2016年10月6日

おためし劇場『東海道四谷怪談』編 レポート

こんにちは。
静岡は雨が降ったり降らなかったり、なんともはっきりしない天気が続いていますが、
劇場は元気に動いております!

10月1日(土)に開催いたしました『東海道四谷怪談』「おためし劇場」の様子をレポートします!

今回は、初めて静岡芸術劇場に来ていただいた方も多く、
やや緊張した雰囲気のなかスタート。

さっそく劇場に入ると、やはりテンションが上がるのか、
みなさんのお顔がホクホクしていくようでした。

公演初日を2日後に控えた舞台稽古をご覧いただいた参加者の皆さんからは、
「本番さながらで、表情がとても細かい。」
「間近で見ることができすごい迫力でとても面白かったです。」

などの声をいただきました。

「続きが非常に気になる終わり方でした!」
というところで、稽古見学が終了した後は出演俳優の紹介。

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その後、演出の中野真希によるトーク。
聞き手は制作担当の梶谷智。

「演出はどんなことをやるのか?」
「SPACならではの『四谷怪談』の特徴は?」
などの質問にハキハキと答えていきます。

『東海道四谷怪談』がもともと『忠臣蔵』を背景つくられた作品で、
初演のときは『忠臣蔵』と交互に上演していたこと、
今回はそのことを意識して、仇討ちに参加しようとする小塩田又之丞という人物の場面を丁寧につくったこと、
それによって、対照的な生き方をする伊右衛門をより浮かび上がらせようとしたこと、
などを語ってもらいました。

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トークのあとは、演出助手の降矢一美によるバックステージツアー。
みんなで舞台上にあがって、舞台装置の裏側を見たりしました。

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俳優になったつもりで客席を見てみると、とても新鮮なんですよね。
「舞台の上から客席を見ると、観客一人一人の顔が見えるのがわかった。寝ていられないと思った。」
という声も。

バックステージツアーは、
10月8日(土)・9日(日)の終演後にも実施しますので、
ぜひご参加ください。

お客様からは、
SPAC版『東海道四谷怪談』について、
「怪談ということでビビっていたけれどもコミカルな感じで観やすかった。」
「大迫力!衣裳が面白くて、どんどん引き込まれていく。」

などの声をいただきました。

みなさまのご来場、心よりお待ちしております!

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SPAC秋→春のシーズン2016 ♯1
『東海道四谷怪談』
一般公演:10月8日(土)、9日(日)、10日(月・祝)
構成・演出:中野真希 原作:四代目鶴屋南北
出演:木内琴子、泉陽二、大石宣広、春日井一平、河村若菜、永井健二
   ながいさやこ、鈴木麻里改め坂東芙三次、若宮羊市、渡邊清楓
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2016年10月4日

【『高き彼物(かのもの)』への道6歩目】 演出家・古舘寛治インタビュー

8月の第一期稽古からはや一カ月。


【8月の稽古最終日に撮った集合写真】

先日、出演者スタッフが再び静岡に集結し、第二期稽古が始まりました!

さて、今回のブログでは、グランシップ情報誌「グランシップマガジン」に掲載された、
演出家・古舘寛治さんのインタビュー記事をご紹介します。

「フィクションの中に本当に生きている人間がいる」
SPAC新作『高き彼物』で、真の“リアリズム”を追求する

――今年度の「SPAC秋→春のシーズン」で『高き彼物』を演出されますが、
  この規模の舞台の演出は初めてだそうですね。どのような経緯で決まったのですか?

昨年SPACの『舞台は夢』公演の際、終演後のアーティストトークのゲストとしてお招きいただいたのですが、トークの前に芸術総監督の宮城聰さんから「演出をやってみませんか」といきなり言われまして。それがまさに演出をやりたくてたまらなくなっていた時期だったんです。
僕は20代の時アメリカで演技を学んだことから、俳優の演技というものに対して、ある種の目標、理想とする形を持っています。一俳優としてそれを追いかけてきたつもりですが、一俳優にできることは限られている。舞台に出ている俳優の演技全体を自分が理想としているものにしたいっていう欲求が年々膨らんでいました。だから宮城さんのお誘いは、ちょうど良いタイミングでした。

――『高き彼物』という作品を選んだ理由を教えてください。

宮城さんからいくつかの候補作品をいただいて、その中で最後に読んだのが『高き彼物』でした。
恥ずかしながら、この戯曲の存在自体知らなかったんですよ。『サラリーマンの死』にしようかなと考えていたんです。が、これを読んだ瞬間、僕の考える「リアリズム」を追求するのにピッタリの作品だと直感しまして、これに決めました。

――舞台美術を静岡県出身の宮沢章夫さん(劇作家、演出家、作家。遊園地再生事業団主宰)が担当されますね。

宮沢さんは、ご自身の舞台でもそうですが、抽象的なデザインの舞台美術を用いる方なので…覚悟しています(笑)。
「抽象」と「リアリズム」―― 一見相反するようですが、具象的な日常風景の前より抽象的な背景の前で “リアルな演劇”をやる方が、作品としてはより面白くなると思います。宮沢さんとは既に一度打合せをしましたが、これからどんなプランがあがってきて、どう形になっていくのか、ワクワクしますね。

――SPACの俳優陣に加え、今回2名の俳優をオーディションで選ばれたと伺いました。

本作に出演するSPACの俳優を集めて、一度ワークショップを行ったのですが、非常に鍛錬されていて技能が高いですね。
また、主人公の元高校教師の娘役を演じるとみやまあゆみさんも、以前別の仕事でご一緒したことがあり、演技の幅がある方なのでとても楽しみです。
そして石倉来輝くん。彼は実年齢と同じ18歳の高校生の役を演じます。結構大人な内容の戯曲なので、リアルな18歳が演じて大丈夫かなって心配したんですが…杞憂でしたね。オーディションでも堂々としていて、彼しかいないという感じでしたよ。成長に期待しています。

――「リアリズム」という言葉がたびたび登場していますが、古舘さんが考える「リアリズム」とは?

「舞台上のフィクションの世界の中に、本当に生きている人がいる」と見えるようにしたいんです。それが僕にとっての「リアル」であり、「Truth(真実)」です。
アメリカの俳優の中には、「真実」を「リアル」に対する言葉として使う人がいます。「リアル」は客観です。一方の「真実」は、俳優自身が本当にそこに生きていると信じている状態、極めて主観的なものです。俳優がそういう状態になれば、自ずと客観的な存在である観客からは「リアル」に観える。それが僕の信じているリアリズムへの道(メソッド)なのです。その時、見た目の問題を越えて、間違いなく面白いものが立ち上がってくると確信しています。

――最後に、静岡ではテレビCMで目にしない日はない古舘さんですが(笑)、静岡のお客様に向けて一言お願いします。

実は静岡では、道ですれ違っても、お店にいても、声を掛けられたことがないんですよ。一度我慢できなくなってお店の女性に聞いちゃったんです。「僕のこと知ってます?」って。そしたら「ハイ、知ってます」って(笑)。
知っていても知らぬふりをするって、古き良き日本の奥ゆかしさがあって、静岡が大好きになっちゃいました。
そんな大好きな静岡での初演出となる『高き彼物』、ぜひ観に来てください!

【グランシップマガジンvol.7(2016年9月15日発行)に掲載】

真の”リアリズム”演劇を目指して、稽古も順調に進んでいます。
その様子は今後のブログでレポートしていきます!

よい席はお早めにどうぞ!

公演情報はこちら。
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SPAC秋→春のシーズン2016 ♯2
『高き彼物』
一般公演:11月3日(木・祝)、5日(土)、13日(日)、19日(土)
演出:古舘寛治 作:マキノノゾミ 舞台美術デザイン:宮沢章夫
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2016年9月27日

<役者おくぬー日記>『ラ・バヤデール』鳥取公演を終えて。

7月に静岡芸術劇場でも上演したNoism劇的舞踊『ラ・バヤデール‐幻の国』が、9月24日、無事鳥取で終演した。

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6月の新潟公演を皮切りに、すでに5都市を周ったが、今回の鳥取公演では、新しいメンバーが加わり、フレッシュなところも残りつつ、初演メンバーは個々に役を深まった中、いい緊張感の中公演が行われた感じがする。

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しかも、今回でNoismを卒業するメンバーもいたりして、彼ら彼女らが日々このカンパニーでどれだけの研鑽を積んで今日を迎えたかを目の当たりにしているだけに、一抹の寂しさも漂う公演でもあった。

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今回の鳥取公演は今年で23回目を迎える日中韓合同演劇祭BeSeTo演劇祭の一環で行われており、実は8月に埼玉で上演されたNoism0『愛と精霊の家』は、このBeSeTo演劇祭 新潟のプレ公演ということだったのであるが、近隣の三国が継続的に協力し、持ち回りで開催されているこの演劇祭は、ここ数年の難しい時局の中にあっても、一回も途切れることなく開催され続けたのだから、国際委員の皆様方の努力と絆の深さをうかがい知ることができる。

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というのも、日本側の設立者はSPAC初代芸術総監督の鈴木忠志氏だったわけで、彼の志は鳥の劇場の中島諒人さんはじめ、穣さんも名を連ねる国際委員の皆様に受け継がれているのであろう。

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10月は新潟でもこのBeSeTo演劇祭は開催される。日本側としては、Noism0『愛と精霊の家』が上演され、私も出演させていただく。
日本の舞台芸術史に残る名作との呼び声も高いこの作品だけに、10月7日の本番が楽しみである。

Noism0『愛と精霊の家』についてはこちら

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8月のNoism0『愛と精霊の家』埼玉公演は故蜷川幸雄氏の拠点として有名な彩の国さいたま芸術劇場での公演だったので、まだ、そこかしこに蜷川さんのいた証のようなものが残っていて、戦いの軌跡の一端を垣間見るようで、気が引き締まる思いがした。

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そんな埼玉でのNoism0の公演を無事終えた翌日の8月22日は、台風の影響でダイヤの乱れが心配されたが、熱海にて途中下車して、この当時絶賛改装中、9月、11月と続けてリーディング・カフェを開催してくださる、エタブルの新居さんのお店を訪ねてみた。

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代表の新居さんは、Noism劇的舞踊『カルメン』の衣裳も担当してくださり、素材にもこだわった衣裳はリアルで好評だった。

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熱海といえば近年観光客の増加が話題になったが、ここは熱海の目抜き通り、銀座通りの老舗デパートを改装してるのだが、昭和の時代を彷彿とさせる懐かしさの漂う作りだ。

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また上の階はコミュニティースペースになっていて、一人で作業をする人や打ち合わせをする人が散見された。

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今、この界隈の若い方々が結集し、アートイベントや様々な試みを通じて熱海の良さを発信している。

そんな熱海ではいろいろなアートイベントなども開催されており、そういう催しにも新居さんは積極的に関わっていて、町の活性化の一端を担っている。

是非、これからも活発に活動していただきたい。

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<SPACリーディング・カフェ情報>
9月:読む戯曲『高き彼物(かのもの)』(作:マキノノゾミ)
10~11月:読む戯曲『サーカス物語』(作:ミヒャエル・エンデ)
11~12月:読む戯曲『冬物語』(作:ウィリアム・シェイクスピア)


2016年9月26日

『東海道四谷怪談』稽古場ブログ第6回 ~作品をもっと楽しむために~

みなさん、こんにちは。
気がつけば、もうすっかり秋です。

『東海道四谷怪談』では春から冬まで、季節の移ろいと共に物語が進行していきますので、
季節ごとに合わせた照明や音響効果にも、ぜひ注目してみてくださいね。

さてさて、本日はSPAC『東海道四谷怪談』をさらに深く楽しむための
関連企画などをご紹介したいと思います!!

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【その1】おためし劇場
「公演本番を観るだけでは、物足りない!」
「どんな風に稽古をしているのか、様子をのぞいてみたい!」
そんなあなたには、「おためし劇場」がオススメです!

稽古の様子をご覧いただき、演出の中野真希からお話をお聞きいただけます。
舞台上とはちがった俳優たちの一面が見られるかもしれません!
演劇になじみのない方にもお楽しみいただける無料イベントです。

開催日:10/1(土) 13:30~15:00(予定)
会場:静岡芸術劇場
要予約・無料


(過去の様子)

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【その2】はじめての演劇鑑賞講座
「本格的な演劇を観るのは初めてだから、楽しめるかな…」
「トーカイドーヨツヤカイダンって…なんだか難しそう」
そう不安に思っているあなたには、「はじめての演劇鑑賞講座」をご用意しております。

演劇初心者の方向けに、
SPAC俳優・片岡佐知子が作品の背景や、舞台の見どころを懇切丁寧にご紹介!
『東海道四谷怪談』は、『忠臣蔵』をベースにつくられた作品です。
時代背景や人物関係について知っておくと、より深くお楽しみいただけることでしょう。
もちろん観劇がはじめてではない方も大歓迎です!

開催日:10/8(土),9(日),10(月・祝) 12:30~13:30(開演前)
会場:静岡芸術劇場
要予約・無料

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【その3】バックステージツアー
「あの仕掛けはどうなっているの?」など、
舞台の疑問にお答えできるのがバックステージツアーです!

普段はなかなか見る機会のない舞台の裏側を大公開!
SPAC創作・技術部のスタッフが、舞台裏を特別にご案内します。

開催日:10/8(土),9(日) 終演後、約30分予定
会場:静岡芸術劇場
要予約・無料


(過去の様子)

上記3つのご予約は、SPACチケットセンターまで!
Tel:054-202-3399 (受付時間 10:00~18:00)

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【その4】プレトーク/アーティストトーク
開演25分前からSPAC文芸部による「プレトーク」が、
10/10(月・祝)の終演後には、演出家と出演者による「アーティストトーク」がございます。
[アーティストトーク出演:中野真希、永井健二、坂東芙三次、宮城聰(SPAC芸術総監督)]

※こちらはチケットをご購入いただいた皆様のみ、予約不要でご参加いただけます。

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【その5】鑑賞パンフレット
『東海道四谷怪談』のあらすじ、人物相関図など
鑑賞を手助けするパンフレットを、当日劇場にて販売しております。
作品より楽しむための「6つのヒント」や俳優トークも掲載!

小判がびっしりと顔に貼りついている男の、赤い表紙が目を引きます。
パンフレットのデザインは、静岡デザイン専門学校のみなさんにご協力頂きました。

以上、『東海道四谷怪談』をもっと楽しむための5つをご紹介いたしました!
是非、ご観劇とセットでご検討ください!

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SPAC秋→春のシーズン2016 ♯1
『東海道四谷怪談』
一般公演:10月8日(土)、9日(日)、10日(月・祝)
構成・演出:中野真希 原作:四代目鶴屋南北
出演:木内琴子、泉陽二、大石宣広、春日井一平、河村若菜、永井健二
   ながいさやこ、鈴木麻里改め坂東芙三次、若宮羊市、渡邊清楓
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2016年9月25日

【『高き彼物(かのもの)』への道 5歩目】出演者インタビュー第3弾・渡辺敬彦

『高き彼物』出演者インタビューの3人目は、猪原正義役の渡辺敬彦さんです。
猪原正義はこの物語の中心となる人物です。そんな役にどのように向き合っているのか伺いました。

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–渡辺さんが演じる「猪原正義」は、どのような人間なのでしょうか?

55歳の男性で15年前まで教師をしていました。しかし、今は教師を辞めてしまい、家に商店を構えて、父親(平八)と娘(智子)と3人で暮らしています。教師という職業にやりがいを感じていたし、周囲も彼にとって教師は天職だったのにと思っているようです。
何かがあった時に、具体的な解決方法は示せないけれど、自分のことと重ね合わせて、親身になって接するというか、一緒に考えようとする男です。

–戯曲『高き彼物』は、マキノノゾミさんが歌人・吉野秀雄の「屑(くず)たばこ集め喫(す)へれど志す高き彼物忘らふべしや」という詩を参考にされたとのことです。この詩についてはどのような印象を受けましたか?

まじめだなぁ、まっすぐだなぁという印象。「高き彼物」が何を指しているかは、具体的に「これだ」というものではなく、それぞれがずっと考え続ける大事なこと、信じていくと決める何かかなぁと思います。

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–話は変わりますが、渡辺さんは作品の設定である1978年のことをよく調べていると伺いました。

私よりみんな調べているし、知識もありますよ(笑)
今回はいつになく少しまじめに役柄の人生と歴史を重ねてみて、「正義」にとって大事な出来事は何か、そして大事な時期はどこかということを考えています。

–古舘さんの稽古はいかがでしょうか。

初めての感じです。すぐに「これだ!」という演技は見つからないし……。古舘さんが稽古場で言うことがわかったつもりでも、できないやっぱりわからないということもありました。それでも稽古が進んでいくと、演出の古舘さんが目指しているところはなんとなくつかめてきたような気がします。
私はいつも舞台上でお客さんにどう見られるかというのを考えていますが、今回は見られ方を考えずに、お客さんがそれぞれどう感じるか、もっとお客さんに任せてしまおうと思っています。

–ありがとうございました。

公演情報はこちら。
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SPAC秋→春のシーズン2016 ♯2
『高き彼物』
一般公演:11月3日(木・祝)、5日(土)、13日(日)、19日(土)
演出:古舘寛治 作:マキノノゾミ 舞台美術デザイン:宮沢章夫
静岡芸術劇場
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2016年9月22日

【『高き彼物(かのもの)』への道 4歩目】出演者インタビュー第2弾・武石守正

『高き彼物』出演者インタビューの2人目は、徳永光太郎役の武石守正さんです。
久しぶりに現代戯曲に向き合っているという武石さん。稽古の様子も詳しく語られています。

-今回の作品『高き彼物』という戯曲を読んで、どういう印象を抱いたかお聞かせください。

原作が100年以内に書かれた戯曲を読むのが久しぶりということもあって、最初に抱いた印象は「読みやすい」でした。いつもは戯曲を一読しただけでは理解できなくて、何度も繰り返し読むからかなりエネルギーを使いますが、この戯曲は関係や言葉がシンプルになっているから、物語には入っていきやすいです。ですが、演じるとなるとシンプルさやわかりやすさゆえの難しさがあるかなと思います。

-その難しさとは異なるかと思いますが、この戯曲の特徴として遠州弁が使われています。それについてはいかがでしょうか。

静岡に住んで16年になりますが、わかっているようでわかっていなかったことがわかりました。イントネーションや意味はわからなくてはいけないと思いますが、遠州弁にあまり慣れすぎないほうがいい部分もあると思います。今は苦労しているところもありますけど、いい距離感を見つけられたらと考えています。

-16年住まれていても、難しい部分があるのですね。

SPACは色々なところから人が集まっていて、そこで使うのは標準語に近い言葉になっているからでしょうか。イントネーションは出ても地元の方言とかは(仕事をしているときは)使わないですよね?

-そうですね、出てこないですね。
もう1つ内容について、武石さんが演じる「徳永光太郎」はどんな人物なのでしょうか。

42歳、男性。仕事は警察官。川根で生まれ育ち、警察官になりました。37歳の時に妻が子供を連れて家を出たようですが、細かい経緯は分かりません。彼の言い分では「川根の女は気が強いから」だと言っています。高校時代は猪原正義(元高校教師)に英語を習っていたそうですが、出来は良くなかったみたいです。現在は正義の娘の智子を好きなようです。

-地元にずっといる人ですね。
そういった人物を作るための稽古、古舘さんの稽古はどのような感じなのでしょうか。

演技とは本来そういうものなのですが、その瞬間を生きるということ、その瞬間の質を落とさずに何度でも繰り返せるよう自覚的になることを大事にされているように感じました。
古舘さんのワークショップの中で、自分がとっさに出てきたリアクションを3度繰り返すものがあります。シアターゲーム(稽古で行ったワークショップ)で失敗した時に頭を抱えたり、思わず声が出てしまったりしたら、すぐに3度繰り返します。自分から出てきたリアクションなのに、これがなかなか難しい。そのリアクションに至るまでの思考・判断の流れや、そういうリアクションをとってしまった感覚・身体などを正確にたどらないと、とっさに出てきた1回目とは違った動きが出てきてしまいます。
あまり意識していない細かい部分まで意識しないと、その時生まれたリアクションが大雑把なものや繰り返しやすいものに変わる瞬間に出会って考えさせられました。

-反射的な動作や思考を、身体と頭で筋道を立てて再現するというのは難しそうですね。

これは例えになるかわからないですが、ひとの話って100%は覚えてないですよね。自分が聞きたい情報だけを聞いているとか、同じように自分の記憶も常に選んでしまっている。
そういうふうに、ポイントは覚えているけど自分が大事じゃないと思ったことを落としている。そうすると組み立てた時にピースが足りなくなってしまう。その落としてしまったピースを見つけられると、新鮮に再現できるのかなと思います。

-そういったことから練り上げられたリアクションに注目して劇を見ると、この作品の演技の面白さが見えてきそうですね。
本日はありがとうございました。

公演情報はこちら。
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SPAC秋→春のシーズン2016 ♯2
『高き彼物』
一般公演:11月3日(木・祝)、5日(土)、13日(日)、19日(土)
演出:古舘寛治 作:マキノノゾミ 舞台美術デザイン:宮沢章夫
静岡芸術劇場
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2016年9月20日

『東海道四谷怪談』稽古場ブログ第5回 ~母校へ行ってきました~

『東海道四谷怪談』の出演者で、現役の大学生でもある渡邊清楓(わたなべ・さやか)さんが、このたび母校である静岡東高校を訪問!
SPACの舞台に立つことを恩師に報告するとともに、演劇部の後輩たちと交流をしてきました。

静岡東高校では演劇部の部長として活躍していた渡邊さん。
母校に訪れるのは3年ぶりとのことで、やや緊張気味でしたが、
恩師・村松正治先生と再会した途端、硬かった表情もすぐにほぐれていきました。

校長の勝山博子先生と、村松先生に出演のご報告をしたあとは、
現役の演劇部員たちとの交流会へ。

SPACでの稽古の様子や、自身の役作りについて語る渡邊さんに、
演劇部のみなさんはとても熱心に耳を傾けていました。

「滑舌を良くするにはどんなトレーニングをしたらよいですか?」
「男役を演じるに当たって心がけていることはありますか?」
など、部員のみなさんからは、先輩からのアドバイスを求める質問が。
渡邊さんは自身の経験談を交えながら、ひとつひとつ丁寧に答えていました。

そして最後には、演劇部の稽古を見学させて頂きました。
秋季大会を約1週間後に控えていたため、緊張感のある雰囲気ではありましたが、
渡邊さんの高校時代に使っていた小道具が、今でも使われていることがわかり、
部員のみなさんと一緒に盛り上がる場面も。

今回の訪問を振り返って、
「たくさんの方々に応援されて舞台に立てているということを、改めて感じました。支えてくださっている皆さんに感謝して、10月の公演に向けて励んでいきたいです!」と語る渡邊さん。

静岡芸術劇場での公演に向けて、ますます気合が入った様子。
渡邊清楓さんの活躍に、ぜひご注目ください!

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SPAC秋→春のシーズン2016 ♯1
『東海道四谷怪談』
一般公演:10月8日(土)、9日(日)、10日(月・祝)
構成・演出:中野真希 原作:四代目鶴屋南北 出演:SPAC
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2016年9月18日

【『高き彼物(かのもの)』への道 3歩目】出演者インタビュー第1弾・とみやまあゆみ

こんにちは!

8月の第一期稽古の間に、
『高き彼物』出演者7名にインタビューを行いました!

それぞれの視点から、作品の魅力や創作に対する思いを
たっぷりと語っていただきましたので、順にお届けしていきます。

第一弾は、「猪原智子」を演じる とみやまあゆみさん です。
それでは、どうぞ!

-とみやまさんが演じる「猪原智子」はどのような人物でしょうか?

実家で父(正義)と祖父(平八)と一緒に暮らす31歳の女性です。
第一印象としては明るい女性でした。実家で営む雑貨屋を切り盛りしたり、地元の製薬会社で営業を担当していたようなので、田舎の人当たりがいい人という雰囲気を感じました。ただ台本の読み合わせが進んでいくと、実は明るく振る舞っているのかなと感じられる一面もあります。明るい気遣いというか、優しさとも言えるかもしれません。どう演じるかはまだまだ模索中ですね。

-今年の4月に出演者オーディションが行われ、本作への出演が決まりました。この作品に挑戦したいと思ったきっかけはありますか?

オーディションには、「その時に来たチャンスは、逃すともう一生捉まえられない!」という思いでのぞみました。実は、2年前に劇団サンプルの『女王の器』という作品で古舘さんと共演させていただいたことがありました。このオーディションの情報を知った時には、「あの古舘さんが演出をするだって!? しかもマキノノゾミさんの戯曲を・・・、一体どんな作品になるんだろう!?」というワクワク感がありました。

-素晴らしいハングリー精神、好奇心ですね。

ありがとうございます。あと、『高き彼物』というタイトル自体にも魅力を感じました。人って心のどこかで「よくなりたい」と思いながら生きているんじゃないかと私は思っていて、「高き彼物」という言葉からも、「手の届かない場所やよりよいものを目指していく」といったイメージを受けとりました。タイトルと同じように素敵なお芝居になる気がしたので、この作品に参加したいと思いました。

-普段は東京で舞台を中心にお仕事をされているとみやまさんですが、
静岡(舞台芸術公園)に滞在しながらのクリエーションはいかがでしょうか?

稽古の後に、ぼんやりと作品について考える時間を取れるのがいいですね。夕方を過ぎれば聞こえてくるのは、鳥の鳴き声や虫の音、風の吹く音くらいで、考えることに集中できる環境です。稽古場で起こったことを思い出しながら台本を読み直したりして、演劇だけに向き合うことができる場所にいるという意味で、自分が鍋の中でじっくりコトコト煮込まれている感覚ですね。

-最後に意気込みをお願いします!

この作品では、静岡県川根町で暮らす猪原家と周囲の人間たちの人生の一部分が切り取られ、描かれています。「智子」だけでなく、みなが互いに思い悩んで、相手のことを慮(おもんばか)って、上手くいったりいかなかったりということがありながらも、係わり合って生きているということが貴(とうと)い奇跡のように感じました。そうであるならば、私たちも奇跡のような舞台を目指して10月からの第二期稽古も頑張りたいと思います!

【プロフィール】
桜美林大学総合文化学群演劇専修卒業。俳優。ワークショップファシリテーター。
大学を卒業後、舞台を中心とした俳優活動と並行して小中学校や劇場などで子供から大人まで様々な人達を対象とした演劇ワークショップの進行も行う。
近年の出演作に、KAKUTA 『Sound Play Series アンコールの夜』、□字ック『荒川、神キラーチューン』など。

公演情報はこちら。
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SPAC秋→春のシーズン2016 ♯2
『高き彼物』
一般公演:11月3日(木・祝)、5日(土)、13日(日)、19日(土)
演出:古舘寛治 作:マキノノゾミ 舞台美術デザイン:宮沢章夫
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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□■□■□ 最 新 情 報 □■□■□
11月5日(土)のアーーティストトークのゲストが、
小栗旬さんに決定しました!
*詳細はコチラ


2016年9月12日

『東海道四谷怪談』稽古場ブログ 第4回 ~浜松公演に向けて~

はじめまして、こんにちは。9月3日からSPACでインターンシップをしている、静岡文化芸術大学芸術文化学科1年の伊藤早紀です。
今回は「地域連携実践演習」という大学の授業の一環で6日間、『東海道四谷怪談』の制作のお手伝いをしています。私はダンスをしていて、普段は自分が舞台に立つばかりなので、制作のお仕事はわからないことばかりですが、少しずつ挑戦していきます。

現在『東海道四谷怪談』は、浜松での中高生鑑賞事業公演に向けて稽古中です。
今日はその稽古の様子を紹介します。

まず、リハーサル室にて毎日の稽古前のトレーニングを終えたあと、静岡芸術劇場に移動して舞台稽古が行われました。舞台上には浜松公演の会場となる、静岡文化芸術大学の講堂の舞台の大きさを示した印がつけてあります。そして、この作品では俳優が客席通路を使うことが何度もあるので、客席通路も実際の会場での位置を想定して稽古が行われています。俳優との近さが感じられることもこの作品の魅力の一つだなぁと感じました。


会場となる静岡文化芸術大学 講堂の舞台


稽古中の静岡芸術劇場の舞台
(舞台の大きさに合わせて、印をつけている)

稽古の途中にノーツ(演出家から俳優やスタッフに対し、修正や訂正を促すために行う、要請や注意)があったときには、俳優どうしでも意見を出し合っていました。例えば、一つのシーンでも、台詞一つの言い方でシリアスになったり、笑いのとれるシーンになったりしますが、今日の稽古でも、シーンを作るときどちらの言い方が作品の流れに合っているか、相談しつつ実際に試しながら確認していました。小さな変化が大きな変化につながるので、とても細かいところまでとことん追求していたのが、印象的でした。

浜松での中高生鑑賞事業公演までまもなく。今日1日の中でも変化がたくさんありました。こうして日々の稽古で作品がますます進化して行くんだなぁと思いました。残念ながら、浜松での中高生鑑賞事業公演は、一般のお客様にはご覧いただくことができませんが、静岡芸術劇場での公演はいつも通り一般のお客様にご覧いただけますので、ぜひ劇場へ足をお運びください。

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SPAC秋→春のシーズン2016 ♯1
『東海道四谷怪談』
一般公演:10月8日(土)、9日(日)、10日(月・祝)
構成・演出:中野真希 原作:四代目鶴屋南北 出演:SPAC
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2016年9月8日

<萌目線。vol.132>西の都!奈良より!

Filed under: 萌目線。

ナラ王様一行が、やってきました奈良県奈良市へ!!

維新派のスタッフさんたちをはじめ、現地の方々の多大なるご尽力のおかげで、もうすぐ本番の幕が上がります。

会場となる平城宮跡は、見渡すかぎりの広大な野原!頭上に広がるのは遮るもの一切無しの大きな空!!

つまりここ最近の天候では、昼は照りつける炎天下、夜は容赦の無い雷雨…

楽器も小道具も濡れて乾かしての繰り返し、
人は日にやけて雨に打たれての繰り返しでした。

今まで各地で上演してきたこの『マハーバーラタ』も、ほんまもんの西の都で繰り広げるには幾多の困難を乗り越えねばならないようです。

それでも雨上がりには、見事な二重の虹を拝めたことも…

歴史あるこの地で上演できるという奇跡に感謝して、舞台に立ちたいと思います。

初めてお会いできる関西のみなさま、そして静岡や東京など、各地から奈良市までご来場いただけるみなさま、平城宮跡でお待ちしています!!

念のためのレインコートのご用意をどうかお忘れ無く!
レインコートは夜風で冷えたときに防寒具としても使えます。

会場近くには自動販売機等がありませんので、念のため水分補給用のお飲み物をお持ちいただくと安心かもしれません。
(客席内での飲食はご遠慮ください。)
お食事やご休憩を済まされてからのご来場をおすすめします。

悠久の地に広がる平安絵巻物語を、どうぞお楽しみに!!