2014年2月14~16日に、アトリエみるめで上演された、大岡淳演出によるSPAC公演、ハプニング劇『此処か彼方処か、はたまた何処か?』への劇評を、実際に観劇された方々から寄せてもらいました。第3回は、イラストレーター、エッセイストとしておなじみの、南伸坊さんです。上杉清文さんとの交流を中心に、語っていただきました。愉快なエピソードが満載です。
■依頼劇評■
あの上杉君
南伸坊
『此処か彼方処か、はたまた何処か?』は、伝説の舞台だった。私はその伝説を、若い頃、あの石子順造さんからお聞きしたのだ。
上杉さんとは、私の高校時代の同級生、秋山道男が引き合わせてくれた。澁澤龍彦とバルテュスの話が出て、趣味が似ていると気が合ってしまった。
そんなことで知り合ったばかりの上杉さんのことをある時私が話しているのを横から聞きつけて、
「その上杉って、あの上杉君のこと?」
と石子さんに訊かれたことで、その上杉がタイヘンな人だったというのが分ったのだった。それから、私は上杉さんとつきあい方を変えなきゃいけないかなと思ったのだが、すでに会うといきなり下らない冗談を言い合う関係になってしまっていて、結局今にいたるまで、つきあい方は変わっていない。 続きを読む »