ブログ

2022年2月26日

House of Us
パレルモ版

イリーナ・ブルックが、自身の母で女優であったナターシャ・パリーの物語をもとに2018年より構想を続けるプロジェクト『House of Us』。私生活では家に籠り、新聞の切り抜きに埋もれていたという母の姿に現代の「ひきこもり」を重ね、我々の孤独や孤立を描き出すこの作品は、2020年に静岡での初演を予定していたところ、新型コロナウイルスの感染拡大により延期となっています。

コロナ禍を受けて世界中の人々が孤独に直面する中で構想を続けてきたブルックは、2021年9月、プロジェクトの第一段階としてイタリア・パレルモでの創作を行いました。作品全体を構成する複数の「部屋」の始まりとなるパートを現地の学生らとともに創ったパレルモ版。その公開の模様を収めた映像をご紹介します。

2023年、舞台芸術公園の様々な空間を使用して創作・上演される本プロジェクトを、どうぞ楽しみにお待ちください。
 
 
▼ House of Us パレルモ版(2021年9月)


 


構成・演出:イリーナ・ブルック
コラボレート・アーティスト:アンジェロ・ノネッリ
出演:ジェフリー・キャリー ほか
撮影:ラファエラ・パーカー 
編集:セシリア・ハミック
技術監督:フィリップ・ヤスコ

朗誦: ナターシャ・パリー
   (ウィリアム・シェイクスピア ソネット15、ソネット71)
 
会場:フォンダツィオーネ・サンテリア

 
 

イリーナ・ブルックによるノート

3年間の執筆、夢想、映像制作とスケッチを経て、パレルモで高い評価を受けるフォンダツィオーネ・サンテリア美術館で、遂に『House of Us』初めてのイマーシブ・パフォーマンスを創作する機会に恵まれました。歴史の重みある壁面が、夢と記憶にまつわる映像、ビジュアル・インスタレーション、サウンドスケープ、ライブ・パフォーマンスによって、魔法のように息を吹き返したのです。

私の母であり、今は亡き女優、ナターシャ・パリーの記憶に焦点を当て、生と死、演劇を想起させる詩的な映像に満ちた複数の空間で、観客は私たちと共に旅をします。

演劇作品『House of Us』の核となるのは、演劇を学ぶ若い学生たちが過ごす、透明で儚い楽屋がある広い部屋です。私たちは壁にとまる蝿に扮し、時を経ても変わらず心を打つチェーホフの台詞を稽古する、彼らの最も私的な状態を間近で観察します。

母の寝室と半分詰めかけたスーツケース、衣装部屋とはためくドレスを通り越すと、私にとって「演劇」そのものを象徴し、母の化身のような神話的人物、老練なアメリカ人俳優ジェフリー・キャリーと出会います。彼の暗いパリのスタジオに足を踏み入れると、70年の人生が背後の段ボール箱に積み重ねられています。ここで彼は、溜めこみをしてしまうこと、「モノ」と別れることができないということを私たちに告げます。彼の人生の全てがそこに、記憶の箱の中に隠されているのです・・・

(中略)

小さなランタンを掲げながら向かう最後の部屋は、よりミニマルな空間になっていきます。死から生へ、そして暗闇から光への旅。遠方にシルエットで見える喜びと若さを呼び起こすダンサーに驚かされ、謎めいた静けさの紙の鳥の部屋を彷徨った後、蝋燭の光に誘われ、灯籠に願いを書くために私たちは集まるでしょう。ソネットを発するナターシャ・パリーの声で暗闇が満たされていくのです。

(…)

 

悲しみの絶頂にある時、意識と潜在意識の境界は消えてしまう。私の母の死後、その奇なるとき、時を越えて伝わる教えを思い出す。遠い昔の記憶、おそらく幼少期に読んだエジプト史についての本からによるもので、旅立つ者は、「次の世界」への旅の友として美しいもの、もしくは役に立つものが必要なのだと。すぐに直感的に選んだのは、注釈付きのシェイクスピアのソネットの本で、それを彼女の美しく冷たい手の間にそっと挟んだ。きっと、それが彼女の望みだろうと。そうでしょう?神様が退屈して公演を見たいという日があるかもしれない。そんな時に、ソネット71番の出だしを覚えていなかったら・・・?

 

――イリーナ・ブルック
(翻訳:並河咲耶)

【演出家プロフィール】
イリーナ・ブルック Irina Brook

俳優、演出家。俳優ナターシャ・パリーと、現代演劇界の巨匠ピーター・ブルックの娘。1980年代より俳優として数々の映画、テレビ、オフ・ブロードウェイの舞台に出演し、1990年代より演出家として活動。98年、『月の獣』(リチャード・カリノスキー作)の演出によりフランス演劇界最高位の「モリエール賞」最優秀演出賞を受賞。2014~19年にはニース国立劇場の芸術監督を務める。これまで太陽劇団、ウィーン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座などで演出を手掛ける、現代を代表する演出家のひとりである。

2022年2月23日

ギルガメシュ叙事詩

 SPAC新作・日本初演 
ふじのくに野外芸術フェスタ2022静岡

古代メソポタミアの英雄ギルガメシュ王と親友エンキドゥの壮大な冒険物語が、躍動感あふれる祝祭音楽劇に。
世界的人形劇師・沢則行氏とのタッグで、森を守る巨大な怪物フンババが駿府城公園に現る!


 
フランス国立ケ・ブランリー美術館からの委嘱を受け、宮城聰がSPAC俳優陣と取り組む新作は、古代メソポタミアの冒険物語『ギルガメシュ叙事詩』。粘土板にくさび形文字で刻まれた古代文明の象徴にして現存する世界最古の文学作品で、[ノアの方舟]の原型が見出されたことでも世界を驚嘆させた。そこには紀元前2600年頃に実在したとされるメソポタミア南部の都市国家、ウルクの王ギルガメシュを主人公に、大自然に暮らす親友エンキドゥとの出会いと別れ、自然破壊、そして永遠の生命を求める旅が描かれる。宮城はこれが「口承文芸」であった点を重視し、俳優によるコーラスと生演奏で、叙事詩本来の音楽性を立体的に立ち上げる。さらに今回、チェコを拠点に世界的に活躍する人形劇師・沢則行氏と初めてタッグを組み、舞台全面を覆いつくす巨大な操り人形「フンババ」(レバノン杉を守護する怪物)が空間をダイナミックに変化させ、大小様々な操り人形は太古の空想世界へと誘う。そこで語られるのは自然と人間との関係、そして人間の奢り。4000年の時を超え、現代の私たちに響く壮大な物語がここに始まる。

 
台本・演出:宮城聰
翻訳:月本昭男(ぷねうま舎刊『ラピス・ラズリ版 ギルガメシュ王の物語』)
音楽:棚川寛子
人形デザイン:沢則行

キャスト


出演:阿部一徳、大高浩一、石井萠水、大内米治、片岡佐知子、貴島豪、榊原有美、桜内結う、佐藤ゆず、鈴木陽代、関根淳子、大道無門優也、舘野百代、本多麻紀、森山冬子、山本実幸、吉植荘一郎、吉見亮
/沢則行(操演)、桑原博之(操演)

あらすじ

暴君として怖れられるウルクの王・ギルガメシュは、無二の親友・エンキドゥと出会い、民に愛される立派な王へと成長する。ある時、二人は都市の建設のためレバノン杉を求め、森へと向かう。巨大で恐ろしい森の番人・フンババが現れ、二人は力を合わせ打ち倒すが、エンキドゥはその罪により命を失ってしまう。ギルガメシュは悲しみから心を病み、死を恐れるようになり、そして永遠の命を求める旅に出るのであった-。

公演情報

公演日時:2022年
5月2日(月)、3日(火・祝)、4日(水・祝)、5日(木・祝)
各日18:40開演

会場:駿府城公園 紅葉山庭園前広場 特設会場
上演時間:未定(120分以内)
日本語上演/英語字幕、全席指定【客席図はこちら】
 

\ 同 時 開 催 /
★ハシゴ観劇★『私のコロンビーヌ』
5/3(火・祝)14:00、5/4(水・祝)13:00
会場:静岡芸術劇場

詳細は以下のバナーをクリック!


 

チケット

◆SPACの会 会員先行予約開始:3月21日(月・祝)10:00
◆一般 前売り開始:3月27日(日)10:00
 
◎チケット購入方法
SPACチケットセンター
●電話予約 054-202-3399 (受付時間 10:00〜18:00)
●窓口販売 静岡芸術劇場チケットカウンター (受付時間 10:00〜18:00)
※休業日は、電話予約受付と窓口販売をお休みさせていただきます。
●ウェブ予約 https://spac.or.jp/ticket

[当日券]
残席がある場合のみ、開演1時間前より公演会場の受付で販売します。
※当日券販売の有無を、公演当日に必ずお電話もしくはTwitter(@_SPAC_)でお確かめください。
 
◎チケット料金
※全てのチケット代金は税込価格です。

●一般: 4,200円
●ペア割引: 3,700円 (2名様で1枚につき)
●グループ割引: 3,300円 (3名様以上で1枚につき)
※10名様以上の場合は電話・窓口にてお取り扱い
●ゆうゆう割引: 3,500円 (満60歳以上の方)
※公演当日、受付にて身分証をご提示ください。
●学生割引: [大学生・専門学校生]2,000円 [高校生以下]1,000円
※公演当日、受付にて学生証をご提示ください。
●障がい者割引: 2,900円 [障害者手帳をお持ちの方]
※公演当日、受付にて障害者手帳をご提示ください。
※付添の方(1名様)は無料 ※電話・窓口のみのお取り扱い

●SPACの会
一般: 3,500円
ペア割引: 3,300円 (2名様で1枚につき)

◎割引をご利用の際は、必ずご予約時にお知らせください。各種割引の併用はできません。

 
[託児サービス]
以下の公演では、「保育支援グループすわん」による託児サービスをご利用いただけます。
5月3日(火・祝)18:40開演
託児場所:静岡市民文化会館 会議室  託児時間:開演30分前~終演後まで
利用料:お子様1人500円  対象:6カ月~7歳
お申込み:<要予約/定員あり/先着順>
各公演1週間前までにSPACチケットセンター(電話:054-202-3399)へお申込みください。

スタッフ

美術デザイン:深沢襟
照明デザイン:吉本有輝子
衣裳デザイン:駒井友美子
ヘアメイク:梶田キョウコ

舞台監督:山田貴大
舞台監督助手:小川哲郎
音響:澤田百希乃
照明操作:花輪有紀
美術担当:佐藤洋輔、吉田裕梨
美術制作:塚本かな、鈴木里恵
ワードローブ:駒井友美子
字幕操作:大石多佳子

演出補:中野真希
対位法プランナー:寺内亜矢子
技術監督:村松厚志
芸術局長:成島洋子
制作:大石多佳子、高林利衣、入江恭平
文芸:横山義志

<以下、静岡公演に対して>
主催:ふじのくに野外芸術フェスタ実行委員会
製作:SPAC-静岡県舞台芸術センター

<以下、パリ公演に対して>
主催:フランス国立ケ・ブランリー美術館
製作:フランス国立ケ・ブランリー美術館、SPAC-静岡県舞台芸術センター
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(国際芸術交流支援事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会

★関連コンテンツまとめページできました

【演出】
宮城聰(みやぎ・さとし)

1959年東京生まれ。演出家。SPAC-静岡県舞台芸術センター芸術総監督。東京大学で小田島雄志・渡邊守章・日高八郎各師から演劇論を学び、90年ク・ナウカ旗揚げ。国際的な公演活動を展開し、同時代的テキスト解釈とアジア演劇の身体技法や様式性を融合させた演出で国内外から高い評価を得る。2007年4月SPAC芸術総監督に就任。自作の上演と並行して世界各地から現代社会を鋭く切り取った作品を次々と招聘、「世界を見る窓」としての劇場づくりに力を注いでいる。14年7月アヴィニョン演劇祭から招聘された『マハーバーラタ』の成功を受け、17年『アンティゴネ』を同演劇祭のオープニング作品として法王庁中庭で上演、アジアの演劇がオープニングに選ばれたのは同演劇祭史上初めてのことであり、その作品世界は大きな反響を呼んだ。他の代表作に『王女メデイア』『ペール・ギュント』など。04年第3回朝日舞台芸術賞受賞。05年第2回アサヒビール芸術賞受賞。18年平成29年度(第68回)芸術選奨文部科学大臣賞(演劇部門)受賞。19年4月フランス芸術文化勲章シュヴァリエを受章。
 
【人形美術デザイン・操演】
沢 則行(さわ・のりゆき)
北海道小樽市出身。1991年にフランス、1992年に文化庁在外研修派遣でチェコへ。以後、プラハを拠点に世界20ヶ国以上で公演、また、チェコ国立芸術アカデミー演劇・人形劇学部を始め、多くの教育現場で講座、ワークショップを行う。ヨーロッパ文化賞「フランツ・カフカ・メダル」授与、EU文化都市賞など、国際的受賞多数。日本国内では、NHK「みんなのうた」映像制作、「SWITCHインタビュー達人達」出演、東京オリパラ大会の公式文化プログラム「東京2020 NIPPONフェスティバル〜巨大人形プロジェクト『モッコ』」の人形デザイン設計および人形製作操演総指揮を担う。極小から巨大まで、あらゆる人形(=フィギュア)を創造し操演するところから、フィギュアアートシアターの第一人者とされる。

 

『ギルガメシュ叙事詩』パリ公演
GILGAMESH

3月24日(木)20:00、25日(金)20:00、26日(土)18:00、27日(日)14:30/17:00 <全5公演>
会場:フランス国立ケ・ブランリー美術館 クロード・レヴィ=ストロース劇場
Le musée du quai Branly, Théâtre Claude Lévi-Strauss

出演:阿部一徳、大高浩一、石井萠水、大内米治、片岡佐知子、貴島豪、榊原有美、桜内結う、佐藤ゆず、鈴木陽代、関根淳子、大道無門優也、舘野百代、本多麻紀、森山冬子、山本実幸、吉植荘一郎、吉見亮、
/沢則行(操演)、桑原博之(操演)

*ケ・ブランリー美術館ウェブサイトでの公演案内はこちら(仏語のみ)

 
◆ケ・ブランリー美術館 Musée du quai Branly
ルーブル、オルセー、ポンピドゥーとともにパリの四大美術館のひとつに数えられるケ・ブランリー美術館は、当時の大統領、故ジャック・シラク氏が「諸文化の対話する場所」として構想し、非ヨーロッパ圏の文明や文化の多様性に焦点を当てる美術館として2006年に開館した。25,000平方メートルの広大な敷地に、およそ35万点の作品が収蔵されている。館内に、人類学者クロード・レヴィ=ストロースの名を冠した劇場を有し、同劇場のこけら落とし公演として、宮城聰の代表作『マハーバーラタ 〜ナラ王の冒険〜』が上演された。 www.quaibranly.fr
 
◆宮城聰と同美術館のあゆみ
2006年:同館内クロード・レヴィ=ストロース劇場のこけら落とし公演として『マハーバーラタ 〜ナラ王の冒険〜』を上演。
2013年:SPACフランス公演ツアーの一環として、同劇場で『マハーバーラタ 〜ナラ王の冒険〜』を上演。(他、ル・アーヴル、ルヴァロワ=ペレ、カーンの3都市を巡演し、全9公演を実施)
2016年:フランス国立ケ・ブランリー美術館開館10周年記念委嘱作品『イナバとナバホの白兎』を演出、5月の静岡市・駿府城公園でのプレ公演を経て、6月世界初演。
2019年(レヴィ=ストロース没後10年):6月、静岡公演を経て、『イナバとナバホの白兎』を同劇場で再演

*2016年初演時の詳細はこちら
*2019年再演時の詳細はこちら


▲2016年ケ・ブランリー美術館 舞台写真 ©Jean Couturier
2022年2月18日

第23回 すぱっくこども大会

おとなになんて、まねできない!
オンリーワンなパフォーマンス!

今年の「すぱっくこども大会」は3月13日(日)、19日(土)に開催!県内から集まった26組49名の小学生たちが、様々な特技を披露します。SPAC俳優たちも司会やチューターとして、子どもたちの発表を全力でサポートします!

※ご来場されるお客様はページ下部の《ご来場のお客様へご協力のお願い》をご確認ください。

<「すぱっくこども大会」とは>

生き生きとした個性を持った子どもたちをはぐくみ、応援することを目的として、2001年からスタートしました。これまでの22回の大会には、736組1530名の小学生が参加し、歌やダンス、演奏、落語など得意の身体表現を披露してくれました。普段は世界レベルのプロフェッショナルな作品を上演する「静岡芸術劇場」で、あっと驚くような魅力的な個性と素晴らしい芸の持ち主である子どもたちに、その才能を存分に発揮してもらいます!

*過去の公演は本ページの〔演目紹介・関連情報〕からご覧ください。

 

公演情報

2022年 313日(日)19日(土) 各日15時開演

静岡芸術劇場(JR東静岡駅南口グランシップ内)

入場無料(要予約)
予約受付開始:2月26日(土)10:00
SPACチケットセンター TEL.054-202-3399
(10:00〜18:00)

入場ご希望の方は、事前にお電話でご予約ください。座席は全席指定席となっております。

☆親子室
乳幼児をお連れのお客様は親子室(遮音有り)をご利用いただけます。事前にお電話でお問い合わせください。(各日、定員1組)

 
主催:SPAC-静岡県舞台芸術センター
後援:静岡県教育委員会
 
《「こども大会」における新型コロナウイルス感染症対策について》
《「こども大会」における新型コロナウイルス感染症対策について》
・マスクの着用や手指・道具等の消毒・3密回避など、予防対策を講じた上で実施します。
「SPACこども大会 新型コロナウイルス感染拡大予防への取り組み」はこちら
・開催内容の変更、延期等の可能性があります。
 
《ご来場のお客様へご協力のお願い》
下記とあわせて、【重要】新型コロナウイルス感染拡大予防への取り組みとご来場の皆様へのお願いも必ずお読みください。
●ご来場前に体調チェックをお願いいたします。
(発熱等ある場合はご来場をご遠慮いただきますようお願いいたします。)
●ご来場の際はかならずマスクの着用をお願いいたします。
●会場入口にて、サーモグラフィ/非接触型体温計にて検温を行ないます。37.5 度以上の場合はご入場をお断りいたします。
●来場者カードへのご記入、提出をお願いいたします。
(万が一感染が発生した場合、保健所等の公的機関に提供する場合がございます。)

第23回すぱっくこども大会チラシ画像
 
第23回すぱっくこども大会出演者一覧

☆過去の発表会の様子