2018年11月23日

『マハーバーラタ』パリ・サウジ日記(6)公開ゲネ(最終通し稽古)

SPAC文芸部 横山義志
2018年11月18日(日)

技術スタッフは朝9時入り、俳優は13時半からトレーニング。

今日はゲネ(最終通し稽古)。ふつうは内部での最終チェックの場だが、「内部」のラ・ヴィレットのスタッフだけでも200人近く、その家族を含めて400人くらい来てくれるとのこと。さらに先月まで『顕れ』を上演していたパリのコリーヌ国立劇場のスタッフも50人近くといい、シルク・プリュム(ラ・ヴィレットで公演中のサーカス団)など、「関係者」だけで800人以上来ることに・・・。925席とのことなので、8割以上の入り。

ゲネの客席

そのなかで、ラ・ヴィレット側のご提案で、ふだん劇場になかなか来ることができない方々に、舞台を見ていただく機会を提供するために、難民支援のアソシエーションを通じて、難民としてフランスにいらした近隣の方々をご招待することになっていた。20人くらいの若いアフリカ系の方々が来てくれた。

私の隣に座っていた20歳前後のアフリカ系の女性は、ダマヤンティー姫とナラ王の夫婦が四年の歳月を経て再会し、ふたたび平和が訪れた、という場面で、マスカラが落ちるくらいに涙を流していた。賭けに敗れたナラ王は国を追われ、ダマヤンティー姫と森に入る。だがナラ王はダマヤンティー姫を置いて去ってしまう。ダマヤンティー姫が森のなかで虎や象や大蛇に出会いながら、命からがら自分を受け入れてくれる国にたどりつく、という物語を、この女性はかなり実感をもって受けとめてくれたのだろう。「来てくれてありがとう」と声をかけたら、とてもいい笑顔で「メルシー!」と返してくれた。

今夜の客席には何人ものダマヤンティーやナラがいたのだ、と気づかされた。
 

終演後にはフランソワーズ・ニッセン元文化大臣を囲んで、ちょっとしたレセプション。ラ・ヴィレットの方によれば、このレセプションルームはつい先週ここで開かれていた「パリ平和フォーラム」で60カ国以上の首脳が使っていたという。この場所で世界中の市民が各国首脳に世界平和実現のための提案をしていたかと思うと、感慨深い。

 
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『マハーバーラタ』(ラ・ヴィレットのウェブサイトへリンク)
https://lavillette.com/programmation/satoshi-miyagi_e20

『マハーバーラタ』フランス公演(SPACウェブサイト内)
http://spac.or.jp/mahabharata_japonismes2018.html

ジャポニスム2018参加企画 ふじのくに魅力発信事業(SPACウェブサイト内/日仏併記)
静岡県は、ジャポニスム2018公式企画に選定されたSPACの『マハーバーラタ』公演を活用し、公演期間である2018年11月19日から11月25日の間、「Mt. FUJI × TOKAIDO(富士山と東海道)」をテーマに、パリ市内で静岡県の魅力を世界に向けて発信するさまざまな事業を展開します。
http://spac.or.jp/news/?p=14636
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SPAC海外ツアーブログ
アヴィニョン演劇祭参加の記:2014年『マハーバーラタ』『室内』上演記録
アヴィニョン法王庁日記  :2017年『アンティゴネ』上演記録
『顕れ』パリ日記2018 :宮城聰最新作『顕れ』上演記録
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2018年11月22日

『マハーバーラタ』パリ・サウジ日記(5)稽古2日目

SPAC文芸部 横山義志
2018年11月17日(土)

天気のいい朝。ラ・グランド・アールの前にある「ライオンの噴水」が青空に映える。

ライオンの噴水

この鋳鉄製の噴水は革命後間もない1811年、当時最新鋭の技術を動員して作られ、今のレピュブリック広場にあたる場所に設置された。この噴水ができてから、ここは「給水塔広場」と呼ばれ、近隣に水を供給する役割も果たしていた。だがラ・ヴィレットに肉市場がオープンした1867年、オスマン男爵によるパリ大改造の一環として、「給水塔広場」には青銅製のより大きな噴水が作られ、この「ライオンの噴水」はラ・ヴィレットに移築されて、ここに連れられてきた動物たちに水をやる場となった。

技術スタッフは朝9時入り、俳優は12時半からトレーニング。

トレーニング

明日のゲネ(最終通し稽古)に備えて、各場面を入念にチェックしていく。

神様

ラ・グランド・アールの巨大な天井に俳優の影が伸びる。

影

「はい、じゃあラップ、「ずいずいずっころばし」のところ、お願いします」と宮城さん。そんな場面あったかな・・・。

ラ・グランド・アールのガラスと鉄骨の構造を見てみようと幕を開けたら、目の前にあるシャンソン・ホールの赤いネオンがすごく目立つ。

外のネオン

ラ・ヴィレットを通じて、シャンソン・ホールと交渉。

22時退館。夜のライオンたち。

夜の噴水

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『マハーバーラタ』(ラ・ヴィレットのウェブサイトへリンク)
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『マハーバーラタ』フランス公演(SPACウェブサイト内)
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2018年11月20日

歯車ワークス#8 おためし劇場レポート

Filed under: 『歯車』2018

開幕まで5日となった11/17(土)、無料の稽古見学会「おためし劇場」を開催しました!

「おためし劇場」は2015年度の「秋→春のシーズン」から始まった企画。
「演劇を観に行ってみたいけど、敷居が高そう・・・」
「どんな作品か分からないのに、チケット代を払うのはちょっと・・・」
なんて思われている方々に、まずは気軽に劇場に来て“試食”していただきたい、という思いから始めました。
今回の『歯車』で何と12回目。
すっかり定着し、「SPACのお芝居を観るのは初めて」という方から常連さんまで、また小さなお子様連れでも入場OKなので、とっても幅広い方々から好評いただいています。

静岡芸術劇場の2Fカフェ・シンデレラに集合し、制作スタッフの挨拶と説明の後、さっそく劇場へ。
演出の多田淳之介さんの簡単な挨拶の後、冒頭の第1章を通しでご覧いただきました。

この第1章の演出は、SPAC版『歯車』の見どころの一つ。
お客様からは
「自分も演劇に参加している気分になり、ただ受動的に観るのではない点が面白く、すごいと思った」
「演技に迫力があり、内容も底知れぬ恐怖を感じた」
「演出の意図を考えながら拝見するのが楽しかった」
「一人称として参加している感覚を味わえて、終わった後、不思議な疲れを覚えた」

などの感想を多数いただきました。

また、舞台美術はお客様にかなりの衝撃を与えたらしく、
「舞台の構造に圧倒された」
「インパクトのあるセットにぼんやりが具現化されると、迫力に感じる」

といった声も続出でした。

稽古見学の後は、多田さんのトーク&お客様からの質問タイム。
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お客様からは、第1章の演出や舞台美術に絡み、「この空間の使い方は、いつ頃から多田さんの中にあったのか、あるいはどういうきっかけで出てきたものなのか教えてください」というご質問が。
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これに対し、
「作品を創る時には、お客さまにどういう体験をしてもらうか、ということを考えます。今回は小説が原作ですが、戯曲を使う時もそう。物語とお客さまをどう繋げるか、そのために客席と舞台の関係を考えることが多いです。SPACの場合、客席を取り払って何もない空間を作ることは出来ないので、じゃあどうすれば良いのか、ということを考えたのが最初だと思います。主人公の“僕”を体験してもらう、という演出プランは、稽古を始めてから皆で色々話し合って決まったやり方です」
と多田さん。

さらに
「今はネットもあるし、テレビもあるし、映画もある。そんな中で演劇をどう楽しむかって考えると、やっぱりここに来た時の体験が大事だなと。演劇の歴史を紐解くと、昔はお客さまが演者に声をかけたりもして、双方向で行われていた。しかしある日「劇場」ができて「照明」が開発されて、舞台を集中して観られるようになった一方で、お客様がいないものにされてしまう、といったことが起きてきた。これって勿体ないなぁと思って。色々な人が一緒に同じ舞台を観ていて、笑っている人もいれば飽きている人や泣いている人もいる、それが人が集まってくる面白さだろうと。だから、観客の存在を可視化できるような、実際目に見えなくても良いのですが、客席に座りながらも役者や周りのお客さまの存在を感じてもらえるようにできたらなぁと思っています」
と多田演出の本質とも言える話も飛び出しました。

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他にもご紹介できないほど多くのご質問をいただき、お客様の期待感がひしひしと伝わってきました!

『歯車』は、中高生鑑賞事業が今週11/22(木)から、一般公演が11/24(土)からスタートします。
どうぞお見逃しなく!!

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SPAC秋→春のシーズン #2『歯車』
構成・演出:多田淳之介
原作:芥川龍之介
出演:大内智美、奥野晃士、春日井一平、河村若菜、坂東芙三次、三島景太[五十音順]

一般公演
11/24(土)・25(日)・12/1(土)・2(日)・8(土)・9(日)・15(土) 各日14:00開演
静岡芸術劇場
★アーティストトークのゲストが決定しました!詳細はこちら

チケット 好評販売中!
料  金:一般4,100円 ペア割引3,600円 ゆうゆう割引3,400円
学割2,000円[大学生・専門学校生]1,000円[高校生以下] ※ほか各種割引あり
購入方法:SPACチケットセンター TEL:054-202-3399(10:00~18:00) ※公式サイト、劇場窓口でも購入可

★【急遽開催決定!】 感想コラージュ画制作ワークショップ
SPAC版『歯車』の舞台をご覧いただき、その観劇感想をコラージュ画にしていただくワークショップを開催します!
11/25(日) 終演後 (『歯車』上演時間:120分以内/ワークショップ所要時間:75分)
静岡芸術劇場 参加費:500円
お申し込み・お問い合せ:SPACチケットセンター
詳細はこちら:http://spac.or.jp/news/?p=14821

★芥川龍之介特集ブックフェア開催中!
県内各地の図書館・書店にご協力いただき、芥川や彼と関係の深い作家の著作を紹介するブックフェアを
開催しています!また、戸田書店静岡本店では、芥川特集に加え、『歯車』出演俳優ぶ“私の1冊”も紹介し
ています。観劇前の予習に、観劇後の振り返りに、ぜひ足をお運びください!
詳細はこちら:http://spac.or.jp/news/?p=14781

★公演の詳細はこちら
http://spac.or.jp/haguruma_2018.html

★トレーラー第一弾はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=NBi9mdWKW5c

★ブログ「歯車ワークス」過去の投稿記事はこちら
http://spac.or.jp/blog/?cat=113

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2018年11月19日

『マハーバーラタ』パリ・サウジ日記(4)稽古初日

SPAC文芸部 横山義志
2018年11月16日(金)

技術スタッフは朝9時入り、俳優は11時半入り。現地スタッフと顔合わせ。

顔合わせ

ラ・ヴィレットはすっかり『マハーバーラタ』仕様に。

ポスター (1)

26人の俳優が劇場入りすると、だいぶ張り詰めた雰囲気に。

12時からトレーニング。午後に楽器をセッティングして、18時から稽古。

賭け

暗がりで待機する象たち。

象

屋内なのに、凍える寒さ。最低気温が0度に近づいてきた。22時退館。

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『マハーバーラタ』(ラ・ヴィレットのウェブサイトへリンク)
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『マハーバーラタ』フランス公演(SPACウェブサイト内)
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静岡県は、ジャポニスム2018公式企画に選定されたSPACの『マハーバーラタ』公演を活用し、公演期間である2018年11月19日から11月25日の間、「Mt. FUJI × TOKAIDO(富士山と東海道)」をテーマに、パリ市内で静岡県の魅力を世界に向けて発信するさまざまな事業を展開します。
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2018年11月18日

『マハーバーラタ』パリ・サウジ日記(3)ラ・グランド・アール、肉市場から文化施設へ

SPAC文芸部 横山義志
2018年11月15日(木)

 
会場のラ・グランド・アールに行くと、今月の演目の看板が設置されていた。このスケールだと、何をするにも大仕事。

11月12月看板

朝9時から作業。この舞台は現地で作らなければならないものも多い。いろいろ切ったりつないだり。

作業リスト

18時過ぎ、俳優たちがパリに到着。

字幕をチェック。

字幕チェック

この『マハーバーラタ』のリング状舞台が入るような大きさの屋内会場はパリにいくつもないだろう。鉄骨とガラスでできた、レトロモダンのちょっと不思議な建物。ここにはなかなか面白い歴史がある。

ラ・ヴィレットはパリ市の壁のすぐ外にある自治体だったが、1859年にパリ市に統合された。この建物は「ラ・グランド・アール(La Grande Halle)」という。「アール」というのはフランス語で「市場」の意味。急激な人口増に対応するためのナポレオン三世によるパリ改造計画の一環として、1867年にオープンした。それまでパリ市内と周辺5カ所にあった肉市場を一カ所に統合して、パリの中心から少し離れたところに、85メートルX245メートルで高さ19メートル、2万6000平米という巨大で衛生的な食肉処理場兼肉市場を作ったわけだ。

このラ・グランド・アールは、はじめは「牛肉市場(Halle aux bœufs)」と呼ばれ、月曜日と木曜日に市が開かれていた。最盛時には5000頭ほどの牛が取引されていたという。ここには他にもう二つ、羊肉市場、仔牛肉・豚肉市場もあった。

1900年からはこのラ・ヴィレットが「農業総合コンクール」の会場となり、カーニバル(謝肉祭)のときには、ここから「大牛(ブフ・グラ bœufs gras)の行進」が行われるようになった。フランス全国から選りすぐられた生産者自慢の牛たちが、パリの街を練り歩く。

このラ・グランド・アールのような鉄骨とガラスの建築が流行ったのは1851年のロンドン万博で一大センセーションとなった「水晶宮」がきっかけ。1857年オープンのパリ中央市場「レ・アール・ド・パリ(Les Halles de Paris)」もやはり鉄骨とガラスの建築だったが、これは1970年代に解体されてしまった。きっとこれができたときには、旧来の市場に比べて、強烈な清潔感が感じられるものだったのだろう。

ラ・ヴィレットの肉市場は1974年に閉鎖され、ラ・グランド・アールは1979年にフランス歴史遺産に指定されて、2007年に修復が終了した。その過程で、この建物は文化施設へと改造されていき、マイルス・デイヴィスやローリング・ストーンズ、デヴィッド・ボウイなどの大型コンサートを受け入れてきた。個人的には、池田亮司のライヴが思い出深い。ライヴに行って耳栓を配られたのはそれがはじめてだったが、この場所だからこその超爆音体験だった。

『マハーバーラタ』には、動物たちもたくさん登場する。豚をほふって肉を焼く場面があり、またヒロインのダマヤンティー姫が巨大な虎に喰われそうになる場面もある。これは人間が世界の支配者ではないことを教えてくれる物語でもある。ラ・グランド・アールができてから、パリの街では謝肉祭のときくらいしか家畜を見かけなくなっていった。そして今では獣たちはもっと遠くに追いやられ、音楽すら街の端へと追いやられている。ここで上演される『マハーバーラタ』はどんな意味をもつことになるのだろうか。

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『マハーバーラタ』(ラ・ヴィレットのウェブサイトへリンク)
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『マハーバーラタ』フランス公演(SPACウェブサイト内)
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2018年11月17日

『マハーバーラタ』パリ・サウジ日記(2)

SPAC文芸部 横山義志
2018年11月14日(火)

 
朝7時半ホテル出発。会場ラ・グランド・アールに8時集合。劇場側で製作してくれたリング状舞台を点検。

9時、コンテナ荷物の搬入開始。運んでも運んでも荷物が出てくる。ほぼ屋外で、寒い。

搬入

「サバ」、「プリ」、「ほくろ」と謎の印。

サバ、プリ、ほくろ

10時、搬入終了。

10時15分、顔合わせ・ミーティング。

ミーティング

17時過ぎに日の入り。今回は最終日の日曜日のみ16時開演なので、日の入り後の明るさの変化を確認する宮城さんと空間構成の木津さん。

明るさチェック

22時まで作業、退館。

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2018年11月16日

『マハーバーラタ』パリ・サウジ日記(1)

SPAC文芸部 横山義志
2018年11月13日(火)

『マハーバーラタ』のスタッフがパリに到着。夕暮れ。

バスから

今月はラ・ヴィレットというところで『マハーバーラタ』を上演の予定。そのあと、12月にはサウジアラビアのダーランで、やはり『マハーバーラタ』を上演することになった。

パリからサウジアラビアへ、というツアーはあまり聞いたことがないが(そもそもサウジアラビアで日本の現代演劇が上演されるというのもかなり珍しいだろう)、実はどちらもアヴィニョン演劇祭での上演がきっかけになっている。やっぱりアヴィニョンで公演すると、いろいろな人が見に来てくれるものだ。

ラ・ヴィレットはパリ市内で最大の公園。そのなかの一番大きな建物ラ・グランド・アールのなかに、駿府城公園やアヴィニョンのブルボン石切場などでの野外公演で使ったリング状舞台を組んで上演する。
*駿府城公園にて上演した『マハーバーラタ』演目ページはこちら

グランドアール

着いて早々、一応場所だけでも下見に。夜中に外から会場を見つめる怪しい人々。

下見

明日11月14日から仕込みをはじめ、11月19日~26日まで6回公演。また、「ふじのくに⇄せかい演劇祭2018」の開幕式で川勝知事も出演してくれた『喫茶去(きっさこ)』という小作品も、静岡茶のプロモーションのために11月24日・25日に無料公演の予定。(詳細はこちら
*『喫茶去』の様子も紹介した演劇祭のブログはこちら:【シアタークルーレポート】開幕式

すでに満席の日もあるようですが、お近くの方はぜひ遊びにいらしてください!

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『マハーバーラタ』(ラ・ヴィレットのウェブサイトへリンク)
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2018年11月15日

歯車ワークス#7 いよいよ劇場稽古スタート!

Filed under: 『歯車』2018

開幕まであと9日(?!)
いよいよ劇場での稽古がスタートしました!
前の1週間、俳優たちはリハーサル室で稽古。
集団でのシーンを中心に、動きや小道具、衣裳等を入念に確認していました。
一方の劇場では、創作・技術部のスタッフたちが急ピッチで舞台装置や照明・音響等の仕込みを進めました。芥川が親友の菊池寛に宛てた遺書にある「僕の将来に対する唯ぼんやりとした不安」という自殺理由は有名ですが、これをキーワードに生み出された舞台装置は、まさに見る者の心を揺さぶるような、異様な存在感を漂わせています。

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舞台装置の一部。圧巻の全体像は・・・ぜひ劇場で!

不安(不安定?)な舞台装置上での初稽古。
まずは舞台装置にあがり、感覚を慣らしたり、出捌けの位置や導線を確認。

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舞台装置上からはこんな感じで客席が見えます。合成写真ではありませんよ!

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その後、衣裳・メイクをして稽古スタート!
今日は、全6章中の第1章を止め通し、決まっていなかった細かい動きやきっかけなどを詰めていきました。
ここから1日1章ペースで、本番に向けて急ピッチで作品を仕上げていきます。

今週末には、無料の稽古見学会「おためし劇場」を開催しますので、「本番まで待ちきれない!」という方は、ぜひご参加ください!
一足先に、舞台装置が見られますよ!

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SPAC秋→春のシーズン #2『歯車』
構成・演出:多田淳之介
原作:芥川龍之介
出演:大内智美、奥野晃士、春日井一平、河村若菜、坂東芙三次、三島景太[五十音順]

一般公演
11/24(土)・25(日)・12/1(土)・2(日)・8(土)・9(日)・15(土) 各日14:00開演
静岡芸術劇場
★アーティストトークのゲストが決定しました!詳細はこちら

チケット
発 売 日:9/23(日)会員先行予約 9/30(日)一般前売
料  金:一般4,100円 ペア割引3,600円 ゆうゆう割引3,400円
学割2,000円[大学生・専門学校生]1,000円[高校生以下] ※ほか各種割引あり
購入方法:SPACチケットセンター TEL:054-202-3399(10:00~18:00) ※公式サイト、劇場窓口でも購入可

★【開催決定!!】おためし劇場
演出家の話を聞いたり、普段は見られない舞台の裏側をのぞくことができる無料のイベントです♪
11/17(土) 13:30~15:00 [無料・要予約]
静岡芸術劇場
ご予約・お問い合わせ:SPACチケットセンター

★芥川龍之介特集ブックフェア開催中!
県内各地の図書館・書店にご協力いただき、芥川や彼と関係の深い作家の著作を紹介するブックフェアを
開催しています!また、戸田書店静岡本店では、芥川特集に加え、『歯車』出演俳優ぶ“私の1冊”も紹介し
ています。観劇前の予習に、観劇後の振り返りに、ぜひ足をお運びください!
詳細はこちら:http://spac.or.jp/news/?p=14781

★公演の詳細はこちら
http://spac.or.jp/haguruma_2018.html

★トレーラー第一弾はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=NBi9mdWKW5c

★ブログ「歯車ワークス」過去の投稿記事はこちら
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2018年11月3日

歯車ワークス#6 “歯車”高速回転中!

Filed under: 『歯車』2018

開幕まで1か月を切りました!
序盤のスローペースから一転、稽古場では多田さん&俳優たちがギアを上げてシーン作りを進めています!
原作の要素は残しつつも、主人公の“僕”のセリフを私たちが普段使っているような口調に変えたり、芥川自身の実話エピソードを入れるなど、原作を大胆にテキレジ
この台本を手に、芝居の構造や動きといった一つ一つを確認・検討する作業を重ねています。
*テキレジ:脚本家が書いた本を、実際に上演できるように訂正や手直しすること

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▲『授業』休演日には、装置を避けつつ劇場内で稽古。

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一方、稽古場の外では、舞台美術や衣裳などの製作が着々と進んでいます!
衣裳室を覗いてみると、白い布に色付け作業をする衣裳スタッフの姿が。

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均一の幅でマスキングテープが貼られているところを見ると、どうやらストライプ柄の布を自作しているようです。
この布は、誰のどんな衣裳で使われるのでしょうか・・・?

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▲完成した衣裳と、これから作る衣裳の型紙。

そして舞台芸術公園 野外劇場「有度」の舞台上では、美術スタッフが舞台装置を製作中。

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▲パソコン上の図面を覗き込みながら何やら相談中。

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▲装置で使用する大量の平台(のようなもの)。

ここ野外劇場で装置を製作・一旦仮組みして具合を見てから、バラシて芸術劇場の舞台上に運び込み、組み上げます。

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▲稽古後、野外劇場に移動し、舞台装置を見学。あの平台のようなものがあっという間に組み上がっていました!全容は・・・ぜひご自身の目で!!

演出・俳優・技術スタッフ・制作スタッフそれぞれの“歯車”がガッチリかみ合い、本番に向けて高速回転中!そんな現場の様子を垣間見ることができるイベント「おためし劇場」を11/17(土)に開催しますので、ぜひぜひご参加ください!!

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SPAC秋→春のシーズン #2『歯車』
構成・演出:多田淳之介
原作:芥川龍之介
出演:大内智美、奥野晃士、春日井一平、河村若菜、坂東芙三次、三島景太[五十音順]

一般公演
11/24(土)・25(日)・12/1(土)・2(日)・8(土)・9(日)・15(土) 各日14:00開演
静岡芸術劇場

チケット
発 売 日:9/23(日)会員先行予約 9/30(日)一般前売
料  金:一般4,100円 ペア割引3,600円 ゆうゆう割引3,400円
学割2,000円[大学生・専門学校生]1,000円[高校生以下] ※ほか各種割引あり
購入方法:SPACチケットセンター TEL:054-202-3399(10:00~18:00) ※公式サイト、劇場窓口でも購入可

★【開催決定!!】おためし劇場
演出家の話を聞いたり、普段は見られない舞台の裏側をのぞくことができる無料のイベントです♪
11/17(土) 13:30~15:00 [無料・要予約]
静岡芸術劇場
ご予約・お問い合わせ:SPACチケットセンター

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2018年11月1日

『顕れ』パリ日記(12・最終回)

SPAC文芸部 横山義志
2018年9月21日(金)
~上演二日目、楽器のこと、警備イジドールさんのお話、カリブ海諸島のこと、コリーヌ国立劇場のこと~

 
私は今日が滞在最終日なので、この日記は今回が最終回。

昨夜取材してくれたAFP通信の方から、楽器の名前を教えてほしいとの依頼があり、作曲の棚川寛子さんに伺う。アフリカの楽器はジャンベ、ジュンジュン(ともに打楽器)、カリンバ(親指ピアノ)など。吉見亮さんが「今回手でジャンベを叩くのはぼくだけ、アフリカ系の方の前でやるのはとても勇気がいります」と言っていた。他の作品で使っていたバラフォン(ひょうたんを共鳴体とする木琴)は、今回演奏スペース(オーケストラピット)が小さいので断念したという。他にも、さまざまなシロフォン(鉄琴)やディジェリドゥー(オーストラリア先住民の楽器)、仏具のおりんなど、不思議な楽器がたくさん。

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▲ツアー終盤にお客様対象のミニ講座として、楽器紹介や演奏のデモンストレーションを行いました。

警備担当のイジドールさんのお話。イジドールさんはこの劇場でもう17年、5人のディレクターと仕事をしてきたという。

イジドールさん

「ワジディが来てから、このホワイエにベンチができたり、前の道路を閉鎖して歩行者専用にしたり、この劇場もだいぶ変わったよ。毎年クリスマスにはここで働いている人が家族連れで集まって、ワジディも家族と子どもたちを連れてきて、一緒にごはんを食べるんだ。時々みんなでバーベキューもやるよ。二階のテラスで、私が肉を焼くんだ。火の管理は大事だからね!
これが一番給料のいい仕事というわけじゃないけど、たぶん定年までここにいると思うよ。やっぱり一番大事なのは人と人との関係だからね。
この劇場は30年前、フランソワ・ミッテランがフランス文化を広めるためにつくったんだ。だけど、ワジディが来てから、世界中の人たちがここに来るようになった。今はアフリカのアーティストもたくさん来るようになったよ。
レオノーラ・ミアノはカメルーン出身なんだね。海外に連れて行かれた奴隷の話か。私はグアドループ(カリブ海にある島で、フランス海外県)の出身で、アフリカのことはあんまりよく知らないけど、ジャマイカとかハイチとかプエルトリコとか(アフリカ系の人が多く住むカリブ海の島々)には昔よく行ったな。家族はほとんどパリにいる。グアドループにはあんまり仕事がないから。
ここでやってる作品はみんな見てる。『顕れ』はきっと来週観に行くよ!」

『顕れ』には、一人だけアフリカ出身ではない登場人物がいる。ラスカルは「はじまりの大陸」の人々が「帰らずの地」と呼ぶ土地、つまりカリブ海諸島やアメリカ大陸で奴隷として生まれ、反乱に加わったためにアフリカ大陸へと追放される。そしてそこで生き延びるために「ゴロツキどもの売り買いをしたこともあった」、と語る。ラスカルだけは、自分たちが「黒人」と呼ばれる存在になっていることを知っている。この物語は「コンゴ人」や「カディオール人」がいかにして「黒人」となったか、という話でもある。

グアドループ島を含むカリブ海の「西インド諸島」は長年にわたって大西洋三角貿易の拠点の一つだった。原住民の多くは絶滅し、アフリカから定期的に補充される奴隷によってサトウキビなどが栽培され、フランスに大きな利益をもたらしていた。1789年にフランス革命が起きると、カリブ海のフランス植民地でも、黒人奴隷たちが自由を求めて戦い、一度は奴隷制が廃止されるに至った。フランス領サン=ドマング島ではハイチ革命が起こり、近代以降はじめての黒人共和国が成立した。

ところがナポレオンはカリブ海諸島に出兵し、奴隷制をふたたび導入。フランスで最終的に奴隷制が廃止されたのは1848年のことだった。カリブ海で最後まで残ったフランス領マルティニークとグアドループが植民地ではなくフランス本国の県と一応同等の「海外県」となったのには(1946年)、マルティニーク出身の「黒人」劇作家・詩人で国会議員ともなったエメ・セゼール(1913-2008)の貢献が大きい。

かつてムアワッドの制作担当として静岡に来たこともある事務局長のアルノーさんは「高校時代から通っていた劇場で働けてうれしい」という。この劇場に来て感じるのは、本当にみんな劇場が好きで、ワジディ・ムアワッドのことが大好きだということ。

コリーヌ国立劇場はフランスに5つある演劇用の国立劇場のうちで最も新しい。1988年にできたので、今年で30周年になる。「現代に書かれた作品」に特化した劇場ができたのは、フランスの公立劇場ではモリエールやシェイクスピアやギリシャ悲劇といった「古典」のほうが上演されることが圧倒的に多いからだ。多くの場合、名前くらいは誰もが知っている作品の方が、お客さんも来やすいし、学校の鑑賞事業でも選ばれやすい。となると、現代作家の新作を上演するのは比較的リスキーということになり、そのリスクを冒すことができる劇場は限られてしまう。だが、現代に書かれた作品が上演されなくなってしまったら、当然演劇はつまらなくなってしまう。そこで、このコリーヌ国立劇場が作られたわけだ。

「SPAC秋→春のシーズン」では、基本的には「演劇の教科書に載るような古典」をメインに上演し、中高生鑑賞事業も行っている。だが、このレオノーラ・ミアノの『顕れ』は、古典に匹敵する力をもった作品と考え、「SPAC秋→春のシーズン」で来年1月~2月に上演する予定となっている。

今日も9割くらいの入り。客席数は500ほどで、静岡芸術劇場よりも一回り大きいから、静岡で満席になるよりもお客さんが入っていることになる。この規模の劇場で一ヶ月間、27回の公演を行うというのは、なかなかできない経験。

二日目。今日も、固唾を呑んで見守るような客席。ラストの曲では体を揺らして微笑んでいる方々も。

徐々に拍手の音が高まり、トリプルコール。

二日目カーテンコール

世界で最もアフリカ系住民の多い都市の一つでもあるパリは、しばしば皮肉を込めて「アフリカの首都」などと呼ばれたりもする。

エッフェル塔のお土産売り場

アフリカの多くの国々は1960年代に独立を果たしたが、フランスにはなお「海外県」が残り、フランス国内で生きることを選んだアフリカ系住民も少なくない。エメ・セゼールは、アフリカ系の奴隷が自由と独立を勝ち取ったハイチ革命(1804年)を描く『クリストフ王の悲劇』(1963年発表)について、「もはやわれわれは、容易に識別できる共通の敵というものに対して立ち上がるのではなく、われわれ自身の内で、われわれ自身に対しての戦いを行わなければならないのです」と語っている。私たちも、これから一ヶ月間、パリの人々とともに「われわれ自身に対しての戦い」を戦うことになる。

ワジディ・ムアワッドさんとコリーヌ国立劇場のおかげで、大変な作品に出会うことができた。静岡での初日は2019年1月14日。日本のお客さんに出会うことで、この作品も変容していくだろう。ぜひ見届けていただきたい。

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『顕れ ~女神イニイエの涙~
2019年1/14(月・祝)~2/3(日) 静岡芸術劇場
作:レオノーラ・ミアノ
翻訳:平野暁人
上演台本・演出:宮城聰
音楽:棚川寛子

日本語上演・英語字幕

◆公演の詳細はこちら


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