とか言って実践してみせるんだけど、もちろん彼は日本語の母語話者じゃないから、日本語的にはありえないアクセントだと最初は思う。でも実際にやってみると、意外と日本語っていろんな話し方ができるんだなっていう発見があったりする。このすり合わせ作業は大変だったけど、目からウロコの連続でもあった。
 『ドンファン』では仮面をかぶって大きな身振り手振りをするような演技をした。でも、日本人の俳優は大きなジェスチャーの演技はちょっと大げさに感じるから、最初は違和感があった。オマールは能や歌舞伎も勉強してきているから、日本に特有の動きの様式があるということも知っている。それを、オマールの持っている様式をすり合わせて自然にできるようにしていく。そういう違和感から始まるすり合わせが、演技に深みをもたらしたと思う。
舘野: 身振り手振りも、適当にやってるんじゃなくてちゃんとコードがあるんだよね。慣れてない日本人からするとはじめは表面的に真似することしかできないんだけど、だんだんその意味も考えるようになってきた。

<世界レベル>
──稽古場でのオマールさんはどういう人ですか?

貴島: 厳しい人だね。求めているものが出てくるまで何時間でも待つ。反面、ものすごく気が早いときもある。パッとインスピレーションがわいたら、相手が悩んでいても「あれやって、これやってみて」とどんどん要求してくる。そうなると休憩も全然とらないし。とにかく極端で、中庸というものがない。何かを妥協したりは絶対にしない(※)。
舘野: 演劇に限らず、そういう人たちが世界をリードするんだろうね。その肌に触れられるのはとてもありがたいこと。

※貴島豪による、『ふじのくに⇄せかい演劇祭2012』で上演されたテアトロ・マランドロ『春のめざめ』でのオマール・ポラスについてのコラム
http://spac.or.jp/blog/?p=11313

<「ぶっ飛んだ演出家」オマールとの出会い>
──SPACの俳優の中でも特にオマールさんとの付き合いが長いお二人ですが、そもそもの出会いはどんな形だったのでしょう?

舘野: 最初にオマールに出会ったのは鈴木忠志さんが芸術総監督だった頃、1999年の『血の婚礼』。ヨーロッパでこの芝居を観て、呼ぼうと思ったらしい。で、実際に観てみたらものすごくぶっ飛んでいて、夢の世界に連れていってもらえた。でも滅茶苦茶ではなく、きちんとした枠があるという印象を受けた。その当時の俳優トレーニングに取り入れてみたりしたよね(笑)。
嬉しかったのは、『ロミジュリ』でヨーロッパ公演をしたときに、オマールの劇場(シテ・ブルー)で、「やっと夢が叶った」って言われたこと。オマールは『血の婚礼』のときから、SPACの人と仕事をして、自分の劇場に連れてくるのが夢だったんだって。
貴島: 芝居もぶっ飛んでいたけど、当時のテアトロ・マランドロ(オマールの劇団)のメンバーは…(笑)。普段の格好からアナーキーだったよね。
舘野: そうそうそう、鼻ピアスに、紫の髪とかで…(笑)。
貴島: でも演劇の話になると、とにかく真摯だし、作品からもそれが痛いほど伝わってくる。鈴木さんはそういうところを気に入ったのかもしれないね。

<ハードなツアー経験>
『ロミオとジュリエット』は2013年にヨーロッパツアーを行いましたね(※)。いかがでしたか?

貴島: ヨーロッパツアーではジュネーヴを拠点にして10都市まわったよ。ハードなスケジュールだったけど、行くところすべてが新鮮(笑)。新しい劇場に入って1日や2日で本番ということもあったけど。
舘野: 劇場入りして、通し稽古して、本番やって、夜に帰る、みたいなことで鍛えられたね。
面白かったのは、長期滞在だから俳優がそれぞれ違うアパートに泊まっていたこと。普段の海外公演みたいにみんなで同じホテルに泊まって、集まって劇場に行って…じゃなかったこと。同じチームなのに劇場で集まるまではお互いの生活にノータッチで、大人な感じだった。
貴島: 生活能力も問われたね。自炊能力、買い物能力…(笑)。体調管理は本当に大事。それでも長くいるとだんだん普段日本にいるときと同じような感じで、リズムができてくる。ジュネーヴを拠点にして、TGV(フランスの高速鉄道)でいろいろなところに行って。4カ月近くいたのかな。フランス語はなかなか覚えなかったけど(笑)。
舘野: 生活していくうちに現地の人たちといろいろな出会いや交流もできたしね。
貴島: CERN(セルン・欧州原子核研究機構)見学とか、MMAジムに通ったり(笑)。

※出演者による、2013年『ロミオとジュリエット』ヨーロッパツアーのブログ
http://spac.or.jp/blog/?cat=74

<外国人出演者たちから学んだこと>
──演出家のオマールさんだけでなく、出演者にも外国人の方々がいますね。一緒に作品をつくった印象はどうでしたか?

貴島: 一緒にトレーニングをやったりするとわかるんだけど、身体について何を大事にしなきゃいけないかっていうことは同じ。俳優それぞれいろんなプロセスを通ってきたとしても、お互い共通の肉体言語を持っているんだよね。
舘野: もうひとつ、印象的だったのは、例えば稽古に遅刻してしまったときとか、日本人だとまず「なんで?」から入っちゃうんだけど、オマールは「来てくれてありがとう」と言う。そういう風にポジティブから入るのはいいなあと思った。あとフランスやスイスで、スーパーで買い物してたら、現地の人はレジでまず「ボンジュール」って言うんだよね。自分も取り入れようと思って、日本でもレジで「こんにちは」って挨拶してるうちに店員さんと仲良くなったりした。そういう風に、芝居の外でもいろいろ取り入れたことで、自分が豊かになった気がする。
貴島: そういえば、フランスとかスイスでは文化として劇場に行くことが生活の一部になっているんだよね。スポーツ観戦とかと同じ感覚で。日本だとまだそこまではいっていない。これから特に若い人たちの間でそういう風になっていったらいいな、と思う。

<喜劇としての『ロミオとジュリエット』>
──SPAC版『ロミオとジュリエット』の見どころを教えてください。

舘野: 400年前に『ロミジュリ』が書かれたころ、当時のシェイクスピア演劇は男性だけで上演されていたんだって。きっと劇団には長老みたいな人がいて、ベテラン看板俳優がいて…。もしかしたらシェイクスピアは、若い人を主役にした『ロミジュリ』を書くことで、そういう状況に対してオマールと同じで「揺さぶり」をかけたのかも(笑)。SPACでも、若い役者をベテランが支えるっていう形で見せられたらいいな。
貴島: それから『ロミジュリ』って、たった5日間の恋愛劇なんだよね。オマールの演出はその疾走感をとても大事にしている。二人の悲恋が注目されがちだけど、実はメインは前半の喜劇的な部分じゃないかと思う。オマールは『ロミジュリ』の喜劇的要素を拾い上げて、スピード感・リズム感にあふれた作品に仕上げた。これは他の『ロミジュリ』にはない時間感覚じゃないかな。
あとはオマールの日本観が表れた舞台も見どころだよ。日本人が観るとまるでB級の忍者映画みたいなところが無きにしもあらずなんだけど(笑)、オマールなりに「日本とはなにか」ということがよく考えられていると思う。
舘野: 台本の解釈が深いから、いろんな要素を取り入れても踏み外さないんだろうね。

2016年1月11日 静岡芸術劇場にて
(構成・塚本広俊)


2016年2月20日

<『ロミオとジュリエット』>おためし劇場レポート!

2月13日(土)には『ロミオとジュリエット』の「おためし劇場」が開催されました!
小雨もふって、しっとりと冷えた天気のなか、50名近くのお客さまに来ていただきました。

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【「おためし劇場」会場の、舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」】

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【演出助手のファビアナ・メディナさんからご挨拶】

舞台と客席がとっても近く、和やかな雰囲気のなか「おためし劇場」がスタート。

今回は、SPAC俳優が日々稽古前に取り組んでいる
スズキ・トレーニング・メソッドをご覧いただきました。

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【バランスを取りながらセリフを発しています】

お客さまからの「迫力がすごかった!」という声もたくさん。
俳優の集中が客席にも伝わって、よい緊張感が生まれていました。

稽古見学では、普段はめったに見られない演出風景をご覧いただきました。
演出助手のファビアナさんが俳優たちに細かく演技の指導をして、
各シーンのイメージを共有していきます。

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【マキューシオが歌うシーン】

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【宴会のシーン】

参加者の皆さまからいただいた嬉しいお言葉をご紹介。(アンケートより抜粋)

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・めっちゃかわいくて、めっちゃかっこよくて、
めっちゃおもしろくて、めっちゃせつないよ。(涙) 見るべし! (女性、40代)


・乳母を見てー!ケラケラの所が面白いの! (女性、20代)

・密度の濃い文化的な時間の使い方として最上級のたぐいでしょうね。
楽しかったです。どうもありがとう! (男性、60代)


・今まで観たことのない、けもの達の『ロミオとジュリエット』。 (女性、40代)
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ここでご紹介できたのは、ほんの一部。
気になった方は、ぜひ本公演にお越しください。

開幕まであとわずか!

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2~3月 SPACレパートリー
『ロミオとジュリエット』
構成・演出:オマール・ポラス/原作:ウィリアム・シェイクスピア/日本語訳:河合祥一郎
出演:SPAC
静岡芸術劇場
◆公演の詳細、アーティストトークなど関連企画の詳細はこちら
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昨年の秋からシリーズ企画として始まった「おためし劇場」
劇場にはじめて来たというお客さまも沢山いらっしゃいました。
お越しいただいた皆さま、ありがとうございました。
次はどの作品でお会いできるでしょうか!?
これからも「おためし劇場」をヨロシクお願いいたします!


2016年2月19日

【SPAC県民劇団】劇団壊れていくこの世界で『血の婚礼』ブログ#5 

公演まで1週間となった13日(土)、
県民劇団「劇団壊れていくこの世界で」が小屋入りしました!

稽古場を覗くと…、照明の仕込みの真っ最中!
昨年の『オレステス』、そして劇団MUSES『Right Eye』の照明を手掛けた伊東さんが、
今年も引き続き担当します。そして今回、静岡文化芸術大学の「音響照明技術研究会 p@tchcode(パッチコード)」のメンバー二名もお手伝いに来てくれました。

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週末二日間を割いた照明や舞台美術の仕込みが終わると、場当たりがスタート。
ひとつひとつ、きっかけや立ち位置、道具を含む出ハケを確認していきます。

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本番まであとわずか、稽古にも熱が入ります。

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明解なストーリーだからこそ光るガルシア・ロルカの詩的な台詞の数々と、
仮面や映像を用いた個性的な演出にどうぞご期待ください!

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SPAC県民劇団 劇団壊れていくこの世界で
『血の婚礼』
2016年2月20日(土)13:30/19:00、21日(日)13:30
舞台芸術公園 稽古場棟「BOXシアター」
*詳細はこちら
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2016年2月15日

<『ロミオとジュリエット』>稽古順調!衣裳・メイク付きの写真を公開!

稽古が始まってから一週間。
演出助手のファビアナさんのリードの下で順調に進んでいます!

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 【2月7日、稽古の様子】
写真は、キャピュレット家の宴のシーン。
ロミオが友人のマキューシオ、ベンヴォーリオと一緒に忍びこんでいます。
うまく紛れこんだロミオたちはどこにいるでしょうか・・・?

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2月8日には衣裳もメイクもバッチリ決めて、通し稽古がおこなわれました。
衣裳を着てメイクをすると、宴もより一層にぎやかな仕上がりに!
 【2月8日、通し稽古の様子】

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 【2月8日、通し稽古の様子】
音楽に合わせて行進するキャラクターたちの最後尾には
ジュリエットのお世話役・乳母の姿も!!

物語前半のユーモラスで若い男女の恋にどこか浮かれた雰囲気もここまで。

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 【上:ロミオ役・山本実幸、下:マキューシオ役・吉見亮】

ロミオの友人マキューシオに起こる ”ある事件” をきっかけに、
歯車が狂い、少しずつ悲劇的な方向へ傾いていき・・・。
そのまま失速することなく衝撃のラストへと向かいます。

物語の展開にもぜひご注目ください!
 
 
≪おまけ≫

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 【ジュリエットの部屋のワンシーン】
衣裳をまとった清新なジュリエットの姿はぜひ劇場で!❤

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2~3月 SPACレパートリー
『ロミオとジュリエット』
構成・演出:オマール・ポラス/原作:ウィリアム・シェイクスピア/日本語訳:河合祥一郎
出演:SPAC
静岡芸術劇場
◆公演の詳細、アーティストトークなど関連企画の詳細はこちら
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2016年2月11日

【SPAC県民劇団】劇団壊れていくこの世界で『血の婚礼』ブログ#4

木田博貴インタビュー【後編】 *前編はこちら

――Z・Aでは俳優としてほぼ全作品に出演している木田さんですが、昨年の『オレステス』では演出に徹していましたよね。それが一転今回レオナルド役で出演する理由を教えてください。

 昨年出演しなかったのは、今までの県民劇団の演出家が出演していなかったから。僕が演出してさらに出演すると、何か言われるだろうなって思っていました(笑)。それに、『オレステス』だったら、オレステス役がやりたいじゃないですか。オレステス役をやらないのだったら、絶対に出演しないほうが良いな、と思ってやめました。それに昨年は演出に専念したい気持ちが強かった。それが一番大きな理由ですね。でも、『オレステス』が終わった後、お客様が「今回出なかったね、観たかったのに」と言ってくれたんです。「俳優・木田博貴」待っているお客様がいるんだなってその時改めて実感したので、じゃあ今年は出て良いですか?みたいな。今回の『血の婚礼』は人数的にもちょうど良かったし(笑)。
 あとは、役者を育てるのに、実際に自分が役者をやった方が早いって思うからです。実際に自分の演技を見せられるし、空気を感じてもらうことができる。それが大事だと考えているので。若い子たちには、「こんなセリフでもここまで真剣にやらなきゃいけないんだ」っていう空気感を舞台に立ちながら教えていきたい。口で言ってもなかなかわかってもらえないけれど、一緒に舞台に立っていると感じてくれたりするので。
 さらに言ってしまえば、昨年出演しなかったら、ストレスが溜まってしまって(笑)。

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――俳優と演出だったら、俳優の方がやっぱり好きなんですか?

 難しいんですよね、それが。全部やりたいんですよ、本当は。自分の時間とか意欲とかMAXならば、本当に全部やりたい。演出、脚本、俳優から音響、照明、衣裳やセット、チラシも実際に作るのは別にして、デザインからプランから考えたい。フルプロデュースとかやりたいです。でも、それは現実問題できないし、やったらつまらないのもわかっているので、プランというか方向性だけ定めて、やってもらうところは他の人にやってもらって、というスタイルで今はいます。それでも、脚本・演出は、Z・Aではやりたい。俳優は別にそんなでもないです。
俳優は、鏡のある密室でずっと一人で演じている、それだけで結構満足できます。ストレス発散したいだけなんです。カラオケみたいなものです(笑)。「こんな演技もできるようになったんだ」とか、「今こんな気持ちになれたんだ」とか。人に褒められたいとかあまりないですし、俳優は自己満足です、本当は。
でも、俳優として舞台に立つからには、お客様に伝えたいことが伝わるように頑張る。それはそれですごく好きなことだし。でも欲を言うなら、俳優としては好き放題やりたい。誰にも怒られず。それが多分自分がソロでやっている「独行」っていうプロジェクトになるのかなって思っています。

――木田さんは、ご自分の劇団Z・Aの他、ソロでの活動やキッズ劇団を立ち上げるなど、幅広く活動していますよね。昨年は、Z・Aの『八月のシャハラザード』がふじのくに芸術祭の演劇コンクール部門で「静岡県芸術祭賞」を受賞し、『隻眼の紅蓮丸』は「はままつ演劇・人形劇フェスティバル演劇部門」で最優秀賞を受賞、木田さんご自身も同フェスティバルで最優秀男優賞を受賞するなど、活動に対して一定の評価がなされてきた実感があるのではないでしょうか。その中で、県民劇団「劇団壊れていくこの世界で」は、SPACの助成としては2年が経過するので、この公演をもって卒業ということになりますが、今後この劇団をこうしていきたい、といったプランはありますか?

 ありますよ。年一回は小さな場所で良いので公演をやりたいなって思っています。やりたいことはいっぱいあるので。
劇団壊れていくこの世界でってまだ自由だと思っているんです。若い劇団だからこそ、色々なことに挑戦できる。僕の中での定義付けですが、Z・Aはエンターテイメントを押し出していく、でも壊れていくこの世界では、Z・Aではできない、演劇っぽいことや、僕とは縁のない言葉ですけれど、僕の中にもかすかにある「芸術性」とか(笑)、アーティスティックな部分とか、僕なりのそういった部分にチャレンジしたいと思っています。だから続けてはいきたいですね、ずっと。
 ほら、和食好きな人も、ラーメンを食べたりもするし、パスタも食べるじゃないですか。食べたいから食べるわけでしょ。最近こればっかりだったから、たまにはパスタでも食べてみようかな、みたいな感じです、僕にとって劇団って。最近観たものからインスピレーションを得て、「僕もああいうのをやりたいな」って思ったらチャレンジする、その一環として「劇団壊れていくこの世界で」を続けたいですね、僕個人としては。

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 あとは、海外の戯曲を自分なりの解釈で自由にやってみたいなっていうのはすごくありますね。またギリシャ神話をやってみたいっていうのもあるし、ガルシア・ロルカの他の作品もやってみたい。僕基本的には今まで観たことがある作品をやっているんですよ。『オレステス』も蜷川幸雄さん演出のものを観ていますし、『血の婚礼』も森山未來さんが出演していた舞台を観ています。他人が何らか解釈をして演出した作品を観て、理解して、影響を受けつつ、自分でもやってみる、みたいな。だから今まで他の誰かが上演しているのを観たことがない作品に挑戦してみたいですね。どうなるのかなっていう楽しみもあるし、先入観なく創れそう。
 さらに、今回もそうですけれど、例えば舞台美術を作ってみたいっていう人が集まって、僕ではなくその人たちがプランして作った舞台美術の中でお芝居をやってみたり…、そういった色々なチャレンジができる団体として続けていきたいと思っています。演出家ありきではなくて、劇団員ありきの劇団になっていけたらなぁ、って。集まった人たちによって変わっていく、というか、劇団員がやりたいって思うことにチャレンジしてみて、僕はそこにスパイスを加える、というか。例えば「和のビジュアルで今回やってみたいけど、どう?」って言ったときに、「じゃあこういうことをやってみましょうよ」とか、僕の発想にない、「和」というキーワードを与えただけで、何か創り出してくれる、そういう人たちが集まって、ずっと活動していけたら嬉しいです。今年集まったメンバーはまさにそういう人たちだと思う。だからこの公演が終わっても、一緒にやっていきたいし、また新たにクリエイティブなメンバーが加わってくれると、とってもありがたいですね。

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『血の婚礼』にかける想い、俳優としての自分、その後の劇団の展望など、熱く語ってくれた木田さん。
レオナルド役での出演も楽しみですね。
若いからこそ、色々なことに挑戦できる――
結成2年目の今、このメンバーだからこそできる、
劇団壊れていくこの世界での挑戦に、どうぞご期待ください!

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SPAC県民劇団 劇団壊れていくこの世界で
『血の婚礼』
2016年2月20日(土)13:30/19:00、21日(日)13:30
舞台芸術公園 稽古場棟「BOXシアター」
*詳細はこちら
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