■卒業生 依頼劇評■
極北の劇場はクラインの壺となって
テアトロ・デ・ロス・センティードス<五感の劇場>による
<よく生きる/死ぬためのちょっとしたレッスン>を体感する
阿部 未知世
0. クラインの壺をご存じだろうか
クラインの壺というものがある。
この壺をガラスで作る時。まずあるのが、片方がぷくりと膨れた、もう片方が鶴の首のように細く長く伸びた、一本のガラスの筒。その首の部分が、ますます細く長く伸びて弧を描き、あろうことかその先端が、ぷくりと膨れた胴体に突入する。首は突入してもまだ伸びながら先端部が広がって、あげくの果てに、開口したままのもう一方の端へと、内側からつながる。これで奇妙にねじれた、不思議な形のガラスの容器が出来た。内側を辿るといつの間にか外側に出てしまい、外側を辿るといつの間にか内側に…。これがクラインの壺なのだ。
これは一体、何ものなのか。純粋に数学的な、非ユークリッド空間で生起する事象で、境界も表裏の区別も持たない曲面の一種なのだそうな。クラインの壺とは、その曲面をユークリッド空間の3次元に、無理やり埋め込んだ形なのだ(Wikipedia)というが… 続きを読む »