なぜかダークヒーローに共感する瞬間
確かに主役である伊右衛門は文句の言いようのない極悪人だ。
しかし舞台を観終えて、なぜか不思議と憎めない一面がある。
その理由は何だろうと考えていた。
『東海道四谷怪談』は皿を数えるお岩の科白で知られる怪談芝居『番町皿屋敷』を下敷きに描かれている。
四谷怪談とまったく無関係な赤穂浪士の討ち入りを絡め、忠臣蔵の外伝という形を取っているのは、この怪談の原型である『播州皿屋敷実録』の舞台となった播州にかけたものだと思われる。
江戸時代当時、表向き、芝居や読み物で武家物はご法度とされていた。
町人が武家について言及することは禁じられていたからだ。 続きを読む »